【マクドナルド原田泳幸氏の経営センス】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318262
2004年に日本マクドナルド社長に就任して以来、既存店売上高で8年間連続プラスを達成した原田泳幸氏。
これまでにも何冊か氏の本は読ませていただきましたが、本書は、そのなかで一番、氏のマーケティングセンスを感じさせる一冊です。
<「世界で売れるもの」しか「日本で売れるもの」になりません>という、グローバル市場の現状をとらえた発言、<コモディティでありながら、お客様が慣れ親しんだ食のスタイルであり、独自性を持ったものがヒット商品になる>という視点、さらには氏が実際に手掛けた「クォーターパウンダー」キャンペーンや現場にしたアドバイスまで、いろいろとマーケティング上の気づきを与えてくれる一冊です。
マクドナルドは「カジュアルなおしゃれ感」、アップルは「ある程度カリスマ性がないといけません」など、アップルの日本代表も務めた著者だけに、ブランディングに関しても、企業ごとに打ち出すイメージややるべきことが違うという、バランスのとれた見方を示しています。
個人的に好きだったのは、教育のための「3分間ストアツアー」で部下をお店に連れて行って、アドバイスをした話。
<「今だけ100円」と書いてあるが、お客様が「今だけ」というものを覚えてくれると思ったら大間違いだとも言いました。140円に戻したら、値上げと思うお客様が出てきます。140円の値付けに×をつけ、その横に「今だけ100円」とすべきです>
著者のマーケティングへの嗅覚を感じさせるエピソードがたくさん収められており、じつに興味深く読ませていただきました。
マネジメント面で参考になったのは、著者が人を切る時の基準。
<その人物がビジネス・アジェンダ(会社のため)で行動しているか、パーソナル・アジェンダ(自分のため)で行動しているか>という基準は、他にも応用が効く考え方で、大いに参考になりました。
著者がスティーブ・ジョブズについて語ったパートや、柳井正氏との対談のパートもあり、お得感のある一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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改革は大きく2つに分けることができます。ひとつは業界で誰も行ったことがない新しい施策を実行すること。例えば、地域別価格、100円マック、24時間営業などです。「非常識なことを常識にしてやろう」、そういったチャレンジでした。もうひとつは経営構造改革です。「戦略的閉店」と称して、目先の売り上げの500億円を犠牲にしてでも433店舗を閉鎖し、さらなる成長のために身を削る思いで基礎体力をもう一度つけ直しました
やはり、常に成長の土台をつくる商品というのは必要
最終目的はKPIの数値ではなく、売り上げです。売り上げを上げていくためにこのKPIをどう使うのか、という思考が大事
数字より目的の方が重要
バカ×利口>バカ×バカ>利口×利口>利口×バカ
やはりビジネスとは、マーケットシェア・ゲームだけではなくて、マーケットをつくることではないでしょうか
「今だけ100円」と書いてあるが、お客様が「今だけ」というものを覚えてくれると思ったら大間違いだとも言いました。140円に戻したら、値上げと思うお客様が出てきます。140円の値付けに×をつけ、その横に「今だけ100円」とすべきです
マクドナルドの経営戦略において、私が今何をしているかというと、多少の外的要因で売り上げが大きく変動しても、経営がぶれないようにすることです。こういう時は規模のメリットを活かして、コストを下げていくことです
値上げの理由は、「おいしくなったから」が正解
慎重な人はたくさんいますが、大胆な発想をする人は少ない
やはり、業績が一番大事です。業績なくしてブランドが光ることは絶対あり得ません
コモディティでありながら、お客様が慣れ親しんだ食のスタイルであり、独自性を持ったものがヒット商品になる
私が非情に冷徹に人材を切るというのは、その人物がビジネス・アジェンダ(会社のため)で行動しているか、パーソナル・アジェンダ(自分のため)で行動しているかという判断
「世界で売れるもの」しか「日本で売れるもの」になりません
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『大きく、しぶとく、考え抜く。』原田泳幸・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318262
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◆目次◆
第1章 新しい成長を生み出す
第2章 マーケティングの「感覚」を磨く
第3章 人とブランドを育てる
第4章 「価値」を創出する
第5章 「現場」「現実」に学ぶ
第6章 戦略とリーダー
第7章 スティーブ・ジョブズの教え
巻末対談 「世界」で勝つ原田泳幸×柳井正
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