2015年1月4日

『セックスと恋愛の経済学』マリナ・アドシェイド・著 vol.3820

【ブリティッシュ・コロンビア大学の人気授業】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492314520

学生時代、ヘレン・フィッシャーの『愛はなぜ終わるのか』を読み、2つのことを学びました。

※参考:『愛はなぜ終わるのか』
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1.ジャンルが何であれ、学ぶことは重要である
2.統計的に有利な行動を取ることが、成功への近道である(逆は、うまくいきにくい)

実務家の仕事は、仮説・検証を繰り返しながら目的に近づいていくことですが、その際、すべてを試していたのでは、時間も金も、いくらあっても足りません。

優秀な学者たちがコストをかけて研究してくれているなら、それを学ばない手はありません。

本日ご紹介する一冊は、名門ブリティッシュ・コロンビア大学の人気授業のエッセンスを紹介した、注目の書籍『Dollars and SEX』の邦訳。

自分の娘の貞操が気になる両親が、どんな大学に子どもを入学させるべきか(答えは男性比率の高い大学)、HIV感染者、子宮頸部がんを減らすために政治ができること、出会いサイトで成功する方法など、興味深いノウハウが、過去の調査結果と経済学的思考から導かれています。

うんちくとしても興味深く、

・金持ちのイケメンより貧乏なイケメンの方がモテる
・ペニスのサイズの小さい男性の多い国は、経済状態が悪い
・2枚の写真を順に見せられたとして、先に見せた方が後で見せた方よりもはるかに魅力的であれば、後で見せられた写真だけを見た場合よりもはるかに低く評価してしまう

など、好奇心を刺激する記述がたくさん詰まっています。

なぜ都市部の高学歴女性が結婚できないのかについても、理論的な説明がなされており、興味深く読むことができました。

結婚を真剣に考えたいビジネスパーソン、あるいは恋愛・結婚をビジネスにしている方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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未熟練職は、エコノミストが言う「フラット・アーニングス・プロファイル」、すなわち長く働いても収入がほとんど増えません。このため、未熟練の仕事では、育児に専念するために仕事を辞めるなどキャリアを中断しても、高学歴者ほど失うものはありません。高学歴者の場合は、育児休暇を取ると現状の賃金を失うばかりか、年功加算も失うので、将来にわたって収入が減る見通しになるのです

学生のうち女子比率が47%である学校では、在学中に彼氏を持ったことのない女子学生の69%が処女であるのに対し、女子比率60%の学校では54%に減ります

学内の性の乱れが自分の子女に長期的なマイナスになるのではと心配する保護者にとっては、男子学生の方が多い大学を選ばせるべきという指針になります

エコノミストの観点からは、絞り込み検索は「厚い」市場を「薄い」市場にしていると言えます

白人女性の被験者は、黒人男性が白人男性よりも15万4000ドル多く稼いでいなければ、最初の連絡メールを送ろうとはしませんでした。男性がヒスパニックである場合なら、白人男性よりも7万7000ドル多く稼いでいなければなりません。相手がアジア人である場合なら、白人男性よりも年に24万7000ドル多く稼いでいなければ連絡を取ろうとはしませんでした

エコノミストは「シグナリング」に興味を持っています。相手を取引に引き込むために確かな情報を伝える能力のことです。送り手がコストのかかる情報を送ろうとしているなら、受け手に本気であることが伝わります

ロデリック・ダンカンは、都市部の結婚市場に多くの高学歴女性がいる理由は、人数比と女性側の好みの問題であるとしています。いまでは女性の方が大学進学率が高いので高学歴女性は高学歴男性を数で大幅に上回ります。その上、高学歴女性は男性に自分以上の学歴を求めますが、高学歴男性は女性にそんな条件は求めません

一夫一婦制にすることによって最下段の最も貧しい男は幸せになります

現代社会の女性たちは、貧乏人の唯一妻になるか金持ちの複数妻になるかの選択を強いられるわけではなく、独身を続けながら我が身や子供を養うことができる

レズビアンのカップルは同性愛カップルと異性愛カップルのいずれと比べても、はるかに貯蓄上手

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『セックスと恋愛の経済学』マリナ・アドシェイド・著 東洋経済新報社
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◆目次◆

序論
Chapter1 あなたの恋愛
Chapter2 出会いの大学時代
Chapter3 バーチャル恋愛
Chapter4 渡る世間は鬼ばかり
Chapter5 結婚──この妙なる制度
Chapter6 生計を立てる
Chapter7 新世代の草食系男女
Chapter8 生来の好きもの
Chapter9 愛の終わり
結語
付章一 先人の足跡を生かすもの
付章二 人間道にもとづく共同生活像

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