【中国で2000円バーガー?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761268425
最近、「中国」と聞くと思わず反応してしまう土井ですが、本日の一冊も、タイトルに「中国」が入っています。
とはいえ、内容は中国ビジネスの話ではなく、経営戦略の話。
品川に本社を置く中堅食品メーカー、雪見食品の経営戦略室に所属する29歳の江川エリが、中国ビジネスを立ち上げるまでのストーリーを通じて、経営戦略とは何かを学べる、そんなストーリー仕立てのビジネス書になっています。
テイストとしては、以前紹介した『すべては戦略からはじまる』に似たストーリーモノです。
※参考:『すべては戦略からはじまる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478014566
この『中国で2000円のハンバーガーをどう売るか?』に登場する江川エリは、12人いる経営戦略室のメンバーの中で、もっとも企画本数が多いものの、ヒット率が著しく低く、会社に不満を抱えています。
彼女の企画が採用されないのは、ズバリ「経営戦略」の視点が欠けているから。
いつまでもそれに気づかない彼女は、やがて「インスタントお好み焼き」で大失態を演じてしまいます。
そこに登場したのが、アメリカでMBAを取得した経営戦略の専門家で、最年少管理職になった牧野次長。
エリは、この牧野次長に反発を感じながらも、経営戦略の肝を学び、ビジネスパーソンとして成長していきます。
上司は部下のアイデアのどこを見ているのか、社長はコストとリターンをどう考えて意思決定しているのか、そんなことが学べる、価値あるストーリー本です。
ストーリーを通して、事業ドメインの話から、新規事業を開発するためのポイント、差別化、戦略の4C、SWOT分析、アンゾフの多角化マトリクス、ランチェスター戦略まで、戦略の基礎知識を、幅広く押さえることができます。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「たしかに、ソーシャルゲームで成功した企業もある。しかし、魅力的な市場だからといって、わが社がそこで勝てるとはかぎらない。なぜなら、『魅力的な市場だ』と誰もが考えると、そこに沢山の会社が参入してきて、とてつもない競争市場になるからだよ」
「会社にはそれぞれ『得意領域』があるんだ。たとえば、機械に強い会社、化学に強い会社、システム開発に強い会社など。わが社は、食品に強い会社だね。だったら、食品関係で新製品や新規事業をやったほうが、成功率は高いんだ」
「本業を重視したほうが、すでにある経営資源を有効活用できるんだ」
「経営資源って、『ヒト・モノ・カネ・情報』ですね」
「もう1つある。経営資源には、『チャネル』を加えたほうがいい」
『経営資源』と『チャネル』を組み合わせて、『相乗効果が出るビジネス』を考える
「たしかに、会社は5年も成長を続けると、ドメインが手狭になる。だから、ドメインを5年周期くらいで見直すんだ」
『エレベーターのメンテナンス会社』みたいに、事業の『手段』でドメインを定義すると、新規事業の新しい芽が出るチャンスをつぶすことになる
「事業の『機能』で定義するんだよ」
差別化を明確に打ち出すためには、わが社の『コアコンピタンス』をうまく使うことがカギになる
「ビジネスモデルとは、『儲けを生み出す具体的なしくみ』のことだよ。そして、このしくみには必ず、『キー・ファクター・フォー・サクセス(Key Factor for Success)』、略してKFSが組み込まれていないといけないんだ」
最初に消費者が思い浮かべるメーカーや製品のことを、トップ・オブ・マインドという
『将来性のある市場』こそ攻める価値のあるニッチ
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『中国で2000円のハンバーガーをどう売るか?』西村克己・著 かんき出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761268425
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◆目次◆
Prologue 江川エリ、暴走する
“戦略なき新規事業”は失敗する
Part1 牧野次長登場、「雪見食品のドメイン」を語る
経営資源とチャネルのシナジー、事業のS&B
Part2 競合他社と差別化できる点を考えよ
コアコンピタンス、ビジネスモデルとKFS
Part3 彼を知り己を知れば百戦あやうからず
戦略に欠かせない4C、ビジネスチャンスを見出すSWOT分析
Part4 モノが売れない時代の事業戦略
ブランド力とトップ・オブ・マインド、選択と集中による差別化
Part5 将来性のある市場を狙え
ナンバーワン戦略とオンリーワン戦略、ニッチ戦略
Part6 ソフトバンクとアマゾンの成功の共通点は何か?
アンゾフのマトリクスに学ぶ、事業の多角化の成功法則
Part7 新製品、〈ジャパンプレミアムバーガー〉を企画する
ランチェスター戦略に学ぶ、弱者の必勝法
Part8 すしざんまいが1本5000万円超のマグロを競り落とす理由
マーケティングの基本戦略、R-STP-MMとAIDMAモデル
Part9 江川エリ、雪見社長に対してプレゼンを行う
商品開発の最後のつめとトップの経営判断
Part10 新製品の売上目標をどう達成するか
テストマーケティングとクリティカルマス
Epilogue 旅立ちの日がやって来た
おわりに
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