2017年7月17日

『働く文学』奥憲太・著 vol.4744

【文学に学ぶ、働くことの意味】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4486039068

仕事でやる気が出る秘訣も、人生が充実する秘訣も、根本のところは一緒だと思っています。

それは、その活動に「意味を見つけられるかどうか」。

仕事の意味。生きることの意味。

これが見つけられれば、毎日が充実するのは間違いありません。

本日ご紹介する一冊は、「働くことの意味」を、文学から見つけようという、ユニークな試み。

著者は、人事・経営企画の仕事をしながら産業カウンセラー、キャリアコンサルタントとしても活動中の、奥憲太(おく・けんた)さんです。

本書では、第一部で著者が会った仕事人の話を、第二部で著者推薦の文学作品を紹介しており、ページを追うごとに働くことの意味を深く考えられる構成になっています。

文学が出てくるのがかなり後の方なので、そこを最初に期待すると挫折しますが、仕事やキャリアを考えるための本として見れば、なかなか面白い作品です。

さっそく、気になるところをチェックしてみましょう。

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「働くこととは何か」と真正面から問うのではなく、「どのように働きたいのか」と問いを変えてみるということだ。「あなたにとって仕事とは何ですか?」ではなく、「あなたの仕事は何ですか?」でもなく、「あなたはどのように働いてきたのですか?」と問うてみるのだ

無駄な時間、何者でもないこと。そんな経験ができることは人生でそう多くはない。私は自分が無知にもかかわらずあまりに小さなことにこだわり過ぎていたこと、ゼロから人は出会えること、働いて生きることの当たり前さ、しようと思えば人はいつでも人生をリセットできることを知った

「クリスマスにお土産をいっぱい持って帰れる親父がいい親父なんだ。わかるか」プロパンガスであろうが、旅行であろうが、何だっていい。目の前の仕事に挑み、いっぱいのお土産を持って家族の元に帰ること。その時、私には門田社長にとっての働くことの手触りがふと感じられた気がした

「営業って楽しいよな、何でみんなわからないのかな」(中略)小林さんが伝えようとしているのは、もっと根本的なこと、つまり夢中になって獲物を追いかけることの楽しさだった

「会社に縛られない生き方」がちょっとしたブームだ。(中略)私もどこかでずっとそんなことを思いながら、これまで会社員を続けてきた。しかし、そんなことを思う人ほど、実は会社に守られ、食べさせてもらっていることに気づかず、会社を主語にしてしか仕事をとらえられないのではないか

自分が何かを得るためではなく、人に何かを与えるために働く

労働の種類や形態、内容や役割が労働の本質を決定するのではない。労働する者が、どのようにそれに関わり、どのような関係を持つかによって、働くことのあり方、意味が決まる

「高いところに登るこつは、目線と同じ高さのものを見ることだ。上を見ても下を見ても恐怖心は増す。目線をいつも水平にして物を見れば、恐怖心は薄れる」(『河口へ』佐藤洋二郎)

天職とは、その人が自分自身であることを支えてくれる仕事のこと

「あなたは初めから何も賭けていないのよ。賭けられるような人ではないわ」。別れを予感したさき子の言葉が、津上の自己完結した孤独な円運動に突き刺さる。何かを賭けられる人間の方が幸福なのだ──。おそらく彼が最後に答えたかったのは、そんな言葉なのではなかったか。(『猟銃 闘牛』井上靖)

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キャリアを第一に考えると、つい名前のある会社や華々しい肩書き、報酬などを考えてしまいますが、働くことに意味を見出し、生きがいを感じる人生ほど尊いものはありません。

本書は、人間にとって働くとは何か、その一番大切な部分を教えてくれる一冊です。

読み終わった頃には、みなさんの「成功者」の定義が変わっているかもしれませんね。

ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『働く文学』奥憲太・著 東海教育研究所

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◆目次◆

第一部 働くことを探して
第二部 読んでほしい29の物語

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