2017年11月30日

『名門校の「人生を学ぶ」授業』おおたとしまさ・著 vol.4880

【名門校の、受験勉強より大事な教えとは?】
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社会人になって、周りの「デキる人」を見渡すと、なんだかんだ言って、いわゆる「名門高校」の出身者が多い。

どなたかが書いていましたが、大学はまぐれで入れるけれど、高校はまぐれでは入れない。だから、人材で困ったら、有名高校を出ているけれど大学受験で失敗した人間を採れ、と。

土井の周りに多いのは開成、灘、桐朋、麻布あたりですが、確かにみなさん頭が良いだけでなく、知恵やガッツ、サバイバル能力も半端なく高い。

かくいう土井の出身校・秋田高校も、地元の一番校ですが、バンカラな校風、服装自由化のために教師と生徒が闘った歴史などがあり、根性のある人が多かった記憶があります。(今、日本酒で注目されている新政の佐藤祐輔氏も同級生です)

そこで本日ご紹介したいのが、『名門校の「人生を学ぶ」授業』。

灘、聖光学院、桐朋、東大寺学園、開成、海城、芝、麻布、筑駒、鴎友学園、早稲田大学本庄高等学院、女子学院、豊島岡女子学園、栄光学園、武蔵、巣鴨…。

日本を代表する名門校で、どんな授業を教えているのか、なぜ学力だけでなく人間力まで身につくのか、教育ジャーナリストのおおたとしまささんが、取材で迫っています。

本書で紹介されているのは、著者が直接見た計16のユニークな授業。

数学の「灘」で行われている名物授業「オリガミクス入門」や65年以上の歴史を誇る桐朋の「なわとび」検定、開成の「運動会」など、真のエリートを創る名門校の裏側が明らかにされており、じつに興味深い読み物です。

さっそく、赤ペンチェック行ってみましょう。

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名門校と呼ばれるほどの進学校ほど、受験勉強以外の教育により多くの時間を割いている

灘の数学のレベルの高さを象徴する名物授業がある。中2から高2を対象にした「オリガミクス入門 作図可能性を巡って」である。週5日制の灘において、土曜日に開講される特別講座「土曜講座」の人気授業である(中略)受講希望者を募るパンフレットには次のような説明が書かれている。古代ギリシャ以来、コンパスと定規のみを用いた作図はユークリッド幾何の諸定理のある種の実証として重宝され、現在の数学の授業では必ず扱われています。しかし、この作図方法には限界があり、その限界を乗り越えるために種々の作図用の工具が開発されてきました。その中でここ25年の間に一気に盛り上がりを見せているのが、折り紙による作図です。ギリシャ3大作図不可能問題の1つでもある「角の三等分問題」にも挑むという

「美しいものに感動する喜びは国境を越える」との考えから「選択芸術講座」を多数用意している。「声楽」「クロマチックハーモニカ」「陶芸」「書道」「演劇」など(聖光学院中学校高等学校)

桐朋出身者は皆、普通ではない難易度のなわとびができる(中略)桐朋生は「生徒手帳」ならぬ「体育手帳」を持っている。なわとびの技のリストはもちろん、跳び箱、鉄棒、バスケットボールやサッカーなどの球技まで、到達目標が体系化されている

ただやみくもに騎馬戦をしたり綱取りをしたりするわけではない。高3が練習風景を動画に撮り、下級生一人一人の動きを確認、改善点を指導する。自分が指導した後輩たちが勝利を収めることができるかどうか、高3のクラス担当の肩に責任が重くのしかかる。成績が悪ければ、高3の責任者が頭を丸めるのも開成の伝統だ

先生の無茶ぶりで、即興劇をつくる(海城中学高等学校)

「田植え体験や稲作体験をする学校は全国に無数にあると思います。しかし筑駒の水田稲作学習は、『ちょっと稲作体験をしてみよう』というような気軽なものではありません。まず種籾からスタートすることが特徴です」

8時15分からの5分間だけは、豊島岡の校舎全体が、まるで時が止まってしまったかのような静寂に包まれる。私語は一切許されない。椅子を引く音すら許されない雰囲気がある。「運針」の時間だ。豊島岡の生徒は一人一人、真っ白な布と、真っ赤な糸と、そして裁縫針を机の中に持っている。8時15分のチャイムが鳴ると一斉に、赤い糸を通した針で、白い布の端からまっすぐに、針目を揃えて縫っていく

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「人間としての足腰さえしっかりと築いておけば、時代がどちらの方向に揺れ動こうが、自分の足でしっかり立つことができる」というまえがきのメッセージは、おっしゃる通りだと思います。

本書を読むと、名門校では「挑戦する気持ち」や「好奇心」「ガッツ」「努力する習慣」が自然に身につくよう、工夫しているというのがよくわかります。

単なるスコア取りの「効率化」では身につかない人間力のつけ方を、本書から学ぶことができました。

もう一度人生やり直せるなら、すべての学校に入ってみたい。

そんな気持ちにさせられました。

ぜひ読んでみてください!

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『名門校の「人生を学ぶ」授業』おおたとしまさ・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

第1章 まるで幼児教室!?な授業
第2章 他者とかかわり自己を知る
第3章 教科の枠を超えて学ぶ
第4章 意味はあとからわかる

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