2017年9月19日

『老人の取扱説明書』平松類・著 vol.4808

【ずるいが勝ち?】
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これから日本は急速に高齢化社会に向かって行くことが知られていますが、それはお客様にも、働く仲間にも、高齢者が増えるということ。

だとすれば、ビジネス成功のカギは、いかに高齢者を知るか、に他なりません。

事実、出版業界では高齢者向けの書籍が売れていますし、売れている編集者の多くは、高齢者をよく理解し、狙って本を作っています。

そこで本日ご紹介したい一冊は、ズバリ『老人の取扱説明書』。

医師/医学博士としてのべ10万人以上の老人と接し、シニア世代の新しい生き方を提唱する「新老人の会」の会員でもあるという著者が、高齢者の実態を、丁寧に解説しています。

<姑が嫁の話を聞かない>
<突然、「うるさい!」と怒鳴る>
<赤信号でも平気で渡る>
<せっかくつくってあげた料理に醤油やソースをドボドボとかける>

など、多くの方が疑問に思っていたことを、高齢者の身体の変化の観点から読み解いており、目からウロコが落ちました。

さっそく、気になるポイントを見て行きましょう。

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老人はなぜ赤信号でも平気で渡るのか?
・瞼が下がってくるし、腰も曲がっているから、信号機がある上のほうがよく見えない
・転びやすいので足元ばかり見て歩いている
・日本の信号は高齢者が歩くスピードで渡り切れないようにつくられている

60歳以上になると、低い声(500Hz)と比べて高い声(2000Hz)だと1.5倍以上の音量がないと聞こえません。若い女性の声は男性の1.5倍大きくないと聞こえないのです

低い声で、ゆっくり、正面から話すと伝わる

「お薬はまだありますか?」と一気に話さず、「お薬」「ありますか?」と区切って単語だけを伝えると、聞き取りやすくなります

ヘッドホンをして大音量で聞くなどが耳を痛めます

8週間のトレーニングで、聞きやすさが2倍程度になることがわかっています。簡易的な方法としては、徐々にラジオやCDの音を小さくしていって、小さい音でも聞こえるようにするトレーニングがあります

耳が悪いので、声が大きくなってしまう

難聴を予防改善するには、まずは食事です。マグネシウムが効果的

その他の耳によい栄養素は、ビタミンCやビタミンE

難聴であると、認知症になりやすい

高齢者の記憶の変化は、全体が落ちるのではなりません。まずは、短期的な記憶が落ちます

触覚(温痛覚)
50代から衰えはじめ、70代から顕著になります。手に持っているものの感覚が弱まるため、物を落としやすくなります

塩分は若い頃の12倍使わないと、同じ味に感じない

亜鉛が足りていないと味覚が悪くなる

コンタクトレンズとメイクは、瞼が下がる原因になる

骨を強くするために避けたほうがよいのはリンが多い食品。清涼飲料水や加工食品の一部が該当しますので、これらをあまり口にしないほうがいい

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高齢者を理解するのに役立つのはもちろんですが、自分自身が高齢になって難聴にならないためのノウハウ、なった時の対処法も書かれており、じつに勉強になりました。

本書の影響で、工事の仕事や、ヘッドホンを使った音楽視聴などは人気が落ちるかもしれませんね。(どちらも耳を痛める)

教養として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『老人の取扱説明書』平松類・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

第1章 老人の困った行動 3大ド定番
第2章 いじわる
第3章 周りが大迷惑
第4章 見ていて怖い、心配……

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