【バークレーのベスト講義】
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最近は、アメリカの有名大学の講義内容が本一冊分の値段で読めるという、じつにいい時代になりました。
少子化に伴う大学の経営難という事情も背景にあると思いますが、われわれ学習者にとっては、願ってもない環境。
そんななか、本日も大学の講義本を一冊、紹介します。
紹介するのは、カリフォルニア大学バークレー校で物理学を教えるリチャード・ムラー教授の本。
マッカーサー・フェロー賞(別名「天才賞」)を受賞し、政府の筆頭顧問を長年務めたアメリカの頭脳が、リーダーに求められるサイ
エンス、テクノロジーの知識を、過不足なく伝える、じつに有意義な講義内容となっています。
ここまで読んで、「なんだ、サイエンスの本か、興味ないな」と思った方は、ぜひ教授の次の言葉を読んでいただきたい。
<もしあなたが世界の指導者だったら、こうした問題を理解できなくてはなりません>
ここまで読んでなお、「いや、俺は経営者だから」という人には、ヨネックス会長、米山稔さんが材料革命に乗り遅れた時の、以下の言葉を思い出していただきたい。
<私は心底、反省した。情報収集を怠り、技術で後れをとった。「石油の時代」がナイロン、プラスチックという新材料を生み、漁業の現場を一変させつつあることに、どうして気づかなかったのか>
サイエンスやテクノロジーを知ることは、次世代のビジネスチャンスに気づくための大事なポイント。
本書は、ビジネスマン、投資家が知っておくべきポイントだけに絞り込んで、最先端のサイエンス、テクノロジーを解説した、文系人
間にとっては、願ってもない一冊です。
カバーされている内容は、エネルギー問題から、原子力、宇宙空間の利用まで、じつにさまざま。
文章もスムーズで、2冊ともワクワクしながらあっという間に読み終えることができました。
科学読み物が好きな方はもちろん、ビジネスや投資のチャンスをうかがう方にも、ぜひおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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爆弾とは、一口に言ってしまえば、大量のエネルギーを小さな空間に向かって瞬時に放出する手段にほかなりません
TNT火薬が利用されるのは、エネルギー含量が大きいからではなく、エネルギーの放出速度がひじょうに速いからなのです
九・一一事件で、テロリストは、強力な兵器を使って世界貿易センタービルを破壊したのではありません。ジェット燃料の高エネルギーを利用したのです
燃焼速度は、燃料がどれだけあるかではなく、酸素がどれだけ供給されるかによって制限されます。空気の量が少なかったために燃焼時間が長くなり、熱が断熱材を通過してしまったのです
天然痘の蔓延による真の犠牲者は、発展途上の国々になるでしょう
いつの日か(数百年後かもしれませんが)反物質を容器に詰めるよい方法が見つかれば、実際に燃料として使えるようになるかもしれません。反物質は普通の物質に触れると爆発するので、どうやって容器に詰めるかが問題になります
◆さまざまなエネルギー源のキロワット時当たりのエネルギー・コスト
石炭:0.4?0.8セント
天然ガス:3.4セント
ガソリン:11セント
自動車のバッテリー:21セント
コンピュータ用電池:4ドル
単四電池:1000ドル
ソーラーカーは、将来的にも実現する見込みはありません
石炭は安価で、しかも―OPECにとっては不運なことに―エネルギーをもっとも多く必要とする国々(アメリカ、中国、インド、ロシア)に豊富に埋蔵されています。石油価格が一バレル当たり五〇ドル以上に上がったら、こうした国々は、自国の地下に埋蔵され
ている石炭を採取し、「フィッシャー・トロプシュ法」という化学処理を用いて、石炭から石油をつくればよいのです
衛星がつねに地球に対して正確に同じ場所に位置することができるのは、赤道上の軌道を飛んでいる場合のみです
「衛星による地球全体の監視」は都市伝説
ステルスは、レーダーや赤外線の探知システムがみな基本的に「モノスタティック」であるという事実を逆手にとっています。モノス
タティックとは、発信機と受信機が同じ場所にあるということです
プリウスは、充電の問題を最小限に抑えるために、通常はガソリンエンジンを使います。バッテリーに充電するのは、主にブレーキをかけるときです。これが、燃費の向上に役立つのです。充電した電気は、ガソリンエンジンの効率がもっとも悪い発進時に使います
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『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス(上・下)』リチャード・ムラー・著 楽工社
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◆目次◆
<I巻>
第一講 テロリズム
1.九・一一事件―何が起きたのか?
2.テロリストと核兵器
3.バイオ・テロ
第二講 エネルギー問題
4.エネルギー問題の知られざる真実1
5.エネルギー問題の知られざる真実2
6.太陽エネルギー
7.石油の終焉?
第三講 原子力
8.放射線の基礎知識
9.放射性物質の基礎知識
10.核兵器を知る1
11.核兵器を知る2
12.原子力1
13.原子力2
14.核廃棄物
15.核融合制御
<II巻>
第四講 宇宙空間の利用
16.衛星の基礎知識1
17.衛星の基礎知識2
18.重力を応用したテクノロジー
19.人類の宇宙進出
20.不可視光線による監視
第五講 地球温暖化
21.温室効果
22.証拠1
23.証拠2
24.役に立たない解決策
25.誰にでも実行可能な解決法1
26.誰にでも実行可能な解決法2
27.新しいテクノロジー
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