【あの哲学的人生論のベストセラーが文庫化!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532195306
本日の一冊は、哲学博士の中島義道さんが書いたベストセラー『働くことがイヤな人のための本』の待望の文庫版。
仕事とは何か、生きがいとは何かを問う哲学的人生論ということですが、人生の理不尽さを織り込んでいる、という点が魅力です。
成功者は成功の法則を一般化したがるが、実際には偶然成功する人もあるということ、かといって仕事に成功しない膨大な数の人が、成功者よりその複雑な襞までとらえて人生をよく見ているわけではないことなど、さまざまな面から人生に光を当て、そのありのままの姿と、生き方を論じています。
目標は達成しなくても、あることで「辛いけれど充実した人生を味わえる」などと、弱者を慰める言葉があったかと思うと、すかさず「いかに自己実現したとしても、誰も二流、三流の自己表現の結果を賞味しようとはしない」と厳しい言葉が浴びせられる。
読者が「自分は正しい」という信念に囚われていれば、必ずや痛い目をみる、そんな内容です。
悲観を極めれば楽観に変じるものですが、本書には、そんな効能がある気がします。
人生が充実している人は戒めとして、現在、壁に直面している人は乗り越えるためのきっかけとして、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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いかに真摯な呟きでも自分の中に閉じこもってしまうと、それはぐるぐる同じところを回るだけで、いっこうに進捗しない。病的な自己嫌悪、病的な他人嫌悪、病的な世間恐怖……という具合に進んでゆき、もともと清潔で美しくさえあった悩みはいつしかどす黒く醜い炎に変身してゆき、自分をも他人をも焦がしてゆくのだ
おびただしい人々が芸術家に憧れるのは、私の考えでは、好きなことができるということのほかに、まさに社会を軽蔑しながらその社会から尊敬されるという生き方を選べるからなんだ
たしかに風呂から出れば寒いのだけれど、いつまでも入っていると水風呂の中で死なねばならないことを、頭ではなくからだ全体で知ることが大切だ
近代社会においては、出自や身分によってではなく仕事によってその人の値打ちが測られる
仕事に成功しない膨大な数の人が、成功者よりその複雑な襞までとらえて人生をよく見ているわけではない
いかなる失敗も、その目標の火が消えないかぎり、きみは耐えられる。最終的には、その目標を実現しなくてもいいんだ。完全に失敗してもいいんだ。だが、そういう運動を通じて、きみはたぶん辛いけれど充実した人生を味わえると思うよ
カミュが愛用していたニーチェの言葉がある。それは「私を殺さないかぎり、私はますます強くなる」というものだ
天才たちの成功話や不遇話はもういいじゃないか。それらは、平凡なきみが、仕事を始めるうえでなんの役にもたたない
自分の仕事にプライドをもっているなら、けっして「二流でいい」と自分にささやいてはならないように思う
いかに自己実現したとしても、誰も二流、三流の自己表現の結果を賞味しようとはしない。二流のピアニストのCDを買おうとはしないし、三流のコックがいるレストランを訪れようとはしない
権力に対して猛烈に反抗する人は、その態度自体をもって彼(女)が権力的な人であることを示している。こうした人が権力を握ると、あっという間に権力的になることは人類が数千年間目撃してきたことだ
「大人はみんな汚い、ずるい!」と叫ぶような中学生レベルの単純思考からは一刻も早く目を覚ますべきである。これは純粋を振りかざす暴力なのであるから
仕事には他者による評価が必要なのだ。他者の視線を浴びることにより鍛えられることが必要なのだ。そのいちばんわかりやすい尺度が金である
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『働くことがイヤな人のための本』日本経済新聞出版社 中島義道・著
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◆目次◆
1.一生寝ているわけにはいかない
2.「命を懸ける仕事」はめったに与えられない
3.仕事と能力
4.仕事と人間関係
5.仕事と金
6.金になる仕事から金にならない仕事へ
7.死ぬ前の仕事
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