2011年1月11日

『ロングエンゲージメント』 ─なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか─ 京井良彦・著 vol.2365 

【なぜ今、刺激を増しても広告は効かないのか?】
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マーケティングに携わる方であれば、おそらくみなさん、「最近は広告が効かなくなってきたなあ」という感想をお持ちだと思います。

それはなぜかというと、一つにはマスコミの影響力が落ちているから。

先日、青森新幹線開通の際に、新幹線が強風のため立ち往生して、郡山駅に臨時停車した時のこと。

土井がTwitterでつぶやき、写真を撮りまくった後で、ようやく腕章をつけた報道の方が取材にやってきました。

そう、今や情報は「震源地から直接届けられるもの」であり、受け手は、一次情報を上手に組み合わせて、自分独自の情報網を構築している。

もはや企業が取り得る手段は、無理やりアテンションを引きつけることではなく、顧客と誠実な関係を築いていくこと。

「選択可能情報量」が10年で500倍以上になっている、現在の環境下では、アテンション競争に巻き込まれることは、不毛でしかないのです。

本日の一冊は、大手広告会社の現役広告マンが、ソーシャルメディア時代のマーケティングを論じた一冊。

企業がこれから顧客とどんなコミュニケーションをし、関係を築き上げていけばいいか、識者の言葉やさまざまな企業事例を引きながら、紹介しています。

最初の100ページぐらいはどこかで聞いた内容が多かったのですが、後半のゲータレードやサウスウエスト航空、ザッポス、北米トヨタの「SCION(サイオン)」などの事例は、これからのマーケティングのあり方を示唆しているという意味で、一読に値します。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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昨今の生活者は、いくらアテンション狙いの広告に取り囲まれても、それを覚えているかどうかわかりません。今や情報は自分で選択するもの。送り手側から働きかけるアテンションでは行動しにくくなっているのです

「共感」によって人が動くようになっているのであれば、共感獲得のためにクリエイティビティを発揮するという方向転換が必要になってくるでしょう

グーグルでは、広告にクリエイティビティを求めていません。「広告に表現は必要ない。広告は情報だ」と言っています

ソーシャルメディアの浸透は、人間が本来のソーシャル・アニマルとして行動しやすい環境を整えました。人間が合理性だけではなく、社会性にも基づいて行動していくとなると、マーケティングも考え方を変えていかなければうまくいかなくなるでしょう

今や生活者個人が一次情報を発信し、ソーシャルメディアを経由してマスメディアのニュースソースになるというケースもめずらしくなくなりました

今や何が情報なのかは、人によって違います。人によって一面記事の内容が違うのです

生活者個人が発信する評価やレコメンドなどの情報の方がリアリティを持つようになってきた(佐藤可士和氏)

たとえば、ディスカウントショップに来ていながら、商品代金の一部がアフリカの地域の寄付金に充てられると知って、他よりも高いミネラルウォーターを購入したり、クレジットカードの特典ポイントを貯める一方で、カードの利用ごとに代金の一部が自由の女神修復資金に充てられるというキャンペーンに賛同したりします

コンセプトによって、単発の情報やコンテンツが集合体としてつながり、新たな価値が生まれるのです

単にプレゼントキャンペーンを実施するというだけでは、機能しなくなっています。提供する商品やサービス、もしくは企業活動そのものが社会をより良くするものだと理解されれば、それに共感した生活者自らが積極的に購買に参加し、さらに周りの生活者に参加を薦め、広がっていくことになるでしょう

◆ロングエンゲージメント・コミュニケーションの3要素
1.Philosophy(フィロソフィー):企業哲学の共有
2.Participation(パティシペイション):生活者の参加
3.Dialog(ダイアログ):生活者との対話

新しいモチベーションを備えた社員こそが、生活者とのロングエンゲージメントを構築するブランド広告そのもの

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『ロングエンゲージメント』─なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか─京井良彦・著 あさ出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486063439X

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◆目次◆

プロローグ カンヌ国際広告祭で受け取ったメッセージ
第1章 広告のアテンション獲得競争はもはや限界を迎えている
第2章 ソーシャルメディアは生活者の何を変えるのか
第3章 「共感」コミュニケーションの時代へ
第4章 ロングエンゲージメント・コミュニケーションが
新しい関係を作り出す
第5章 広告はハピネスを与えるもの

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