【当代一流の文章家が書いた、名著中の名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004150922
4月4日に行われた『10年愛される「ベストセラー作家」養成コース』の卒業プレゼンテーションでは、まったく無名の新人、マネー・ヘッタ・チャンさんのお金にまつわる童話が最優秀賞を獲得しました。
うまくいけば、数十万部の期待ができる、すごい作品が出来上がったと思います。
じつはこのマネー・ヘッタ・チャンさん、本業はプロのトレーダーですが、元々はエリエスの「スパルタ読書塾」の出身でした。
つまり、セミナーに出て意識を変え、自己研鑽を重ねた結果、「読み手」が「書き手」に変身したのです。
本日ご紹介する清水幾太郎さんによる名著、『論文の書き方』には、こんなことが書かれています。
――読む人間から書く人間へ変るというのは、言ってみれば、受動性から能動性へ人間が身を翻すことである――
読み手と書き手、どちらが上ということは言いたくないのですが、書くのには、読む以上の力量が問われることは確かです。
ついこの間までは、読み手として「これぐらいの文章、俺でも書ける」「ありきたりの内容だ」と豪語していた人が、書き手になったとたん、「自分はこんなにも書けないのか」と思い愕然とするのはよくある話です。
では、この自意識と実際の書く力のギャップを埋め、文章力を向上させるために何が必要か。
そのことを、精神、技術両面から論じたのが本書です。
名文家として知られる清水幾太郎さんが書いたものですが、土井はこれまでに、本書ほど深い文章哲学を書いた本に出合ったことはありません。それぐらい読み応えのある本です。
漢字を学ばない限り、抽象化思考ができない日本語の制約や、「が」という接続助詞が持つ危うさ、母国語を外国語として扱うことのメリットなど、文章を書く上で参考になる考え方がいくつも紹介されています。
また、「映像にならぬもの」として著者が挙げた2つは、今後、活字が生き残る上で、重要な示唆を与えています。
自分の文章力を高めたいと思う人、出版に携わる人、これから著者になろうとする人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私は捨てなければならない。思い切って捨てなければ、私は何も書くことは出来ない
精神の姿勢が能動的であるのには、原稿用紙の枚数があまり多くない方がよい。枚数は自由、いくら長く書いてもよいというのでは、精神は受動的でいることが出来る
元来、文章を書くというのは、或る問題に答えることであり、或る問題を解くことである。従って、自分の答える問題、自分の解く問題が決まっていなければ、どんな短い文章でも書くわけには行かない
観念や思いつきを大切にするというのは、それを深く考えること、書物などでよく調べることである
「が」の代りに、「のに」や「ので」を使うとなると、二つの事実をただ一緒に掴んではいられない。二つの事実の間の関係を十分に研究し認識していなければならない
要するに、話し言葉には味方の大軍がいる。会話では、言葉が独力で働いているのではなく、方々に協力者がいて、言葉を補ってくれている
文章においては、言葉は常に孤独である。それは全く言葉だけの世界であって、何処を眺めても、協力者はいない。会話において多くの協力者がやってくれた仕事を、一つ残らず、言葉が独力でやらなければならない
無闇に烈しい言葉を用いると、言葉が相手の心の内部に入り込む前に爆発してしまう。言葉は相手の心の内部へ静かに入って、入ってから爆発を遂げた方がよいのである
力はただ烈しい形容詞などを用いても生れはしない。むしろ、大切なのは、静かな、しかし、誰でも認めずにいられぬような証明であろう
私が恐れるのは定義不足である。私たちは、もっと言葉を大切にしなければならない。自分の使う言葉に責任を持たなければいけない
文章を書くのには、日本語に対する甘ったれた無意識状態から抜け出さなければならない。日本語を自分の外部に客観化し、これを明瞭に意識化しなければならない
礼儀を無視し得る特権は、強い烈しい愛情だけが持っている
文章には、犯罪に通じるような個人性があると同時に、貨幣に似た社会性がある
自分が抽象の世界に住みついて、経験の世界へ立ち戻ることをしなければ、読むものは経験の世界から動きはしない。自分が幾度も溝を飛び越える努力を払わないで、これを他人にばかり求めても無駄であろう。自分によく見えないXを他人に見せようとしても、それは無理である
◆映像にならぬもの
1.抽象的観念 2.未来
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『論文の書き方』岩波書店 清水幾太郎・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004150922
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◆目次◆
I 短文から始めよう
II 誰かの真似をしよう
III 「が」を警戒しよう
IV 日本語を外国語として取扱おう
V 「あるがままに」書くことはやめよう
VI 裸一貫で攻めて行こう
VII 経験と抽象との間を往復しよう
VIII 新しい時代に文章を生かそう
あとがき
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