【料理で人生を変える自己啓発書?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877713646
本日の一冊は、先日訪れた渋谷の啓文堂書店で、思わず手に取った一冊。なんと、料理本です。
いや、正確には料理を通じた自己啓発本。
その名も、『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』です。
著者は、37歳でル・コルドン・ブルーを卒業したライター、ジャーナリスト、料理講師のキャスリーン・フリン。
ル・コルドン・ブルーでの体験を綴った『36歳、名門料理学校に飛び込む! リストラされた彼女の決断』がニューヨーク・タイムズのベストセラーに選ばれ、以来人気ライターとなっている方です。
本書『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』は、アメリカ・ジャーナリスト・作家協会が選ぶ、2012年度のASJA賞「自伝部門」を受賞したそうで、確かに読み応えのある一冊です。
人間、誰しも「やったことがなくて自信がない」ものが一つ二つあるものですが、本書に登場する女性たちは、まさに<「料理できない」と思いこまされた人びと>。
本書は、そんな自信のない登場人物たちに、著者が料理を教えながら、人生で大切な自信を取り戻させていくお話です。
両親との“思い出の味”がマクドナルドの女、サブラ。料理になると不安定な精神科女医のトリッシュ。夫と過ごした4年前の七面鳥を捨てない女、テリ。もてなしが缶入りスープの女、シェリル。
悩める女性たちの「キッチン初訪問」も、読んでいて面白い。
ところどころに現代社会・ビジネスへの批判が入り、われわれに正しい生き方とは何か、示唆する内容となっています。
さっそく見て行きましょう。
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「よく聞かれます。“調理の資格で何ができるんですか?”って。でもね、調理学校を卒業したからといって、自分を縛る必要はありません。どこに行ったっていいんだし、何をやってもいいんです」私は続けた。「あなたの人生を決めるのは、情熱と想像力です。可能性に対しては常にオープンでいましょう。型にはまった仕事でなくてもいいじゃないですか。レストランやキッチンに関係なくても、それがどうしたっていうの」
これだけは忘れないでください。人生はとても短いんです。あなたが思うよりも、ずっと
周りの期待に応えることだけに集中してはダメ
調理できなければ、財政面にしか興味のない企業の恩恵にあずかることしかできなくなる
何十年にもおよぶ巧みなマーケティング戦略が、私がスーパーで出会った、簡単なソースさえ作る技術が自分にはないと思い込む女性を作り上げたのだ
使い心地のよい包丁は、もっと刻んでみようって気持ちにさせてくれるから。料理をしようという気持ちにも繋がりますよね。ここが大切なところなのです
味覚を信じて、自分を信じて
調理をすべて終えたあとで味を直すのは、時すでに遅しというケースがほとんどなのだ
消費者はひとつのブランドに固執するか、最も安いものを買う選択はするけれど、複数のブランドを味見しようと考える人、あるいは、次々と試してみる人は稀なのだそうだ
塩をボトルに入れて振ると、見えないでしょ? どれぐらい入れたのかわからなくなってしまう。でも、小さな皿に入れておけば、まさに“ひとつまみ”がわかる
消費者が意識を変えれば、与えられる製品の種類は変わっていく
丸鶏からはじめれば、とても大切なことが理解できると思う。それは、かつてこの肉は生き物だったということ。それを知ることで、ほとんどの人が食材としての肉を無駄にできなくなると思うから
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ミニマルに生きること、企業の言いなりにならないこと、小さなできることを積み上げることで自信を持つこと…。
本書は、われわれに、料理を通じて生き方を教えてくれる、完全なる「自己啓発書」です。
「料理はしない」を標榜していた土井ですが、本書は、そんな土井に「料理がこれほどまでに世界を広げてくれるなら、やってもいいな」と改心させました。
これはオススメの一冊です。
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『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』
キャスリーン・フリン・著 村井理子・訳
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◆目次◆
Prologue スーパーのカートには人生が詰まっている
Part1 泣き笑い、料理する、その心にはいつもパリ
Chapter1 37歳でル・コルドン・ブルーを卒業した遅咲きの私
Chapter2 憧れの人ならどうする?
Chapter3 包丁とは永遠に苦楽をともに
Chapter4 味覚を信じて、自分を信じて
Chapter5 喜怒哀楽の鶏肉劇場
Part2 加工食品はもういらない、なんだってイチからカンタン
Chapter6 パンだって立ち上がる
Chapter7 ナポレオンを勝たせた卵
Chapter8 戸惑いの肉
Part3 ほんの少し買い、たくさん作り、捨てないしあわせ
Chapter9 歓喜の魚
Chapter10 箱の中の秘密
Chapter11 ミニマルに買うことはスマート
Chapter12 ひとさじのスープの愛
Chapter13 キッチン訪問、再び
キッチン初訪問
レシピ
参考書籍・映画・テレビ・ラジオ
訳者あとがき
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