【バフェット流投資術の真意】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478005737
本日の一冊は、有望銘柄の発掘で定評があり、フォーブスのニュースレター「フォーブス・スペシャル・シチュエーション・サーベイ」の編集責任者を務めるヴァホンが、世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの投資法を論じた一冊。
序文で「フォーブス」編集長のスティーブ・フォーブスが述べているように、本書はバフェットマニアではない著者が、中立の立場で述べた極めて珍しい本であり、失敗も含め、過去のバフェットの投資を理性的に論じています。
バフェットの投資哲学、銘柄選択基準など、これまでの本で論じ尽くされた部分も入っていますが、あくまで個人投資家の立場から見て、バフェットの主張が妥当かどうか論じた点が新しい。
また、読み物レベルでは見過ごされていたバフェットの分析手法など、かなり細かい点まで食い込んでいる点に注目です。
最近、バフェットは分散投資に転向したと言われるが、じつのところはどうなのか。バフェットが採用しているDCF分析とは何なのか。バフェットも活用すべきと著者が主張するモメンタム投資とは何なのか。
投資であれ、経営戦略であれ、政策であれ、ともすれば「流派」に凝り固まってしまって、柔軟な運用ができないものですが、本書から浮かび上がるバフェットおよびバークシャーの姿は、まさに進化し続ける有機体です。
本書の終わりで著者が言うように、「彼の学びには終わりがない。われわれの学びもそうあるべきだ」――本当にそう思います。
投資で勝てる人になるために、また投資センスのあるビジネスパーソンになるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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大半の投資家は自分が買った株にすぐに値上がりしてほしいと思うものだが、バフェットはそうではない。自分に売る用意ができているときに値上がりしているのが理想だという
バフェットは安い銘柄を買うのが好きなのではなく、目をつけた企業の株を安く買うのが好きなのだ
「私どもが採用しているこの戦略は、標準的な分散投資の教えに従ったものではありません」――ウォーレン・バフェット(一九九三年)「おそらく投資をなさる方々の九九%以上は、徹底した分散投資を心がけるべきです」――ウォーレン・バフェット(一九九八年)
ファイナンス理論では、価格が上下に激しく変動する傾向のある株式をリスクの大きな資産とみなす。一方のバフェットは、そんなバカな話はないと考えている。値下がりするならともかく、値上がりする株がどうして「リスクの大きな資産」になるのか、理解できないというわけだ
分散投資という手法は、最も守ってほしいときにほんの少ししか守ってくれないことが少なくない
経営陣に意見できるだけの株数をもてないのであれば、分散投資をしたほうが大きな利益を得られるというのがバフェットの考え方
投資家には直近の出来事をもとに将来を予想する傾向がある
バフェットはバークシャーの純資産を大変な規模に育て上げた。二〇〇六年末現在、その額は一〇八〇億ドルに上っている。一方、グーグルの純資産額はまだ一七〇億ドルでしかない。最近のデータで計算するなら、バークシャーの市場時価総額は純資産額の一・六倍、グーグルの市場時価総額は純資産額の九・〇倍となる
賢明な消費者であり投資家である彼は、価格と価値の間には大きな違いが存在することが多いことを熟知している
バフェットは配当を払う企業の株式を買う傾向がある
「わかりやすい企業を好む」と言うバフェットの真意は、「キャッシュフローの予想が難しい企業は避けたい」ということだ
ドットコム・バブルの崩壊が始まった直後に厳格なモメンタム投資を実行していれば、再び利益を得られただろう
バフェットは、会社に多額の投資をしている人を取締役にしたいと述べている。そういう人なら、株主のように考えて行動してくれる可能性が最も高くなるというのがその理由である。表現を変えれば、身銭を切っている人を取締役に迎えたいのだ
本当に成功したければ、スタイルも戦略も状況に合わせてつくりかえていかねばならないのだ。バフェットはいつも市場から学んでいる。大学院を卒業したから勉強はもうおしまいだなどとは思わなかった。彼の学びには終わりがない。われわれの学びもそうあるべきだ
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『バフェット流投資に学ぶこと、学んではいけないこと』ダイヤモンド社 ヴァホン・ジョンジグヨン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478005737
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◆目次◆
序文
序章 バフェットにまつわる神話と現実
第1章 バフェットは分散投資に転向したのか
第2章 バフェットはバリュー株しか買わないのか
第3章 長期ならバリュー、短期ならグロース
第4章 株と結婚してはいけない
第5章 バフェットは最近どんな企業を買ったか
第6章 バフェットの失敗例に学ぶ
第7章 バークシャーのコーポレート・ガバナンスと後継者問題
第8章 バフェットとストック・オプション
第9章 バフェットは増税論者か
第10章 企業による業績見通しの公表は不要か
終章 変わり続けるバフェット
謝辞
訳者あとがき
注記
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