【たしかに】
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本日ご紹介する一冊は、セス・ゴーディンの『パーミションマーケティング』の翻訳者として、またブランド・クリエイターとして知られる阪本啓一さんが、最近話題のブランドについて論じた一冊。
タイトルにあるように、「こんなもの誰が買うの?」と思われながら売れている商品・ブランドの事例が述べられています。
著者によると、「こんなもの誰が買うの?」には、次の2種類があるそうです。
1.「ぱっと見ただけではみんなに受け入れられそうにない」ような商品
2.「平凡すぎて、もう、おいしくないんじゃないの?」というありふれた商品
本書では、こんな商品やサービスが確かなブランドに育っていく過程が紹介されており、いまどきのマーケティングが学べます。
発売後2カ月で発行部数227万部を記録した『うんこ漢字ドリル』、大阪・心斎橋に猫保護カフェを開店したネコリパブリック、給食時、園児が自分の食べる分を自分でよそっている保育園「ひより」…。
さまざまな事例が紹介されており、知的好奇心を刺激する内容です。
また、ブランド・クリエイターの著者が考える、企業・サービスをブランドにする手法も、勉強になりました。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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『うんこ漢字ドリル』ヒットの本質は、「漢字ドリルをギフト化したこと」なのである。漢字ドリルを「学ぶもの」から「贈るもの」へとポジション転換した(リ・ポジショニングと言う)わけだ
アイドル産業でミリオンセールスが連発され始めたのは、マイクロインタレスト、つまりファンの嗜好の細分化が始まって以降
イタリアの高級スーツブランド「ブリオーニ」は、機械で作るスーツならだいたい40工程程度のところを225工程かけて作っている
ネコリパは「2022年2月22日、ネコニャンニャンニャンの日までに行政による猫の殺処分をゼロにする」というミッションを掲げ、14年の創業からわずか2年で心斎橋店を開店した。心斎橋店開店のための資金1800万円は、クラウドファンディングで集めた(正確な数字は1849万6170円、サポーターは1430人。現時点で過去に実施したクラウドファンディング・プロジェクトは9回のうち9回成立している)
人は、その会社がどこへ行こうとしているのかという姿、あり方を見ている
ひよりを見学して驚いたのは、給食時、園児が自分の食べる分を自分でよそっていたことだ。「自分の食べたい分量は自分が一番よく知っている。だから自分でよそいましょう」これは自分の身体と向き合う力を伸ばすことにもつながる
ひよりで働く保育士の先生は、可能な限り子どもたちに向き合うことに集中できるように配慮されている。園からの定期的なお便りは原則なし。ゆくゆくは園児たちが編集部を作って書いていく計画もある
「商品(製品・サービス)がたくさん売れたらハッピー」という、利己的な動機の時代は終わりを告げた。商品を手にした(体験した)お客様や社会がその後どう変わったのかという利他の精神が求められる
創業者アンリ・ネスレは母乳の栄養を取れない乳幼児のために乳製品を作った。母乳が飲めない乳児、あるいは、母乳を与えられない母親にとって赤ちゃんの命を救う画期的な製品だった。共感ポイント100点満点の優れものだ
母の愛は、いつの時代でも、時代を変える力を持つ
ブランドにおいて至善とは、絶対の善だ。ブランドにとって譲れない一線を示す。「ブランドとして、これはやる、これはやらない」という判断基準である
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欲を言えば、事例やエピソードをもっと掘り下げて欲しかったですが、それを差し引いても読む価値はあると思います。
本書を読んだ後、さらにそれぞれの企業を研究すれば、「今当たるビジネス」の理解がもっと深まると思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる』
阪本啓一・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
はじめに──開講にあたって
DAY1 どうすればブランドになりますか?
DAY2 ビジョンとミッションを意識しよう
DAY3 「異」に出会えば、「新」が生まれる
DAY4 古典『大学』に学ぶブランドの「あり方」
DAY5 プロジェクトが「熱」を帯びる瞬間 アフリカ!!
DAY6 強いブランドには感染力がある
おわりに──講義後の雑談
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