2013年5月1日

『経営戦略全史』三谷宏治・著 Vol.3207

【経営戦略の歴史を概観できる好著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799313134

以前、雑誌のアンケートで、エグゼクティブが部下に求める教養として、「経営学」を筆頭に挙げていました。

重要なのはわかっているけれど、経済学部、経営学部でもなければなかなか学ぶことがない、この「経営学」。

手っ取り早く学べるのは、以下の2冊ですが、それでもまだ難しいという方におすすめなのが、この『経営戦略全史』です。

※参考:『マネジメントの世紀』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521135

※参考:『ゼミナール 経営学入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532132479

著者も冒頭で書いているように、<歴史を活き活きと描くには個人のエピソードや物語が必須>。

本書では、経営戦略の歴史を作ってきた偉人たち(テイラー、メイヨー、フェイヨル、ポーター、クリステンセン、バーニーなど)のエピソードと理論を引きながら、経営戦略の基本を概観しています。

本書が類書と違うのは、偉人たちがどんな実験をしたのか、誰がどんな理論、フレームワークを打ち出したのか、当時の背景を説明しながら丁寧に紹介している点。

物語のような面白さがあるので、約400ページのボリュームがまったく気になりませんでした。

ノン経営学部の方が、経営学の歴史を学ぶのに、本書は最適の一冊だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ヒトは経済的対価より、社会的欲求の充足を重視する

ギャップ分析:未来の自社の姿(あるべき姿、To Be)を描き、自社の現在地(今の姿、As Is)を明確にし、その差(ギャップ)を埋める

◆アンゾフ・マトリクス
1.市場浸透戦略 2.市場開拓戦略 3.製品開発戦略 4.多角化戦略

企業の成功のためには、「よい(儲かる)ポジショニング」だけでは足りない。そのポジショニングを維持するための「よい(儲ける)企業能力(ケイパビリティ)」が必要

クラウゼヴィッツによれば、ナポレオンが(当初)連戦連勝したのは、勝てる(かつ決め手となる)ところでしか戦わなかったから

超優良企業では、戦略や指示でなく「価値観の共有によるマネジメント」が行われている

付加価値の向上(差別化)と、コストの低下(コストリーダーシップ)は、ポーターの唱えたように二律背反のものではなく、時間短縮によって、同時に実現できるものだった

その経営資源が「持続的な競争優位性の源泉」となりえるのかどうかを見分ける判断基準としてバーニーは、以下の4つを挙げました。
・経済価値(顧客に価値があるのか)
・希少性
・模倣困難性
・組織(各資源を有効に活用できる組織か)

「組織は戦略に従う」のは、組織が戦略ほど急には変われないからだ

失敗するのはリーダー企業が顧客志向でありすぎるためだ(クレイトン・クリステンセン)

「歴史から『答え』は学べない」これがワッツの主張です

「登りやすい道を探せ」とポジショニング派は言った

「登りやすい方法で登れ」とケイパビリティ派は言った

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『経営戦略全史』三谷宏治・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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◆目次◆

第1章 近代マネジメントの3つの源流
第2章 近代マネジメントの創世
第3章 ポジショニング派の大発展
第4章 ケイパビリティ派の群雄割拠
第5章 ポジショニングとケイパビリティの統合と整合
第6章 21世紀の経営環境と戦略諸論
第7章 最後の答え「アダプティブ戦略」
補章 全体俯瞰のためのB3Cフレームワーク

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