2014年6月6日

『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』安西洋之・著 vol.3608

【世界の中小企業】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844373633

本日の一冊は、アメリカ、イタリア、ドイツ、フランス、イギリス、日本の元気な中小・ベンチャー企業に取材し、成長の要因をまとめた一冊。

あまりメディアで登場することのない、オンライン上、あるいはローカルで成功した新進気鋭の企業が登場し、興味深い企業インデックスとなっています。

前半に書かれている成長要因の分析は、正直ありきたりのものが多く、ほとんどの企業は、「ビジョン」「事業の集中」「人材」といった回答。

ただ、うまくいっている企業の考え方の傾向や市場のトレンドはつかめるので、もっと知りたい方は、本書をインデックスにして、ネットで検索するといいでしょう。

カシミアで知られる「ブルネッロ・クチネッリ」や、世界160か国以上のクリエイターが参加するフランスのアイカ(eYeka)、米国ボストンに本社があるグラブキャド(GrabCAD:CADデータを扱うエンジニアやデザイナーのエキスパート向けコミュニティを運営)など、色とりどりの企業が登場し、経営者のコメントとともに楽しめる、興味深い内容となっています。

教訓として面白かったのは、中小・ベンチャー企業はバリューチェーンの一部しか担えないので、自分ができないところを他人にやっ
てもらうしくみが大事だ、というところと、ビジネスは最終的にローカルでしかあり得ないというところ。

グローバル化する経済の中で、中小・ベンチャー企業がどう戦えばいいか、たくさんヒントをいただきました。

企業経営者は、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆スイス本社のオンラインゲーム企業ミニクリップ
「成長のためには何をおいてもお客様、商品、そして市場をよく理解すること」(同社副社長 クリストファー・J・ベルグストレッサ氏)

◆成功している企業の成長要因の典型的回答
「ビジョン」「事業の集中」「人材」

「私はブルネッロ・クチネッリを自分の企業だとは思っていません。会社と社員の人生をたまたま預かっているのです。生きとし生けるものの一部を預かった守衛のようなものです。普通、企業のオーナーは失うことへの心配しかしないものですが、城の守衛は300年先を考え、建築修復家は500年先まで考えるものです」

フランスのアイカ(eYeka)社のサービスには、世界160か国以上の約27万人のクリエイターが登録しており、コンテスト形式の作品募集に、既に7万4千人近くのアイデアが提案されています(2014年1月現在)アイカは、2006年にスタートした現在40人程度の企業です。クリエイティブな人たちが繋がるヴァーチャルコミュニティを運営しています(中略)コカコーラが「元気の出る飲み物を30秒の動画で表現してください」と募集すると、3か月以内に2500以上の動画の応募が殺到しました

米国ボストンに本社があるグラブキャド(GrabCAD)は、コンピュータによる設計支援ツールであるCADデータを扱うエンジニアやデザイナーのエキスパート向けコミュニティを運営しています。100万に近い登録人数と約35万のファイルがライブラリーにあります(2013年12月時点)

インターネットサービスにおいても、検索エンジンではグーグルが世界で独り勝ちをしているわけではなく、日本ではヤフーが強いですし、メッセージサービスではライン(LINE)はアジアでは強くても、ヨーロッパではワッツアップ(WhatsApp)が圧倒的です。このように、市場の地図は常にまだら模様なのです。ビジネスの仕掛けには、ローカルの文化傾向を考慮することが欠かせないのです

ミラノの空港にモッツァレラチーズの専門店があるように、空港もその国ならではのローカル産物の販売拠点が増えています。

「中小企業」に新しさを感じるのを時代の先端感覚であると私は考えています。また、前後して次のような経験をしました。デザイウィークにやってきたインドネシアのデザイナーと雑談していたところ、「大企業で働きたいという若者が減っています。彼らはローカルの中小企業で働きたいというのです」というセリフがするすると出てきました。私は驚きました。ローカル中小企業への注目は先進国の傾向であると勝手に想像していたのです

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『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』安西洋之・著 クロスメディア・パブリッシング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844373633

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◆目次◆

はじめに
序 章 伸びている中小・ベンチャー企業は高く狭く売るのが得意
第1章 世界の伸びているITサービス企業に学ぶ
第2章 イタリアで伸びているモノづくり企業に学ぶ
第3章 デザインの使い方とブランドの育て方
第4章 組織のデザイン
第5章 ルールの作り方を知る
第6章 オープンなプラットフォームにアイデアが集まる
第7章 すべてのビジネスはローカルに通ず
第8章 日本の中小・ベンチャー企業は何を目指せば良いのか
第9章 これからのビジネスへのヒント
あとがき

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