【ドラッカー講義録】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4902222957
本日の一冊は、1991年?2003年にかけて行われたドラッカーの講義を活字化し、まとめた一冊。
亡くなって以来、たくさんのドラッカー本が出ていますが、読んだ方であれば、生前のドラッカーの肉声に触れてみたいと思うのは必定でしょう。
この『ドラッカーの講義』は、そのドラッカーの肉声を感じながら、偉大なる思想家の哲学に触れられる、そんな魅力あふれる一冊です。
さまざまな著書で書かれている、マネジメントの原理原則も語られていますが、講義録だけに、その時代の旬の話題、具体的アドバイスが盛り込まれているのが魅力です。
たとえば本書には、キャリアのヒントとして、こんなことが書かれています。
・思いやりのある人になるためには、備忘録を作っておくこと・四〇代に突入する前に、仕事とは別の活動を実生活で見つけること
さらに、既にエグゼクティブとして活躍中の方には、こんなアドバイスも示されています。
・断念すべき仕事から手をつけるのは禁物
・エグゼクティブは、自分に必要な情報を自分の手で管理しなけれ
ばならなくなる
・外国為替取引をうまくこなすスキル(を身につけよ)
なお、土井が個人的に興味を持ったのは、「知識社会の知識は、その内容によってではなく、それが置かれた状況に応じて階級や順位がつけられる」というくだり。
これからの知識人は、偉そうな本を並べておくだけでは通用しない、ということかもしれませんね。
ドラッカーが今の時代をどうとらえ、未来をどう予言しているか、知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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思いやりのある人になるためには、備忘録を作っておくことです
知識には高級もなければ低級もありません(中略)知識社会の知識は、その内容によってではなく、それが置かれた状況に応じて階級や順位がつけられるのです
みなさんは大地に蒔かれた種です。ほとんどは芽を出すでしょう。けれども、その芽の多くは、収穫するところまで育たないのです
断念すべき仕事から手をつけるのは禁物です。まずは何を強化するべきか、そして作り上げるべきかを考え抜くことです
成功している組織は、人材を成長させることに絶えず取り組んでいるだけではなく、彼らの強みが立派な成果を生み出してくれる、しかも彼らの弱点が仕事に影響しない、そんな分野に配置することを最優先に考えているのです
本当に傑出した組織を眺めてみると、そこには必ず、ひとりやふたりあるいは三人、模範を示している人がいるものです
経営者とその組織に求められるスキルがまだあるのでしょうか。つまり、それは誰もがわかっているのに、口にしてこなかったスキルのことです。もちろん、まだあります。それは、組織が否応なしに経験する外国為替取引をうまくこなすスキルです
エグゼクティブは、自分に必要な情報を自分の手で管理しなければならなくなる
多くの組織では、コンピューターのおかげで、経営が以前より弱体化しています。なぜなら、コンピューターが取り込むデータは、経理システムからのデータにしても、経営情報システムからのデータにしても、すべて内部データだからです。しかも悪いことに、そのおかげで、とくに大企業では、エグゼクティブが社内の出来事の対処に忙殺される傾向がますます強くなっています
ワイマールが崩壊したのは、軍のエリートに後継者がおらず、しかも一般の人々が事業家や専門家を受け入れなかったことが決定的な原因となりました
規制緩和には、経済的な恩恵をもたらす一方で、社会的な危険もはらんでいます
明日の会社は、ある専門的な仕事だけに専念しているからこそ最高の結果を生み出す、そんな外部の組織を見つけるところになるでしょう
私たちの知る限り世界で最高の農民は、ペンシルベニア州のモラビア人ではないでしょうか。彼らには厳しいルールがあって、もし夫か妻のどちらかが死ねば、残されたほうは六か月以内に再婚しなければなりません。それができなければ、農場を失うのです
私たちは、まったく新しい、完全に今までとは違った思想を開発しなければならなくなるでしょう。そのためには、知識にあふれた人たちは管理できないという発想から始めるのがよいかもしれません。彼らの生産性を上げることに力を貸すこと以外には、何もできないのですから
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『ドラッカーの講義』P・F・ドラッカー・著 アチーブメント出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4902222957
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◆目次◆
はじめに
一九九〇年代
新たな優先課題
自分の居場所がわかっていますか
社会セクターの時代
知識労働者と知識社会
政府を生まれ変わらせる―次の展開
まずは自己を管理し、それから会社を
医療について
変化を続ける世界経済
規制緩和と日本経済
自分自身を経営する
教えることから学ぶことへ
二〇〇〇年代
グローバル化について
非営利組織を経営する
会社の未来I
会社の未来II
会社の未来III
会社の未来IV
訳者あとがき
P・F・ドラッカー著作集
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