2012年9月11日

『カーネル・サンダースの教え』中野明・著 Vol.2975

【カーネル・サンダースの成功哲学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023311200

<自他ともに認める「下品な言葉」の使い手>
<全米一のタイヤのセールスマン>
<元機関士>
<最初の仕事でクビ>
<65歳になって無一文>

これが一体誰のことか、おわかりでしょうか?

この人物の名は、ハーランド・デビッド・サンダース。

そう、あのケンタッキー・フライドチキンを創り、世界で初めてフランチャイズ・ビジネスを生み出した男、カーネル・サンダースの本名です。(※カーネルは地域やケンタッキー州、国に対して貢献した人物にケンタッキー州が贈る称号)

本日ご紹介する本は、そのカーネル・サンダースの成功哲学を、2種類の自伝とその他資料をもとに、作家である著者がまとめた一冊。

白いスーツにメガネ姿の、紳士然としたイメージからは程遠いカーネルおじさんの素顔、キャリア、そして熱い経営哲学が明らかになる、じつに興味深い一冊です。

本書によると、カーネル・サンダースは、10歳の頃から家計を助けるために働きに出て、じつにさまざまな職業を経験します。

農場の手伝い、ペンキ塗り、路面電車の車掌、軍隊入隊、鍛冶屋見習い、機関士、弁護士実習生、プルデンシャル保険のセールスマン、フェリー運航会社設立、商工会議所秘書、アセチレン・ライト製造販売会社設立、ミシュラン・タイヤのセールスマン、ガソリンスタンド経営…。

驚くことに、7歳の頃、パンを焼いて褒められて以来、料理の天才だった著者が飲食を手掛けるのは、ガソリンスタンドにレストランを併設したのが最初でした。

最初の仕事でクビになり、以来、いくども破産を経験。飲食店で成功を収めた後も、65歳で無一文に…。

それでもめげずに事業に挑む著者の姿からは、読んでいて勇気を与えられます。

・できることはすべてやれ
・やるなら最善を尽くせ

ガソリンスタンドでは、窓ふきサービスをし、タイヤの空気の無料点検、車内の泥はポケットに差したハンド・ブラシできれいに掃除する…。

何の仕事でも工夫し、最善を尽くす著者の姿勢を見ていると、ビジネスでやれることはまだまだあるなと、励まされます。

けが人に対して最低限の補償で済ませようとする鉄道会社とやり合い、負傷者の代理人となった話、商売敵と銃で撃ち合いになった話、販売した機器の代金を払わないオーナーのところに乗り込んで行って、小切手を切らせた話…。

毀誉褒貶の激しかったカーネル・サンダースのエピソードは、下手な小説を読むより、ずっと刺激的です。

倒産やリストラなどのニュースが入る度、暗くなりがちな現在の日本ですが、カーネルおじさんのこの言葉を聞けば、ちょっとは前向きになれるかもしれません。

<人は60や65になると人生これで終わりと思うものじゃ。しかしその人の年齢は、自分が感じた年、思い込んだ年で決まるもんじゃ。年がいくつであろうと、やれる仕事はたくさんあるさ>

何度も失業・倒産を経験し、それでも前向きに働いて世界を変えた男、カーネル・サンダース。

本書を読めば、きっとあなたにも起業家精神が湧いてくるはずです。

ちなみに余談ですが、本書で紹介されている有名なコピー、It’s Finger Lickin’ Good(指をなめるほどうまい)のおかげで、今日のランチは思わずケンタッキー・フライドチキンで食べてしまいました(笑)。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆カーネルが守ってきた2つのルール
・できることはすべてやれ
・やるなら最善を尽くせ

◆ロータリークラブのスローガン
最も奉仕する者が最大の利益を得る

◆ロータリークラブで出合った4つのテスト
1.嘘偽りはないか?
2.関与するすべての人に公正か?
3.信用と信頼を築けるか?
4.関与するすべての人に利益があるか?

<ハードワークは割に合う。このことが証明されたわけじゃな>

<失敗とは再び始動したり新しいことを試したりするために与えられた機会じゃよ。ワシはそう信じている>

<なぁ、お前さん、4セントをごまかそうとする男がビジネスで成功すると思うかい。思わんだろ>

「電話で言ったことをわざわざ会いに来て言う必要はなかろう」
「いやいや。今回の場合、あんたはワシが言ったことを忘れているようだからね。ワシが言ったのは…」
その後カーネルは、先に電話で言ったのと同じ悪態を繰り返した。これにはさすがのオーナーも辟易し、カーネルに小切手を切ることを了承する

「イッツ・フィンガー・リッキン・グッド」(It’s Finger Lickin’ Good)は、ピート・ハーマンが最初に用いたケンタッキー・フライドチキンの著名な広告コピーだ。「指をなめるほどうまい」すなわち「とってもおいしい」という意味である

<店を清潔にしなさい。スタッフには礼儀正しくさせなさい。おいしい料理を出しなさい。あとは懸命に働きなさい。これで成功できるとは限らんが、成功への第一歩にはなるだろうね>

<ワシたちは我々の考えに共感する人たちだけと仕事をしてきた。そもそも理念に共感しない人を選んでもトレーニングする意味がないからね>

卓越した料理人であり、卓越したセールスマン──それがカーネルだった

<カーネルは天性のショーマンでした。彼が一歩前に出ると、何かが育まれ、注目が集まります。でも、一度そうなると今度は別の誰かがそれを維持する必要がありました。彼は天性のマネジャーではなかったんです>(妻クラウディア)

ケンタッキー・フライドチキンをより成長させるには、マネジメントのプロに道を譲るのが、このビジネスに関与するすべての人の幸福を増大する。これがカーネルの出した結論だった

<ワシには指針にしていた教訓がある。人は「できる」とか「したい」と思う分だけ実現できるもんじゃ>

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『カーネル・サンダースの教え』中野明・著 朝日新聞出版

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023311200
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◆目次◆

1.65歳からの再起
2.ビジネス哲学
3.仕事へのプライド
4.二つのモットー・四つのテスト
5.ネガティブ・セールスマン
6.懸命に働く
7.ひらめき
8.プロモーション
9.ルール化とその厳守
10.成功と失敗
11.シークレット・レシピ
12.ピンチの連続
13.フランチャイズ・ビジネス
14.車での寝起き
15.カーネルの流儀
16.完全主義者
17.歩く広告塔
18.仕事の創造
19.慈善活動
20.会社売却
21.生涯現役

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