2010年7月27日

『幸せの新しいものさし』幸せのものさし編集部・著 vol.2197

【幸せのものさしが変わるとビジネスも変わる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569777325

最近のベストセラーの傾向を見ていると、ここ数年で随分と読者の価値観が変わったことに気づかされます。

皆が「お金」や「成功」といった画一的な価値観にしばられるのではなく、自由に自分の進路や幸せを模索している。

「所有」から「シェア」へ、「競争」から「共創」へ、時代は大きく変わりつつあります。

本日の一冊は、そんな人々の価値観の変化を、博報堂大学 幸せのものさし編集部がまとめたもの。

具体的には、「一足先に次の豊かさを見つけた11人」ということで、競走せずに数字を上げる営業のしくみを開発した接客アドバイザーの北山節子さん、東京と房総の「二拠点生活」を提案する「房総R不動産」の馬場正尊さん、話題となった「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を展開する金井真介さんなど、計11人の活動内容が掲載されています。

なかでも、トップバッターに選ばれているだけあって、接客アドバイザーの北山節子さんの取り組みには、営業の新しい可能性を感じました。

通常、こういうオムニバス形式の本は、内容が重複し、つまらないことが多いのですが、本書の場合、それぞれの方の活動内容が、新たな消費行動、価値観を先取りしたもの。

それだけに、経営者、マーケターにとっては見逃せない情報源となっています。

変わりつつある消費者の価値観にどう訴えるか。

本書から得られるビジネスヒント、生活のヒントは決して少なくないと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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スタッフが一人品出しに追われて売り場を空けているときに、お客さまをウォッチするスタッフの目線の数は確実に減っている。その違いが、顧客満足や販売数字に如実に表れる、ということを北山さんは倉庫から学んだ

6人いれば6倍の気づきが生まれる。それをお店全体で共有することができれば、確かに、すごい店になる

「気づき合いの徹底」ができている店は、実は意外に少ない。その原因が「売上げでスタッフを競わせるマネジメント」にあることは明らかだ

◆「背中と心の経営」(坂本光司さん)
・背中:従業員とその家族に対する態度
・心:優しさ。弱い人の側に立ってものを考えられる経営者かどうか

これからは、社員を大切にしている社会価値が高い会社の商品だけを買うという人が出てくるかもしれません

気づいたのは、「知らないから何でもできてしまう」という真実だった。出荷する野菜をどこの誰が食べるか知らないから、農薬を使うことに抵抗がない。逆に、食べる人の顔を知っていることが「抑止力」になるのだ

人間には本来、自らの手で何かを創り出したい欲求があるはずだ。今、園芸や農業体験が都市でちょっとしたブームになっているのは、もう一度生産力を取り戻したい、という消費者の潜在願望の現れと言えるのではないだろうか

東京と房総。車でちょうど1時間のこの二つのエリアの地価の格差を活用すれば、房総の海沿いに週末用のリゾートハウスを建て、平日用には都心の狭め・古めでもちょっと味のあるマンションを借りる、という「二拠点生活」が可能になる……これが、都内で中古マンションのリノベーション物件など「一味変わった」不動産の紹介をビジネス化していた馬場さんの「発見」だった

入院患者は、僕らが想像している以上に持久力が落ちている。長い文章が、読めないんです。ならば、何が読めるだろうと考えた。それは、『行間』だと思ったんです。短歌、俳句、詩。あとは、パラパラマンガとかのフリップブック

TFTでは毎日の社員食堂での「昼食」という日常の中で、「アフリカの子どもに食事を提供する」ことと、「低カロリー食で自分が健康になる」ことの二つを両立させている。つまり「チャリティ」が一方通行の「施し」から、双方向の「WIN」に昇格しているのだ

「世の中を変えていくためには、二つの方法があると思います。一つは『世の中はこう変わらなくてはならない、そうしないとこんな問題が起きる』と脅かす方法。もう一つは『こういうのって楽しいな、やってみたいな』と自発的に参加させる方法」(金井真介氏)

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『幸せの新しいものさし』PHP研究所 博報堂大学 幸せのものさし編集部・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569777325

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◆目次◆

1.競争のものさし─売上げは、チームで「共創」できるもの
2.会社のものさし─社員がいちばん幸せな会社へ
3.消費のものさし─食べる人を、つくる人のパートナーにする
4.住まいのものさし─二拠点生活というライフスタイル
5.読書のものさし─人と本が新しく出会う場所
6.寄付のものさし─自分のための一食が、誰かのための一食に
7.学校のものさし─街がキャンパス、誰もが先生
8.感覚のものさし─暗闇のあたたかさは、人のあたたかさ
9.子育てのものさし─パパ力で連帯する男たち
10.時間のものさし─失われた自然の時間を取り戻す
11.大人のものさし─“こどもごころ”で日本を変える

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