【今日もご紹介します】
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昨日に引き続き、話題の書『サピエンス全史(下)』を紹介します。
全世界30カ国以上で刊行され、世界的なベストセラーとなり、「ウォールストリート・ジャーナル」「ガーディアン」「フィナンシャル・タイムズ」「ワシントン・ポスト」などの主要紙も絶賛する本書。
日本では、NHK「クローズアップ現代」で特集されて以来、大ベストセラーに。下巻のオビには、「文明は人類を幸福にしたのか?」というコピーが書かれています。
下巻が扱うのは、宗教、歴史、科学革命、市場経済といったテーマ。
上巻に比べると、世界史のおさらいのようでやや退屈な部分もありますが、時折提示される視点は、人間の進歩やそれに伴う問題を深く考えさせてくれます。
歴史や政治が「二次」のカオス系であるという話(ゆえに予測できない)、歴史のダイナミクスが人類の境遇を向上させることに向けられていないという指摘、どうやって科学が影響力を持ったのかという経緯など、現在のわれわれから見ると目からウロコの視点がいくつも示されています。
さっそく、内容をチェックして行きましょう!
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アステカ族は自分たちが全世界を知っていて、そのほとんどを支配していると確信していた。自分たちの領土の外にスペイン人などというものが存在するとは想像できなかった
視野が狭かったために高い代償を払う羽目になったのは、アメリカ大陸の先住民だけではない。オスマン帝国やサファヴィー帝国、ムガル帝国、中国など、アジアの数々の大帝国の人々は、ヨーロッパ人たちが何か大きなものを発見したという話が早々に伝わってきたにもかかわらず、そうした発見にあまり関心を払わなかった。世界はアジアを中心に回っていると信じ続けており、アメリカ大陸、あるいは大西洋や太平洋の新しい遠洋航路の支配をめぐってヨーロッパ人と競おうとはしなかった
じつは産業革命は、エネルギー変換における革命だった。この革命は、私たちが使えるエネルギーに限界がないことを、再三立証してきた(中略)私たちに不足しているのは、私たちの必要性を満たすためにそのエネルギーを利用し、変換するのに必要な知識なのだ
産業革命は、安価で豊富なエネルギーと安価で豊富な原材料との、先例のない組み合わせを実現させた。その結果、人類の生産性は爆発的に向上した
資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は、「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ
個人の解放には犠牲が伴う。今では、強い絆で結ばれた家族やコミュニティの喪失を嘆き悲しみ、人間味に欠ける国家や市場が私たちの生活に及ぼす力を目の当たりにして、疎外感に苛まれ、脅威を覚える人も多い。孤立した個人から成る国家や市場は、強い絆で結ばれた家族とコミュニティから成る国家や社会よりもはるかにたやすく、その成員の生活に介入できる
あなたが現代のティーンエイジャーだとしたら、自分に満足できない可能性がはるかに高い。同じ学校の生徒は醜い連中だったとしても、あなたの比較の対象は彼らではなく、テレビやフェイスブックや巨大な屋外広告で四六時中目にする映画スターや運動選手、スーパーモデルだからだ。となると、第三世界における不満はおそらく、貧困や疾病、腐敗、政治的抑圧ばかりでなく、先進国の標準に接することによっても助長されうるのではないだろうか?
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なかでも、経営者として考えさせられたのは、視野が狭かったために滅ぼされたアステカ族の話。
変化に関心を持つことがいかに重要か、思い知らされました。
現在のわれわれが抱える問題についての指摘もあり、じつに考えさせられる内容です。
上巻に比べるとインパクトは弱いですが、ぜひチェックしてみてください。
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『サピエンス全史(下)』ユヴァル・ノア・ハラリ・著
柴田裕之・訳 河出書房新社
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◆目次◆
第12章 宗教という超人間的秩序
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
第15章 科学と帝国の融合
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
第17章 産業の推進力
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
あとがき 神になった動物
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