【「おくりびと」を生んだカリスマ脚本家の発想法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344981162
本日の一冊は、伝説の深夜番組「カノッサの屈辱」や、アカデミー賞を受賞した「おくりびと」の映画脚本で知られる小山薫堂さんが、そのアイデア発想法を語った一冊。
土井は常々、アイデア発想というのは、方法論よりもプロがそのアイデアを発想する過程の方に価値がある、と思っているのですが、本書にはまさにそのプロセスの方が書かれています。
「『受付しかしない受付嬢』はもったいない」という発想から生まれた「受付兼パン屋」、「鈴木さんしか買えない鈴木家のカレー」、借りてきたバカラのアンティークグラスを割ってしまったことをきっかけに思いついたグラスを割るシーン…。
じつにさまざまなアイデアが詰め込まれており、企画稼業に携わる人間にとっては、読まずにいられない内容です。
「どれだけ事前に価値を刷り込むかによって、ものの価値は変わってくる」「企画とは人のことを思いやったり、慮ったりすること」。
「企画」の仕事の最前線で働く著者ならではの名言も、見逃せません。
ジャンルが違うから、ということもあると思いますが、最近読んだものの中ではとくに新鮮な印象を受けた一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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わが社に来たお客さんは、「パン屋の奥に入れる」という、プチセレブ感が味わえます。よく会員だけが入れる会員制のバーなどがあるけれど、ああいう感覚です。一般のお客さんがパンを買っている横で、「打ち合わせに来ました」とショーケースの向こうにいる女性に告げると、「はい、ではどうぞこちらへ」と案内され、一見ただの壁に見える扉が開き、奥の応接ルームに通される
「受付しかしない受付嬢はもったいないな」こんな発想から生まれた”受付兼パン屋”。僕の場合、こんなふうに「もったいない」という思いがアイデアを生むきっかけになることが多いのです
「鈴木さんしか買えないカレーがあるんだって」
「鈴木って、あのイチロー選手のことらしいよ」
(中略)
そうやって盛り上げたうえで、「すべての苗字の人に鈴木家のカレー、解禁」という段階を踏んだりしたら、話題になるのは間違いありません
企画とは人のことを思いやったり、慮ったりすること
どれだけ事前に価値を刷り込むかによって、ものの価値は変わってきます。自分たちが世の中に送り出すものに対して、どれだけ価値を刷り込んで、どれだけ感情移入してもらうか。その方法を考えることが「企画」なのです
たまには神様を驚かせてみるのも、新しい発想を得るにはいい方法
教職員会館をオーベルジュにしたらどうだろう
映画を観て泣いてくれる人がいたとしても、そこで流す涙は、号泣の涙ではなく、雪解けのしずくのような、自分の中で凝り固まっていた感情が溶け出してきたような涙であってほしかった
「人情タクシー」というと、僕はついつい「もし人情に厚すぎる運転手がいたら」みたいなことまで考えてしまいます。僕はザ・ドリフターズの「もしもこんな○○がいたら」というコントが好きで、「もしもこんな運転手がいたら」みたいなことを想像するのが好きなのです
すべてをメディアととらえるから発想が広がる
欲望をつのらせると人は不幸になる
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『もったいない主義』幻冬舎 小山薫堂・著
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◆目次◆
プロローグ 「受付しかしない受付嬢」はもったいない
第一章 企画って何だろう?
第二章 ネガティブ・スイッチを切り替える
第三章 小山薫堂式アイデアのつくり方
第四章 幸せの閾値を下げる
エピローグ 地下鉄日比谷線で出会った二人の話
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