【ITビジネスは何を売っているのか?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140816244
本日の一冊は、マッキンゼー、リクルート、Googleを経て、楽天の執行役員となった著者が、ITビジネスの儲けの「原理」を明らかにした一冊。
いわゆるビジネスモデル本ではなく、なぜ人間がそれを欲するか、なぜそのビジネスが利益を生むのか、という視点から論じており、ITビジネスの本質を突いた議論になっています。
冒頭、著者が述べているように、ビジネスが儲かる原理は、「場所による価値の違い」にある。
だから、儲けようと思ったら、「(その商品を)安いと感じているところから仕入れて、高く感じているところへ売る」ことが大事なのです。
しかし、この差異を縮めてしまうのが、IT・インターネットの本質。著者は、この本質を受けた上で、儲けるための方法を指南しています。
・点在する情報を一か所に集める
・TAC(Traffic Acquisition Cost)をゼロに近づける
・純粋想起を取る
・サンクコストにお金を払わせる
・時間や仕事を細切れにする
ITビジネスで儲けるためのさまざまな原理が述べられていますが、これからのトレンドとして注目したいのが、「ハイコンテクスト」というキーワードです。
ご存知の通り、日本というのはハイコンテクストな文化であり、そこでの儲けの原理について、著者はこう説明しています。
<日本というハイコンテクストな国は、こうした言葉ではない部分を楽しむ、隙間を楽しめるという文化がある。そのために、その部分が過剰に消費されるというわけです。「LINE」において常に新しいスタンプが消費されているのはいい例です。コミュニケーション消費では常に人とは違う新しい刺激を求める、つまり前と違うことで人を喜ばせたいという原理があるからです>
そういう意味で、最近は書籍マーケットでもこの「コミュニケーション消費」が発生しており、ベストセラーがますます売れる傾向となっています(話題にするためにベストセラーを買う)。
現在、ITビジネスに起きていることの本質がわかる内容であり、じつに良い勉強になりました。
アマゾンに対する分析が客観性を欠いているのは残念ですが、それを除けば、良い本だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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・売ろうとする商品
・その商品の価値が最も低い場所(仕入れ地)
・商品の価値が最も高い場所(消費地)
の三つを結びつけるマッチングが、ビジネスのキーになる
情報が共有されることで「場所による価値の差」そのものがなくなってしまう
「点在する情報を一か所に集める」という作業は、インターネットがひじょうに得意とするところ
インターネットビジネスにおいては、いかにこのTAC(Traffic Acquisition Cost)をゼロに近づけるかというのが大きな課題
何のヒントや手がかりもなく、ブランド名などを思い浮かべることを純粋想起といいますが、この純粋想起を取ってしまうのが最強なんです。まず頭に思い浮かんだ場所に行く。だから純粋想起を取ったサイトに人は集まるのです
課金ビジネスがうまくいっていないのは、集金システムが整っていないため
日本の携帯電話は各キャリアが4桁の暗証番号を入れるだけで課金できるという体制を作ったおかげで、世界一のコンテンツ市場を生み出しています。日本の携帯コンテンツの市場規模はピークの2011年には6500億円を越えました。これはiPhoneのアプリマーケットが全世界で売り上げた金額を遥かに上回っているのです
ソーシャルゲームというのは、その人がついついハマってしまう「交換」「収集」「育成」「対戦」のそれぞれの部分で、ネガティブな言い方になりますけれども、お金を掠め取ろうというもの
ITやインターネットは仕事を細切れにすることで価値を生み出すだけではなく、その細切れを集めることによって新しい価値を生み出し、普段使われていない部分を有効活用することができる
日本というハイコンテクストな国は、こうした言葉ではない部分を楽しむ、隙間を楽しめるという文化がある。そのために、その部分が過剰に消費されるというわけです。「LINE」において常に新しいスタンプが消費されているのはいい例です。コミュニケーション消費では常に人とは違う新しい刺激を求める、つまり前と違うことで人を喜ばせたいという原理があるからです
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『ITビジネスの原理』尾原和啓・著 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4140816244
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◆目次◆
はじめに Googleから楽天へ
第1章 ITビジネスは何で稼いできたのか
第2章 ネットが世界を細分化する
第3章 ネットワークとコミュニケーション
第4章 消費されるコミュニケーション
第5章 ITの目指すもの、向かう場所
あとがき
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