【40年連続黒字。視察者殺到の「福島屋」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534051492
本日の一冊は、2014年1月、六本木に誕生したばかりの複合オフィスビル「アークヒルズサウスタワー」に出店した話題のスーパー、「福島屋」の経営の秘密を、代表の福島徹氏が語った一冊。
安売りしない、チラシを撒かない。それでも創業40年間黒字を続けているという、地方のスーパーが一体何をやっているのか。
本書には、その秘密が書かれています。
正直、前半部分を読んでいても他店との違いはさほど感じられなかったのですが、後半に進むにつれて、「この店はすごい」と心から思うに至りました。
相模半白キュウリという、今では幻と言われるような希少野菜も売り切り御免で並ぶ売り場、20年以上かけて全国津々浦々を歩き、発掘した商材400~500点が並ぶ「津々浦々物語」プロジェクト、硝酸態窒素の含有量を自主的に検査する、安全へのこだわり…。
オリジナリティある棚を徹底追求するために、社内で売り場改善のための「グラフィック・ワークショップ」を行っているという話は、心底驚きました(そのために写真を撮りまくっている)。
お店の品揃えも、殺菌工程の火入れを行う前の醤油「きあげ」や、セロリの醤油煮、しょうがのべっ甲煮など、オリジナル商品ばかりで、買い物が楽しそうです。
「森ビルの強い要請により」アークヒルズサウスタワーに出店した、というリリースを見て、最初は眉唾だったのですが、これは、目の肥えた人にも愛されそうなお店です。
一時は欲に目が眩んだという著者が、どう心を入れ替え、現在の経営を実践するにいたったか、その辺も読みどころです。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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年商は41億円。おかげさまで創業以来40年、紆余曲折はあったものの、何とか黒字経営を続けています。社員数は約350人、自己資本率80%の中堅スーパーにいたっています
青果売り場には、無農薬でつくられた自然栽培の、旬の野菜やくだものを中心に並べています。秋であれば、それに加えて、地方の農家の方が里山で収穫してくれた山菜やきのこなども並びます
商売の原点には必ず「正直」「愛情」「思いやり」がなければいけない
できる限り旬のものを並べる。品切れは「心待ち」に変える
自分で吟味する力がなければ、売り場も店も衰退していくだけ
顧客離れの原因は「売れないので買ってください」という必死さ
棚の陳列の基本は、角、角、真ん中と考えています。青果コーナーの例で言うと、角と角に、最も注目度の高い、基点となるような野菜を置きます。その次に、角の野菜と関連するような野菜を真ん中に置きます。それをベースにし、何かしら次々に関連付けながら、空いている部分に他の野菜を並べていきます
しいたけ一つでも売り方は実にさまざまです。やや低めの平台に置くと野性味が出て、新鮮な雰囲気を醸し出してくれます。そのため、採れたてであることをお客様に知ってほしいときは、やや低めの台に並べます。逆に、高品質であることをアピールしたいなと思ったときには、やや高めの位置に並べます
独自の安心安全基準は店の大きなウリになる
仕入れた分は売り切る。これが私の考え方です。基本的に適正仕入れ、適正在庫という概念は捨てたほうがいいと思います
金銭面をオープンにすることが信頼につながる
大規模投資の必要なし。小ロットで個性的な新商品をつくろう
各地には、全国的には知られていなくても、その地域で愛され、親しまれている逸品があります。そうした地域に眠っている“お宝的特産品”を発掘し、丹念に集めて立ち上げた事業が「津々浦々物語」
講座参加者は、使用した食材を購入してくださる
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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』福島徹・著 日本実業出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534051492
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◆目次◆
口絵 買い物が楽しくなるスーパー福島屋の“こだわり”
第1章 町のスーパー福島屋が強い理由
第2章 失敗から学んだ「商売で大切なこと」
第3章 「売り場づくり」はスーパーの要
第4章 実践で学んだ「吟味」する力
第5章 生産者さんとの連携で「共存共栄」
第6章 「講座ビジネス」が小売り業の核になる
第7章 これからの小売業の在り方
木村秋則さんとの特別対談
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