2010年11月29日

『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』 辻野晃一郎・著 vol.2322

【ソニーを去った男の告白】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103288213

本日の一冊は、VAIO、スゴ録などの大ヒット商品を生み出し、その後、グーグル日本法人社長に転じた、辻野晃一郎さんによる、大注目の新刊。

ソニーに22年、グーグルに3年在籍したという著者が、両企業の違いを、自らの経験で語る、じつに刺激的な一冊です。

「ウォークマン」の成功にあぐらをかき、新しいアイデアが出なくなった世界企業ソニーの退廃ぶり、そして飛ぶ鳥を落とす勢いのグーグル。

本書は、この両者の違いに切り込みながら、「企業が戦略を失う時」を描いています。

通常のビジネス著者にはあり得ない、著者の描写力のおかげで、現場の雰囲気や登場人物のキャラクターがよりビビッドに伝わってくる、そんな一冊です。

あくまで著者による体験談と私見であり、立場が変われば受け取り方も違うと思いますが、それでも組織のマネジメントの参考にはなると思います。

自由闊達な雰囲気から、本当に画期的なアイデアは生まれる。

これは、かつてのソニーを表現する言葉だったはずですが、それが現在はアップルやグーグルを表現する言葉になってしまっている。

本書は、そんな状況を憂えている、著者の愛が詰まった作品です。

ぜひ、読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「冗談じゃない、日本が生んだソニーはアップルやグーグルの手本となる企業でさえあったんだ」というのが私の本音である

世の中の秩序が大きく変わる時、その源流は常に反主流の中から発生する

「そもそもお前はなんでこんなものを作ってるんだ? 余計なことはやめてアップルに行ってiTunesを使わせてくれと言って頭を下げれば済む話だろ」私は耳を疑い、思わず、「あなたにはプライドというものはないんですか?」と問い返した

人間、譲ってはいけないところでは決して譲るべきでない。そうでないと、必ず自分の中の何か大切なものを失ってしまうように思う

当時、インテルのホームページには、ゴードン・ムーアと並ぶ創業者の一人、ロバート・ノイスの言葉が掲げられていた。「過去にとらわれてはいけない。そこから離れて何かすばらしいことを始めてみよう」

「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」井深大

「学生時代は試験で失敗しても零点以下ということはないが、ビジネスにおいて失敗すると、底はない」盛田昭夫

四〇年以上も前に、銀座からハイセンスなブランディングメッセージを発信する、という盛田さんが実行したマーケティング手法をジョブズは忠実にコピーしたのだ

アメリカでは沈黙は金でも美徳でも何でもない。沈黙の意味するものはただ一つ、“無能”である

罪のないいたずらは人々の心を時になごませる。ファインマン教授も大のいたずら好きだったことは有名だ。そして、このいたずらの精神は、グーグルの人材募集の方法などとも共通点を感じる

「技術が成功するためには、体面よりも現実が優先されなければならない、なぜなら自然は騙しおおせないからだ」

ソニーでは、「上司にやめろと言われたくらいでやめるようなら最初からやるな」というカルチャーがあった

ビジネスの常、世の常であるが、あまりにも強いポジションを確保し過ぎると、逆にそれが大きな足枷になって次の勝負で大敗を喫する事例は枚挙に暇がない

これからの商品はネットに繋がることにより、「ネットでメンテナンス出来る商品」「継続的に成長する商品」としての性格が強くなります

自分より優秀な人材を採用せよ

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『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』辻野晃一郎・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103288213

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◆目次◆

プロローグ
第一章 さらばソニー
第二章 グーグルに出会う
第三章 ソニーからキャリアを始めた理由
第四章 アメリカ留学
第五章 VAIO創業
第六章 コクーンとスゴ録のチャレンジ
第七章 ウォークマンがiPodに負けた日
第八章 グーグルの何が凄いのか
第九章 クラウド時代のワークスタイル
第十章 グーグルでの日々
第十一章 グローバル時代のビジネスマインドと日本の役割
エピローグ

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