2011年12月10日

『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』藤原和博・著 Vol.2698

【「人生後半」の生き方論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591126579

本日の一冊は、東大卒業後、リクルートに入社し、30代前半で営業本部長、40歳で退職して、47歳で東京都初の民間人校長となった著者が、長寿時代の人生設計を説いた一冊。

『坂の上の坂』というタイトルは、もちろんあの司馬遼太郎のベストセラー『坂の上の雲』をもじったものですが、いわく『坂の上の雲』世代は、<「雲」を眺めたまま走り続けていたら、余計なことを考える必要もなく、あっさりと死を迎えることができた>。

しかし、長寿時代を生きる私たちにとって、<待ち構えているのは、実は「雲」ではなく、次の新たなる「坂」なのではないか>というのが著者の主張です。

確かに、かつて人生の大半を占めていた「会社」というモデルは、既に人生を保証してくれるものではなく、お金においても、人間関係においても、定年後の占める比率が高くなっています。

本書は、現在55歳の著者が、そんな「人生後半戦」の生き方論を述べた一冊。

著者が実際に体験したこと、見聞きしたことを中心に書かれているため、話が具体的で、思わず行動したくなります。

・家のリビングから、テレビを追放する
・組織内自営業者になる
・外国人にも理解できるよう、履歴書を書いてみる
・自分で本を出し、講演できるスキルを身につける
・愛情ある投資をする
・お金をもらわない仕事も投資のうちと考える
・いざというときの“疎開先”を見つけておく

などなど、人生後半に備えて、やっておきたい内容が満載。

先日ご紹介した『プロフェッショナルサラリーマン』が現役世代のための処世の書としたら、こちらは人生後半のビジネスマンのためのバイブル。

※参考:『プロフェッショナルサラリーマン』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833419866

藤原さんの生き方に賛同する、しないは立場次第でしょうが、少なくとも、読めばいい刺激が得られると思います。

ぜひチェックしてみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

日露戦争を戦った約百年前、「坂の上の雲」世代の平均寿命は、今の半分だった

待ち構えているのは、実は「雲」ではなく、次の新たなる「坂」なのではないか

「人生はひと山だ」という先入観は、これからを生きる「坂の上の坂」世代を不幸にします。なぜなら、仕事を「ひと山」超えても、その先の時間はまだまだ長い。慣性だけで余生を生きるのは無理があります

無謀なことをやろうとするほど、人は応援してくれる

大きなリターンを得たい、という人は、大きなリスクに挑んでおいたほうがいい

とりわけアッパーミドルクラスの人々の間では、こういう考え方が主流でした。「リビングにテレビがあるのは、会話を楽しむ教養がない人たちがすること」

人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。それが成熟社会の姿なのです

「上手く生きよう」とすることをやめること。世間的に無難な「事なかれ主義」を放棄して、むしろ「事あれ主義」に転じることです

自分なりの「幸福論」を自分自身で編集しつづけている人は、すでに幸せになっています

霧が晴れるのを信じていつまでも待ち続けている人より、アプローチの数は多くてもさっさとホール数をこなしていく人のほうが勝つのが成熟社会

どうしても求めたいという「経済的ではない価値」を、自分なりに具体的にリストアップしてみる

組織内で自営業者のような存在になるためには、特化したスキルセットを持っていればいい

いくらとんでもない実績を残してスーパーサラリーマンになれたとしても、会社はあなたのことを記憶しない

私は普段から、世の中を幸せに生きていくコツは、「そうですか、ちょっとやってみますか」という思考を持った人と付き合うことだと考えています

「資本を投じる」のではなく、「気持ちをこめる」

————————————————
『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』藤原和博・著 ポプラ社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591126579

————————————————-

◆目次◆

新版へのまえがき
はじめに 『坂の上の雲』から「坂の上の坂」へ
序章 人生のエネルギーカーブに気をつけよ
第一章 世の中を信じる
第二章 幸せは自分の中にある
第三章 ”いい子”は、もうやめる
第四章 会社を利用し尽くす
第五章 消費の作法
第六章 コミュニティをシフトする
第七章 パートナーと向き合う
第八章 死とお金を考える
第九章 本当に必要な備えをする
おわりに 「坂の上の坂」世代の大事な役割、孫育て

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー