2015年1月24日

『世界「比較貧困学」入門』石井光太・著 vol.3840

【日本の「貧困」その実態に迫る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569816207

本日の一冊は、途上国と日本の貧困状況を比べ、それぞれの特徴と問題点を、データを元に明らかにした一冊。

著者は、世界の物乞いや障害者を追った『物乞う仏陀』でデビューを果たした、作家の石井光太さんです。

現在、土井はニューヨークで世界でトップクラスの富裕層と触れていますが、つい数カ月前は、インドで極貧の方々を見ていました。

これから世界は人口爆発・都市化に向かいますが、その際に必ず出てくるのが、この「貧困」問題。

現代人が年に住み、生活し、家族を養う上で知っておきたい知識が、本書には詰まっています。

本書では、世界の途上国の現状と、貧困が深刻な問題になりつつある日本で今、何が起きているのか、著者がレポートしています。

登場するデータのサンプルの少なさや偏りが気になりますが、現在の日本の貧困状況を知る上で、とても勉強になりました。

児童労働が認められないことによる負の影響、孤立がもたらす問題、児童婚の本当の意味、貧困に陥る理由…。

金銭的に困窮しないためのヒントとしても、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本では児童に対する福祉法がしっかりと守られているため、基本的には労働が認められることはない。そのため、家を出た子どもたちは食べていくために恐喝、売春、麻薬売買といった犯罪行為に手を染めるケースがあとを絶たない(中略)法令が遵守されてクロかシロかはっきりとしている社会では、家を飛び出した子どもは「クロ」の方向に向かわざるを得ない

ホームレスが一年間以内に家族と連絡を取ったかどうかという調査では、「ない」と答えた人は全体の七七・八パーセントに及んだ。三年以上ホームレスをしている人に限れば、八一・四パーセントが連絡を取っていない

東京二三区の不登校発生率は二・四一パーセントであるのに対し、生活保護受給者の子どものそれは一一・五八パーセントと四・八倍にもなる

「中卒」「十代での出産」「離婚経験」の三つが及ぼす影響は大きい

家庭をもたせてしまえば狙われにくいし、許嫁を決めておけば男性のほうも小さなときから娘をしっかりと守ろうとする(中略)児童婚を一概に悪習として批判する人がいるが、おそらくこういう事情を知らないこともあるかもしれない

ホームレスどうしの結婚が稀になる要因としてあげられるのが、ホームレスの年齢である(中略)五十代以上が全体の約八四パーセントを占めていることがわかる

◆途上国の貧困ビジネス
・臓器売買 ・売血 ・代理母出産 ・人身売買 ・奴隷 ・運び屋

◆日本の貧困ビジネス
・生活保護や年金の搾取
・生活保護受給者を介した診療・医薬品転売ビジネス
・偽装結婚
・戸籍や名義の売買
・ゼロゼロ物件
・闇金融

◆絶対貧困の人々が直面するリスク
1.免疫力が低く病気にかかりやすい
2.危険な環境にいるために事故や災害に遭いやすい
3.途上国特有の病気がある

完全失業率が高い区ほど孤独死発生率が高くなっている

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『世界「比較貧困学」入門』石井光太・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569816207

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◆目次◆

第1章 住居
第2章 路上生活
第3章 教育
第4章 労働
第5章 結婚
第6章 犯罪
第7章 食事
第8章 病と死

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