【競争優位は持続しない?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319382
本日ご紹介する一冊は、ひさびさに新しい視点で書かれた戦略本。
コロンビア大学ビジネススクール教授のリタ・マグレイスが書き、クリステンセン教授が絶賛した、いま注目の一冊です。
リタ・マグレイス教授は、ピアソン、コカ・コーラ、GE、アライアンス・ブーツなどの企業にコンサルティングサービスを提供しており、「ツイッターでフォローすべきビジネススクール教授10人」の1人にも選ばれている人物です。
特に有名なのは、「不確実で不安定な経営環境における戦略」であり、本書には、まさにその理論の中核が書かれています。
従来の戦略理論が前提としていた「持続する競争優位」や「業界内の競争」を否定し、代わりに、「一時的な優位性」という概念を挙げ、競争は業界の垣根を超えて成されると説いています。
本書によると、<製品の特徴、最新技術、「よりよい新製品」といった優位性の源泉は、かつて考えられていたほど長持ちしない>。
代わって、<企業はもっと短命な優位性、たとえば顧客との深い結びつきやいくつものアリーナにまたがるかけがえのない経験を生み出す能力などに目を向けつつある>と説いています。※アリーナ:競技場
また本書で示されているのは、一時的優位性の環境をうまく生き抜いてきた企業に見られる、あるパターン。
それは、<古い優位性から絶えず資源を引き揚げ、新たな優位性の開発に投資する>というパターンで、優れた企業はここが上手いと著者は説いています。
「アジリティーの5つの源泉」「6つの撤退戦略」「所有より利用」など、企業を俊敏にするためのさまざまなアイデアが示されており、なかなか勉強になります。
経営者、戦略部門の方は、ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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市場セグメント、価格、詳細な地理的位置などの関係を反映した新基準の分析が求められている。私はこれを「競技場(アリーナ)」と呼ぶ。アリーナを特徴づけるのは、顧客とソリューションの強固な結びつきであり、代替品となる似かよった商品に関する一般的な説明ではない
◆アジリティーの5つの源泉
1.痛みを伴わない小さな変革を重ねる
2.予算編成で資源の抱え込みを許さない
3.柔軟性
4.イノベーションを本業としてとらえる
5.オプション志向で市場を開拓する
◆6つの撤退戦略
1.整然とした移行(事業の特徴を現在の形から明日の形へ移す)
2.土壇場のロングパス(かつての中核能力を捨て、新たな中核へすみやかに移行するためのソリューションを見つける)
3.ガレージセール(もはや興味のない資産を手ごろな価格で売却)
4.処分特売(もはや活用できない非中核資産を売却する)
5.脱出(投資を減らすとともに、顧客へのサポートの継続には高い料金を課す)
6.最後に残る者(整理統合を促す、さもなくば、利益の出る結末をめざす)
所有よりも利用のほうが一段と魅力的なのは、競争環境の変化に合わせて、組織構造や資産をすばやく調節できるからにほかならない
特定のビジネスチャンスのために資産構成を最適化するよりも、柔軟に転用できる資産が好まれやすい
例外的成長企業は、自社の戦略にふさわしいアイデアの種類を明確にしている。たとえばインフォシスは、どんなタイプのクライアントの依頼を引き受け、どんなタイプを引き受けないかをはっきり決めている
ある程度のバッファーを用意しておき、資源が限られているせいで魅力のない企業で働かざるをえないとか、次のステップに飛び移りたいのにできないという事態を避けるのだ
新たなチャンスを見つけるためには引っ越しや移動もいとわない
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『競争優位の終焉』リタ・マグレイス・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319382
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◆目次◆
第1章 競争優位の終焉
第2章 シナリオ1 継続的に変わり続ける──安定性とアジリティーの両立
第3章 シナリオ2 衰退の前兆をつかみ、うまく撤退する
第4章 シナリオ3 資源配分を見直し、効率性を高める
第5章 シナリオ4 イノベーションに習熟する
第6章 シナリオ5 リーダーシップとマインドセットを変える
第7章 シナリオ6 あなた個人への影響について考える
訳者あとがき
原注
索引
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