【値決めこそが経営の本質】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320178
京セラの創業者で、JALの再生にも成功した、日本を代表する経営者、稲盛和夫さんが述べた、有名な言葉があります。
「値決めは経営」
ちなみに、アイリスオーヤマでは、「利は元にあり」という言葉を社内で徹底しているとの話を聞きました。(社員の方がとある就職サイトでコメントしていました)
つまり、経営においては初期設定が大事で、その後、頑張っても報われないことがある。
だから、初期設定としての「値決め」は大事なのです。
本日ご紹介する一冊は、この「値決め」について、人気公認会計士の田中靖浩さんが論じた一冊。
以前ご紹介した名著『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則』のような理論書かと思っていたら、以外や以外、読んで笑える、楽しい一冊でした。
※参考:『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4791765281
安値争いのDOG(Digital Online Global)ではなく、心地良い高値のCAT(Cozy Analog Touch)。
どうすれば儲かる値決めができるか、理論と実践、そしてマインドについてまとめています。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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「悪い値決め」は、がんばっても儲けが増えません
「良い値決め」は、がんばりが儲けにつながります
私たちは価格に対してとても敏感な一方、それ以外のことについては意外に鈍感です
D・デジタルデータの世界では、マネやパクり、コピーが横行しますO・オンラインの世界では、日本中・世界中のライバルと安値競争が起こります
G・グローバルの世界では、仕事がコストの安い国に奪われます
これから先、いくつかの職業では「無料」に向かって報酬が下落します。もっとも危険な立場にいるのが「DOG環境に相性が良すぎる個人サービス業」です。たとえば個人経営のデザイナー、講師、プログラマー
値決めには「変動費の価格が値決めの最低ラインになる」という法則があります
◆DOGと戦わないための3つのステップ
1.値下げのメンタルブロックを外す
2.値下げの下限を知るため、値決めの数字を学ぶ
3.値決めを成功させるマーケティング&心理学を学ぶ
◆値下げを成功させ、利益を増やすための成功条件は2つ
1.変動費の比率が低いこと(=固定費体質であること)
2.値下げによって販売数量が大幅に増加すること
◆値下げしたときに「販売数量の増加を阻む壁」
1.自らのキャパシティの限界
2.ライバルの値下げ追随
3.顧客の消費感情
◆上手なプライシング
1.アナザー・アンカリング作戦
MBTスニーカーは、「世界最小のフィットネスジム」というメッセージによって、3万円という高価格を実現しました。シューズだと思えば高いが、ジムだと思えば安い
2.アンカリング・インポッシブル作戦
「比べられないゾーンをつくる」ことでアンカリング・インポッシブルな状況をつくることができます
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笑えたのが、「こちら少ない予算で運営しており、少額しかお出しすることができません」とオファーを受けた時のアドバイス。
著者によると、こう言うと良いのだとか。
「こちら少ない時間で運営しており、高額をいただかないとお伺いできません」
まあ、本気で言ったら問題になりそうですが(笑)、マインドとしてはよくわかります。
このように、時折はさみ込むお話や事例が面白い。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『良い値決め悪い値決め』田中靖浩・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
第1章 売上重視が、会社を不幸にする犯人だった!
第2章 ドッグ(DOG)ビジネスは「無料」に向かう
第3章 値下げが成功する場合、失敗する場合
第4章 そろそろ「値決めの哲学」を持とうじゃないか!
第5章 顧客満足「高」価格をつくる「まぜプラ」
第6章 顧客に心地良いサプライズをつくる「ここプラ」
第7章 トップセールスに学ぶ、比べさせて売る「くらプラ」
第8章 顧客の困りごと、悩み、不満を和らげて2.5倍売る「やわプラ」
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