【伊集院静が語る、負けない人の流儀】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106051
本日の一冊は、直木賞作家であり、ベストセラー『大人の流儀』の著者である伊集院静さんが、「無頼」的生き方をすすめる一冊。
※参考:『大人の流儀』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062169428/
本書でいう「無頼」とは、<単なるアウトサイダーやドロップアウトのことではない。人としての心の持ち方、生きる姿勢のことをいう>わけで、情報や知識、他人の評価などに流されない生き方を指しています。
氏が両親から教わったこと、師匠であった色川武大氏の言葉、夏目雅子さんとのエピソードを紹介しながら、どう生きるべきか、ヒントを示しています。
<正義なんてきちんと通らない。正しいことの半分も人目にはふれない。それが世の中というものだろう>
<金で揺さぶられるな、金がないからといって誰かに揺さぶられるような人間にもなるな>(著者の父親の言葉)
<そもそも怒りというのは、その人の品性なり品格、人として生きるプライドを守るための唯一の方法ではないか。お金や見栄ばかり守ろうとしたら、それはどんどん崩れてしまうにちがいありません>
また、勝負事や文章に関する見解も示されている箇所があり、これはちょっと儲けものでした。
これまで保守的に生きてきたけれど、ここらでちょっと人生を変えてみたい、と思う方には一読をおすすめします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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正義なんてきちんと通らない。正しいことの半分も人目にはふれない。それが世の中というものだろうと私は思います
「いいか、金で揺さぶられるな、金がないからといって誰かに揺さぶられるような人間にもなるな」それが父の口癖でした
人を贔屓するなら最後まで支持してやる、ということ。アイツはたいへんな悪党だといわれても、一度世話になったことは生涯忘れず。あの女はヒドイ女だとけなされても、一度寝てくれた女を貶めることは生涯言わず
このまま行くと危険はあるけれど、避けてばかりいてもおそらく別の危険がある。だったら無頼の一歩を踏み出してみよう。そういう考え方があってもいいのではないか
そもそも怒りというのは、その人の品性なり品格、人として生きるプライドを守るための唯一の方法ではないか。お金や見栄ばかり守ろうとしたら、それはどんどん崩れてしまうにちがいありません
私は、「どうしようもない人」と周囲に言われるほど、その人が無用だと思うことはあまりない。むしろ、世間から善人と呼ばれる人を見ているほうが怖いところがある。実際、「いい人」と呼ばれる人たちのほうが、よっぽど大きな害をなすことがあるのが世の中です
誰でも「事情」を抱えて生きている
いくら分かりやすい、読みやすいからといって人間を単純化してはいけない。私に言わせれば、そもそも人間というのは、自分の中にどうしようもない連中が何人も集まってできているようなもの。小さいうちはよくわからないが、大きくなるにつれて、そいつらがあちこちでのさばりだしてきて、自分でも「うるさい、出てくるな」みたいな混沌とした状態になってきます
色川さんには、「ギャンブルは九勝六敗を狙え」という有名な言葉があって、その裏には、ギャンブルに逆転勝ちはまずありえないという意味がこめられています
勝負事に長けた人ほど、結果や数字だけでないところをよく見ている
差し伸べている手の上にしかブドウは落ちてこない
空の上から見た個人なんて、画面の中の砂粒みたいなもので、財産がいくらあるとか、名家の血筋だとか、非の打ちどころのないキャリアだとか言ってみても、人類全体として考えたら、どうでもいい、取るに足らないような差でしかありません
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『無頼のススメ』伊集院静・著 新潮社
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◆目次◆
「頼るものなし」ということ
正義など通らないのが世の中だ
生きものとしての勘を磨く
すぐ役立つものはすぐ役に立たなくなる
人とつるまず、「孤」を知ること
願わくば七難八苦を与える
理不尽こそが人を育てる
例えば「無頼の流儀」とは
物乞いをするのは廃人と同じ
終わりなき愚行への想像力を
恋愛は出合い頭、セックスという「小さな死」
愛する人の死が教えてくれた
人間は何をするかわからない生きものだ
誰でも「事情」を抱えて生きている
人間を描くのに学校を持ち込まない
長生きするには「術」が要る
自分のフォームで流れを読む
努力、才能、そして運が左右するもの
虚しく往くから実ちて帰れる
差し伸べた手にしかブドウは落ちない
時代にめぐり逢うという不思議
顔は死生観まで映し出す
人類などカニみたいなものだ
安心・安全なんてあるものか
神や仏にだって頼らない
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