2010年7月8日

『リ・ポジショニング戦略』 ジャック・トラウト、スティーブ・リブキン・著 vol.2178

【マーケティングの危機に直面したら?】
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本日の一冊は、名著『ポジショニング戦略[新版]』の共著者であり、世界屈指のマーケティング戦略家として知られるジャック・トラウトが、「リ・ポジショニング戦略」を論じた一冊。

※参考:『ポジショニング戦略[新版]』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212076

著者いわく、リ・ポジショニング戦略とポジショニング戦略とは、双子の関係にもかかわらず、前著ではあまり注目されなかったらしい。

では一体、リ・ポジショニング戦略とは何なのでしょうか?

本来のコンセプトは、競合他社をけなして自社のよいところを売り込むところにあるのですが、具体的なやり方・事例の部分が興味深い。

業界リーダーの強みの中に弱みを見つけて攻撃したレンタカー会社のエイヴィスや、オリーヴオイルの生産世界一位と思われているイタリアを攻撃し、世界第一位の事実を強調したスペインなど、具体的事例が読ませてくれます。

具体的にどんなコピーを使ったかという実例も載っているので、実務家にとっても重宝する一冊となるに違いありません。

最近、競合が増えて困っているという経営者のみなさん、これから自社ブランドの確立を目指すというみなさんは、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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メディア形態の爆発的増加とそれに伴うコミュニケーション量の増加は劇的に人々の考え方を変え、人は目の前の情報を、瞬時に受け取るか無視するかのどちらかになった

複雑さと混乱を嫌う脳にすんなり入っていくには、メッセージをこれ以上ないところまで刈り込むしかない

◆知覚リスクの5つの形
1.金銭的リスク[これを購入するとむだ遣いになる可能性がある]
2.機能的リスク[もしかすると機能や性能に問題があるかもしれない]
3.身体的リスク[ちょっと危険なようだ。けがをするかもしれない]
4.社会的リスク[これを買ったことで、友人たちに悪く思われないか心配だ]
5.心理的リスク[これを買うと、罪悪感や無責任さを感じるかもしれない]

ピントがぼやけるのは、実は製品ライン拡大のせいである

リステリンは“正直の法則”[訳注◆あなたが自分のマイナスの面を認めたら、顧客はあなたにポジティブな評価を与えるという法則]を盾にとり、「いやな味でも一日に二回の習慣を」というコンセプトの広告を打って仕返しした。そこに込められたメッセージは、“薬品臭いということは、それだけ余計に歯周病菌をやっつけられる”だった。やられたらやり返せである

◆業界リーダーの強みの中に弱みを見つけて、攻撃した例
「車を借りるならエイヴィスです。わが社のカウンター前の列はハーツより短い」

「二千年前、わたしたちのお得意様はローマ人でした。それは今日でも変わりません」(世界一のオリーブオイル生産国スペインのメッセージ)

死ぬよりニッチを貫け

市場リーダーは、よりよいアイデアで自分自身を攻撃していく覚悟がなければならない

最悪なのは、自己のアイデンティティを曖昧にしてしまうことだ。曖昧になったとたん、がっちりと集約化し、専門化したライバルが現れる

値下げしたからと言って、人はなじみのないブランドのものはめったに買わない

広告は、すでにそこにある火をあおることはできても、火をおこすことはできない。無から何かを生むには、第三者の推奨がもたらす“妥当性”が必要だ

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『リ・ポジショニング戦略』翔泳社 ジャック・トラウト、スティーブ・リブキン・著
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◆目次◆

第1部 競争
第1章 基礎
第2章 ライバルの増加
第3章 ライバル蹴落とし術としてのリ・ポジショニング
第2部 変化
第4章 変化は起こる。進化は現実だ
第5章 大きくなればなるほど、変化するのがむずかしくなる
第6章 進化してはいけないとき
第3部 危機
第7章 危機がゲームを変える
第8章 価値こそすべて
第4部 リ・ポジショニングの技
第9章 リ・ポジショニングには時間がかかる
第10章 肉食系リーダーのリ・ポジショニング術
第11章 リ・ポジショニングCEOで始まり、CEOで終わる
第12章 リ・ポジショニングが必要なことはわかりきっている

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