2014年6月13日

『新しい「物流」の教科書』湯浅和夫・著 Vol.3615

【物流の基本がわかる良書。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569818730

通販ビジネスの隆盛により、物流の世界では、ある深刻な問題が進行中であることをご存知でしょうか?

それは、「運べなくなる」という問題。

そう、今や人類はかつてないほどの量を輸送しているのであり、それに物流現場が追いつくのは、至難の業なのです。

事実、つい数カ月前、大手通販会社の物流センターを辞めた知人が、「このまま行くと、いつか送れなくなる」と、現場のマンパワーや資源不足を語ってくれました。

そこで本日取り上げたいのは、ズバリ「物流」に関する本。

著者の湯浅和夫さんは、日通総合研究所を経て、独立した人物で、現在はイヌイ倉庫株式会社の社外取締役も務めています。

本書には、なぜ物流が重要なのか、わが国の物流が現在どの程度の規模なのか、さらには効率的な物流のヒントまで、ビジネスマンの教養としての「物流」にフォーカスし、かなり突っ込んだ内容が書かれています。

なぜムダが発生するのか、どうやってムダを排除するのか、具体的な理由や方法が提示されており、じつに勉強になりました。

◆ムダを見える化するまでのステップ
アクティビティの設定→定義づけ→定義通り動いた場合に要する時間(標準作業時間)の測定→あるべき姿と現状とを比較→問題の見える化

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ネット通販に代表される「BtoC」の物流は、まだ成長過程にあります。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」(平成25年9月)によると、ネット通販の平成24年の市場規模は対前年比12.5%増の9.5兆円です。この伸びはまだ続くと見込まれています

楽天からすれば、本来、物流は出店者の仕事なわけですから、自分には関係ないということになります。ただ、当日あるいは即日配送がネット通販における競争を左右する重要な要件となってくれば、関係ないなどと言っているわけにはいきません。出店者自身では当日あるいは即日配送などできないということになれば、楽天市場の競争力の低下を防ぐため、楽天が支援する必要性が強まります

物流ができる範囲でしか売上をあげることができない

企業経営における物流の役割:売上実現

物流を構成する諸活動が個別最適に陥らないように監視する

◆企業競争力を高める物流
(1)ローコストの物流
(2)環境に優しい物流
(3)災害に強い物流

◆物流における二つのムダ
(1)物流の活動に内包するムダ
(2)顧客納品と無縁の活動をするムダ

多くの場合、「欠品を出さないため」とか「たくさん売れるかもしれないから」とかいう思惑や都合により在庫配置や補充がなされているというのが実態

アクティビティの設定→定義づけ→定義通り動いた場合に要する時間(標準作業時間)の測定→あるべき姿と現状とを比較→問題の見える化

短納期化という現象は、物流拠点を増加させるという形で物流に影響を与える

流通加工は、本来顧客側で行うべき作業を代行しているのだという認識を持ち、相応の費用請求をすべきもの

利害に縛られて改革が遅れたサプライチェーンは次第に競争力を失っていく

梱包の見直しで輸送費を20%程度削減したという企業が少なくありません

わが国の輸送量は48億トン

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『新しい「物流」の教科書』湯浅和夫・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569818730

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◆目次◆

第1章 物流の最新動向
第2章 そもそも物流とは何か
第3章 「物流のあるべき姿」をイメージする
第4章 物流効率化の進め方
第5章 物流サービスの管理
第6章 ロジスティクスを導入する
第7章 SCMへの展開が残された課題
第8章 物流コスト削減の諸方策
第9章 数字で見るわが国の物流と物流業界
第10章 期待される物流業者の役割
第11章 物流子会社が目指す方向性

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