【「投資のコロンビア」から待望の講義本!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163733507
ベンジャミン・グレアムが教え、ウォーレン・バフェットが学んだ、「バリュー投資の殿堂」、米コロンビア大学。
本日の一冊は、そのコロンビア大学ビジネススクールの特別講義を書籍化した、投資家必読の一冊です。
講義のテーマは、ズバリ「選択の科学(The Art of Choosing)」。
著しく選択肢が増えた現代において、われわれの選択を妨げるもの、選択に関わる人間心理、そして人の選択に影響を与える実践的な方法を、さまざまな実験結果をもとにまとめています。
ダン・アリエリーの『予想どおりに不合理[増補版]』や、チャルディーニの『影響力の武器』が好きな人は、きっと気に入る一冊だ
と思います。
※参考:『予想どおりに不合理[増補版]』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091665
※参考:『影響力の武器』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4414304164
興味深かったのは、選択できると感じることが力を生み出すという、ラットの実験の話。
ラットを溺れさせるという、一見残酷な実験の話ですが、これによると、何度かつかまえ、そのたびに逃すということをしたラットは、そのまま溺死させたラットよりも、力尽きて溺れるまでに泳いだ時間が著しく長かったこと。
選択が自己有能感につながり、自己有能感がパワーを生み出すという善循環が、ここからわかります。
また、結婚や宗教をめぐる話から、必ずしも選択の自由が人に幸せや力を与えないこともわかりました。
ビジネス的な観点から見てみても、選択肢を狭めることで売れたジャムの試食の話や、P&Gのヘッド&ショルダーズの話など、マーケティングや小売のヒントが満載。
人間の心理バイアスについても紙幅が費やされているので、投資に携わる人にとっても有用な内容だと思います。
それがビジネスであれ、結婚であれ、人生は結局、選択によって作られる。
そう考えると、本書で選択の科学を学ぶことは、結局、人生を充実させることにつながるのだと思います。
多少厚めの本ではありますが、文章も読みやすく、知的刺激あふれる内容です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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選択するためには、まず「自分の力で変えられる」という認識を持たなくてはならない
ある実験では、ラットを迷路に入れて、まっすぐな経路と、枝分かれした経路のどちらを選ぶか、見てみた。まっすぐな経路と枝分かれした経路のどちらを選んでも、最終的にたどり着くエサの量は同じだったため、どちらかがより一方より有利ということはなかった。それでも複数回の試行で、ほぼすべてのラットが、枝分かれした経路を選んだ。同様に、ボタンを押すとエサが出ることを学習したハトやサルも、複数のボタンのついた装置を選んだ。ボタンが一つでも二つでも、得られるエサの量は変わらなかったのにもかかわらずだ
人生の辛いできごとを不可抗力のせいにする人は、自分次第で何とでもなると信じている人に比べて鬱病にかかりやすいほか、薬物依存や虐待関係といった破滅的な状況から抜け出せず、心臓発作が起きても助かる確率は低く、そのうえ免疫システムの低下やぜんそく、関節炎、潰瘍、頭痛、腰痛に悩まされやすいという
たとえささいな選択であっても、頻繁に行うことで、「自分で環境をコントロールしている」という意識を、意外なほど高めることができる
結果は驚くべきものだった。原理主義に分類された宗教の信徒は、他の分類に比べて、宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向き合い、鬱病にかかっている割合も低かった
究極の幸せは、選択を行うことではなく、義務を果たすことで得られる
この調査でも全員が、自分はほかの人よりユニークで、ユニークなものに対する許容度が高いと評した。だが実際にかれらが見せた反応は、驚くほど似通っていた。どのグループの協力者も、ややユニークな選択肢に高めの評価を与える一方で、極端に変わったものには否定的な反応を見せたのである
わたしたちは自分の信念と行動の矛盾に気づくとき、時間を巻き戻して行動を取り消すことはできないため、信念の方を、行動と一致するように変えるのだ
高齢者に関連した単語を使って短文を作った協力者は、もう一方の組の課題をやった協力者に比べて、エレベーターに到達する時間が平均で一五%長かった
六種類の試食に立ち寄った客のうち、ジャムを購入したのは三〇%だったが、二四種類の試食の場合、実際にジャムを購入したのは、試食客のわずか三%だったのだ。大きな品揃えの方が、買い物客の注目を集めた。それなのに、実際にジャムを購入した客の人数は、小さな品揃えの方が六倍以上も多かったのである
選択肢を分類することも、選択の負担を軽減する方法の一つだ
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『選択の科学』シーナ・アイエンガー・著 文藝春秋
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◆目次◆
オリエンテーション 私が「選択」を研究テーマにした理由
第1講 選択は本能である
第2講 集団のためか、個人のためか
第3講 「強制」された選択
第4講 選択を左右するもの
第5講 選択は創られる
第6講 豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
第7講 選択の代償
最終講 選択と偶然と運命の三元連立方程式
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