【「クローズアップ現代」キャスターのキャリア論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004316367
本日ご紹介する一冊は、超長寿番組「クローズアップ現代」のキャスターを23年務めた国谷裕子氏が、番組と自身のキャリアを振り返った一冊。
ヒットしたものは何であれ、必ず時代性とヒット要因を兼ね備えているものですが、やはり「クローズアップ現代」もそうだったようです。
本書は、大人気番組「クローズアップ現代」が成功した秘密と、国谷裕子氏がキャリアで成功した秘密、この2つを学べる良質なケーススタディです。
個人にとっては、キャリアでブレイクするための戦略が学べる、興味深い一冊となるでしょう。(ありがちな話し方本ではありません)
まず、「クローズアップ現代」が成功した要因について。
著者はこう述べています。
<物事を「わかりやすく」して伝えるだけでなく、一見「わかりやすい」ことの裏側にある難しさ、課題の大きさを明らかにして視聴者に提示すること。それこそが<クローズアップ現代>の役割なのではないかと思えた>
断片的に入ってくるニュースに対して、解説や視点を加えることで、深層を理解できるようにする。
既存の体制が壊れ、「今、何が起こっているのか」知りたい視聴者に、直球でサービスを届けたのが成功の秘訣だったのでしょう。
そして、自身のキャリアの成功について、著者はこんなコメントをしています。
<私が衛星放送に戻った一九八九年から、世界では世界史の教科書を塗り替える歴史的な出来事が次々と起こった>
<大きなチェンジのときには、ニューカマーでもレイトカマーでも追いつける。本格的な競争社会やグローバリズムの波が日本社会に入ってきた地殻変動のときに、<クローズアップ現代>も、そして私自身もスタートラインに立った。そしてそこからのロケットスタート…>
いやはや、下手なキャリア本、ビジネス書よりもずっと役に立つ本だと思いました。
他にもいくつか、気になるところをチェックして行きましょう。
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映像の一面性に報道番組はどう向き合うのか。それは難しい課題だ。<クローズアップ現代>はこの課題に対して、「スタジオを重視する」という手法で向き合うことを選択した。映像を主体とするリポートに拮抗する形で、スタジオでのキャスターとゲストの対話を配した
物事を「わかりやすく」して伝えるだけでなく、一見「わかりやすい」ことの裏側にある難しさ、課題の大きさを明らかにして視聴者に提示すること。それこそが<クローズアップ現代>の役割なのではないかと思えた
歴史が私を押し出した
私が衛星放送に戻った一九八九年から、世界では世界史の教科書を塗り替える歴史的な出来事が次々と起こった。私はキャスターとして、生放送を切り盛りしたり、複数のゲストたちとの討論を仕切り、ゲストを多元的に結ぶ衛星中継インタビューを行うなど、喉から手がでるほど欲しかったキャスターとしての仕事をたっぷりと経験す
ることが出来た
政治の世界でも経済の世界でも、それまで当たり前だったことがそうでなくなってきた時代。そのなかでワンテーマを深く掘り下げる連夜の報道番組としてスタートした<クローズアップ現代>は、とても時宜にかなった番組となった。既存のパラダイムから外れ大きく変化していく時代の様相は、日々のニュースでは十分に伝えきれない。三〇分という時間枠をもった<クローズアップ現代>は、深く掘り下げなければ全体像を捉えることができない時代背景のなかで、その存在意義が認められていった
大きなチェンジのときには、ニューカマーでもレイトカマーでも追いつける。本格的な競争社会やグローバリズムの波が日本社会に入ってきた地殻変動のときに、<クローズアップ現代>も、そして私自身もスタートラインに立った。そしてそこからのロケットスタート
この「キャスターコメント」+「VTRリポート」+「ゲストトーク」という三要素による番組構成は二三年間変わらなかった
自分が納得できないうちに放送を迎えてしまったら、自分自身を責めることになる
番組を進めていくうえでの視聴者像は、「一般の人々」という抽象的な存在ではなく、一本一本の番組のテーマに即して、そのテーマによって具体的に影響を強く受ける人々をイメージしていたことが多かった
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どうすれば視聴者にメッセージが伝わるのか、どうすれば良い情報が引き出せるのか、メディアの人間としても興味のわく内容がてんこ盛りでした。
コンテンツを作る人、伝える人、そしてジャンルは何であれ、輝かしいキャリアを築き上げたい人に、おすすめしたい一冊です。
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『キャスターという仕事』国谷裕子・著 岩波書店
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004316367/
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http://bit.ly/2nGmCbT
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◆目次◆
第1章 ハルバースタムの警告
第2章 自分へのリベンジ
第3章 クローズアップ現代
第4章 キャスターの役割
第5章 試写という戦場
第6章 前説とゲストトーク
第7章 インタビューの仕事
第8章 問い続けること
第9章 失った信頼
第10章 変わりゆく時代のなかで
終 章 クローズアップ現代の23年を終えて
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