2017年4月21日

『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』 本田哲也・著 vol.4657

【今売るためのPR技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799320580

インターネット、SNS、YouTubeなどによりメディアが急速に変容している今、どう売ったらいいかわからないという企業は多いと思います。

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『戦略PR』の著者が、初代『戦略PR』、その翌々年に刊行した『新版 戦略PR』の内容を大幅に刷新し、現在の時流に合わせて書き下ろした一冊。

SNSやYouTubeなどで爆発的人気となった商品が、どのように広まっていったのか、有名戦略PR事例の陰に何があったのか、分析と実際を述べた内容です。

「白さ」から「除菌」に価値をシフトさせたP&Gの「アリエール」、ベビーカーのシェアを一気にひっくり返したピジョンの大径タイヤベビーカー「ランフィ」、「年間1兆円のムダ」のメッセージで、日本の経費精算に風穴を空けたコンカーのクラウドサービスなど、興味深い事例がたくさん載っており、読み応えがあります。

嬉しいのは、今時のPRに使える要素を、「おおやけ」の要素、「ばったり」の要素、「おすみつき」の要素、「そもそも」の要素、「しみじみ」の要素、「かけてとく」の要素といったように類型化していること。

これにより、PRの再現性がぐっと高まっています。

どんなことが書かれているのか、さっそく見て行きましょう。

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いま起こっているのは、「買う理由」同士の戦い

「いい◯◯」の社会常識を変える

「スプーン一杯で驚きの白さに。」は、1987年に発売された花王「アタック」の有名なキャッチコピー(昭和生まれなら知らない人はいないだろう)だ。アタックの登場から、日本における「いい洗剤」とは、長い間「白く洗いあがること」だった。(中略)2000年代になって、この常識を一気に引っくり返したのが、P&G「アリエール」だ。アリエールは洗濯洗剤市場に、「除菌」という属性を新たに持ち込んだ

これまで日本で「いいベビーカー」といえば、「軽い」「ファッショナブル」などが主流。後発のピジョンとしては、こうした属性を追随するわけにはいかない。ランフィとの差別化をはかる、新しい属性が求められる。さまざまな要素が検討されたが、最終的にピジョンが注目したのが、ランフィの「大きなタイヤ」だった

段差でつまずいたときにベビーカーにかかる衝撃は、なんと「自動車の急ブレーキの5倍」だということが実証された。さらに、一般的なタイヤ径のベビーカーよりもランフィのほうが、軽い力で段差を乗り越える能力が高いということも裏づけされた

「企業が主語」ばかりではダメで、「第三者話法」を取り入れないといけない

コンカーは、「年間1兆円のムダ」というわかりやすいデータを用意し、日本CFO協会などの第三者と組むことで、まずは社会問題として「いかに日本の経費精算が遅れているか」というパブリシティを最大化させた

SPCAは、野良犬や捨てられた犬をシェルターに保護し里親探しを行っているニュージーランドのNGO団体だ。SPCAには悩みがあった。犬の里親探しがなかなかうまくいかないのだ。そこで調査を行ったところ、ニュージーランドではシェルターに集められた犬=シェルタードッグは汚いし、頭も悪そうと人々に認識され、敬遠されているという結果が出た。(中略)PR会社から提案されたのは、「シェルタードッグの犬が車の運転をしたら、みんなここの犬は賢いと思うんじゃない?」という、かなりクレイジーなアイデアスーパーインフルエンサーひとりの発信よりも、マイクロインフルエンサー複数による投稿のほうが影響力は最大になり、ROIも良い

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著者は、かつて世界3位のPR会社、フライシュマン・ヒラードで働いた方で、それだけに本書の話も視野が広いのが特徴です。

世界的な事例をいくつか紹介しており、かつその事例もきちんと調べて書いている印象があります。

<「商品をつくる」よりも「買う理由をつくる」>
<「いい◯◯」の社会常識を変える>
<「ばったり」の演出>
<マイクロインフルエンサーの時代>

など、今の時代のPRキーワードが満載。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』
本田哲也・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

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◆目次◆

序 章 社会常識に挑み、「買う理由」をつくる戦略PR
第1章 戦略PRは空気づくり
第2章 人を動かす「社会関心のレシピ」
第3章 これが世界のPRだ
第4章 「おおやけ」の要素ーー「社会性」の担保
    社会課題解決をめざす「ソーシャルグッド」の潮流
第5章 「ばったり」の要素ーー「偶然性」の演出
    コンテンツが演出する偶発的な「セレンディピティ」
第6章 「おすみつき」の要素ーー「信頼性」の確保
    多様化する「インフルエンサー」の影響力
第7章 「そもそも」の要素ーー「普遍性」の視座
    「よくぞ言ってくれた」を引き出す本質的な価値転換
第8章 「しみじみ」の要素ーー「当事者性」の醸成
    「自分ゴト化」させ感情に訴えるストーリーテリング
第9章 「かけてとく」の要素ーー「機知性」の発揮
    PRクリエイティビティの真髄は「とんち」にある
終 章 世界を動かすPR

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