【日経新聞を読むのが楽しくなる一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756918166
「社会人になったら日経新聞」は、もはや言い古されたことですが、やっぱり情報源として日経新聞は欠かせません。
小宮一慶さんの著書をはじめ、これまでにたくさん日経新聞の解説書も出されてきました。
本日ご紹介するのは、そんな日経新聞解説書のなかでも、トップクラスで「日経愛」にあふれた一冊。
財務戦略コンサルタントの田中慎一さんが、ファイナンスの基礎を押さえつつ、日経新聞をどう読めばいいか、愛ある解説をしてくれます。
なかでも、アベノミクスをシャンパンタワーに例え、「大枚はたいてシャンパンを買うことはできても、無理やりそれを飲ませることはできない」と喝破したところは痛快です。
ちょっと長いですが、引用したので、チェックしてみてください。
また、日本経済の基礎知識として、押さえておきたいデータも紹介されており、ビジネスパーソンならぜひ読んでおきたいところです。
・日本は1人当たりGDPで世界25位(2015年時点)
・日本の上場企業の営業利益率の平均は5%
・上場企業の1人当たり営業利益の平均は概ね100~200万円程度
・上場企業の平均ROAは概ね5%程度
事業価値算定の基準や株価の計算方法についても述べられており、投資家にとっても役立つ情報だと思います。
さっそく、エッセンスを見て行きましょう。
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一般的に、概ね減価償却費控除前の営業利益(これを「EBITDA」といいます)の6~10倍くらいが事業価値になります。この事業価値に手持ちのお金を足して、有利子負債を差っ引いてあげると、理論的な株主価値が求められるわけです。これを発行済株式総数で割ってあげれば、「理論的な株価」をはじくことができます
P/Lはあっという間に悪くなるけど、B/Sが悪くなるのは時間がかかる
設備投資は足元の業績がいいから行うというものではなく、将来の需要に対して自信があるから行うわけです。企業マインドが明るくないと投資は続きません。そういう意味では、日銀が全国の1万社を対象に四半期ごとに企業動向を把握するために行うアンケート調査をもとにした「日銀短観業況判断」が参考になります
日本の最大輸出先はアメリカと中国です。おもにアメリカには自動車や関連部品、中国には建設機械、電子部品などを輸出しています
量的金融緩和によって、マネタリーベースはとんでもない勢いで増えていますが、マネーストックのM3の方はそれに呼応せず、あまり増えていないんですね。シャンパンタワーに次から次へと新しいシャンパンを注いでいるにもかかわらず、誰もグラスを手に取らない、飲んでいない状態であることがデータからも明らかです。大枚はたいてシャンパンを買うことはできても、無理やりそれを飲ませることはできないんですね。シャンパンを飲まなければ宴は盛り上がらないし、2次会へ行ってお金を使うこともありません。消費が盛り上がらなければ需給も緩みっぱなしですから物価も上がりません。これが黒田バズーカをもってしても、いっこうに物価が上がらない、根本的な理由です
アメリカの経済を理解するには、
・GDPの7割を個人消費が占める
・GDPを産業別に見ると、7割をサービス業が生み出しているという基礎知識だけ頭に入れておけば、あとは「景気指標」欄をウォッチしつつ、「国際」欄などで個別のニュース記事を追いかければいいでしょう
日本のGDPがこの20年間まったく成長していないのに対して、ドイツは1・5倍に拡大しています
さらに便利なのは、日経電子版とワークペースアプリEvernoteとの連携です。日経電子版を購読すればEvernoteと連携できるので、気になった記事をEvernoteに保存しておくことが可能です
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日経新聞は「私の履歴書」から読むという、日経新聞大好きな著者が書いているだけに、楽しく読み進めることができます。
やっぱり好きな人が書いた本って、いいですよね。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『役員になれる人の「日経新聞」読み方の流儀』田中慎一・著 明日香出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756918166
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◆目次◆
第1章 デキル人は日経新聞を使いこなしている
第2章 日経記事がすんなり腹に落ちる「経済」のしくみ
第3章 日経記事がすんなり腹に落ちる「企業」のしくみ
第4章 【数字力UP】数字で事実を積み上げる基本
第5章 【論理的思考力UP】思考を整理するポイント
第6章 日経新聞で読み解く世界経済
付論 日経電子版の賢い使い方
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