【良い会社へ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844374168
最近は、「ワークライフバランス」という言葉がすっかり定着し、社員の私生活の充実を応援してくれない企業は、すっかり敬遠されるようになりました。
もともと経営者というのは利益を上げるのに執心しがちで、社員はなるべく少ない労力でたくさんのお金ややりがいを得たいと考えるもの。
両者の利害関係を一致させるには、生産性を向上させるしかないのですが、これに成功している会社はまだまだ少数派だと思います。
そこで読んでおきたいのが、本日ご紹介する一冊、『ほとんどの社員が17時に帰る 10年連続右肩上がりの会社』。
「クレンジングなのにまるで美容液」というコピーで大ヒットした「ホットクレンジングゲル」を開発し、累計販売本数500万本、社員43名で年商75億円を売り上げる株式会社ランクアップの代表取締役、岩崎裕美子さんが書いた一冊です。
著者はもともと、超ブラック企業の取締役だった方ですが、人が育っては辞め、育って辞めを繰り返す前職の現状を見て、「残業しないと会社って経営できないの?」と疑問を抱きます。
そこから37歳で、現在の会社を立ち上げるわけですが、じつにユニークな制度を用いて、社員のモチベーションアップと業績アップ、残業ゼロを実現しています。
本書には、そんな同社の取り組みが書かれており、経営者はもちろん、働く社員にとっても勉強になります。
圧倒的に差別化した製品を開発し、強い特長を打ち出すことで無駄な営業をなくす、毎月社員の残業時間をチェックし、仕事の棚卸しをする、採用活動、ホームページ作成をはじめ、多くの業務をアウトソースする、ルーティンワークはどんどんシステム化する、事務職を廃止するなど、興味深い話が満載です。
さっそく、気になったポイントをチェックしてみましょう。
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「クレンジングなのにまるで美容液」というコピーで販売したこの製品は、お客様にその特長がわかりやすく伝わり、大ヒット製品となりました。今では累計販売本数500万本を突破し、これ1本でなんと約40億円も売れています
私が考える強い特長とは、「誰が何のために使うのか」を説明できることです。わかりやすい特長がないと、人に製品の良さを伝えるのにとっても苦労しますし、伝わらないから売れないのです
企業は常に安定した利益を得なければ、利益を出すために夜遅くまで働かないといけないのですが、圧倒的に差別化した製品を開発し続けると、ヒット製品が生まれやすく、安定的に利益を出すことができます
毎月必ず社員全員の残業時間のチェックをします(中略)目的が忘れられて業務だけが残っていることって意外にあるのです。私たちは毎月の棚卸で常にやめる仕事を見つけています
採用活動、ホームページ作成、コールセンター、配送業務、PR活動など、多くの仕事をアウトソーシングしています
ルーティンワークはどんどんシステム化
私たちの会社では事務職を廃止しました
◆業務スピードを上げる6つの社内ルール
1.社内資料はつくりこまない
2.会議は30分
3.メールで「お疲れ様です」は使わない
4.社内のスケジュールは勝手に入れる
5.プロジェクト化
6.社内の根回し
よく聞かれるのですが、新卒社員は残業OKにしています。新卒社員が残業OKなのは、覚えることが多いし、仕事が遅いから
【アンケート】暗黒時代になった理由はなんだと思いますか?
・経営者が社員の意見を聞かないから……64%
・経営者が社員を評価しないから……64%
・経営者が将来の方向性を示さないから……43%
【アンケート】暗黒時代からどうして抜け出せたと思いますか?
・経営者が話を聞いてくれるようになったから……50%
・社員がプロジェクトを行い、自分で決めれるようになったから……50%
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興味深かったのは、待遇を改善して、定時に帰れるようになっても、社員のモチベーションは上がらなかったという話。
やはり大事なのは、仕事のやりがいそのものなのですね。
本書には、待遇改善とモチベーションアップ、両方の秘訣が書かれているので、経営者・マネジャーの方はぜひ読んでみてください。
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『ほとんどの社員が17時に帰る 10年連続右肩上がりの会社』
岩崎裕美子・著 クロスメディア・パブリッシング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844374168
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◆目次◆
第1章 「離職率100%、定時は終電」のブラック企業を私が辞めるまで
第2章 残業をゼロにした3つのこだわりと7つの働き方革命
第3章 定時に帰れるだけじゃ社員は幸せになれない
第4章 社員の本音から見えた「いい会社」の条件
第5章 「女性活用」の裏側
巻末付録 私たちの会社に寄せられるよくある質問
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