2008年4月21日

『経済は感情で動く』マッテオ・モッテルリーニ・著

【人間の行動を支配する心理原則とは】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314010479

本日の一冊は、行動経済学のエッセンスをQ&A形式でまとめ、イタリアで大ベストセラーとなった本。

著者のマッテオ・モッテルリーニさんは、経済学や論理学、認識論などを専攻する学者で、現在はミラノのサン・ラファエレ生命健康大学で準教授を務めています。

そんな著者が、行動経済学のおもしろいところだけを抜き出し伝えたところ、たちまち話題となったのが本書です。

それもそのはず、本書には、株式投資や買物、ギャンブル、交渉にいたるまで、あらゆる場面で役立つ人間心理が書かれています。

大金を払ってスキー旅行の予約をした時と、スキー旅行をプレゼントされた時で、どちらがキャンセル率が高まるか、一年前にライバル会社が上場して株価が一万円になったドットコム企業の一年後の株価はいくらか。

身近な質問について考えていくうちに、「コンコルドの誤謬」や、「アンカリング効果」「ピーク・エンドの法則」など、難しい行動経済学の理論が自然に学べる、じつにありがたい一冊なのです。

本書を読めば、なぜ「お試し」でわれわれが実際に買ってしまうのか、死ぬほど痛いのにも関わらず一度出産した女性がまた産みたくなるのかなど、人間行動のさまざまな謎が一気に解決します。

行動経済学の本はこれだけではありませんが、本書は、現在出されている本の中でも突出して楽しく読める本だと思います。

大学で行動経済学をかじった土井がおすすめする一冊です。
ぜひ安心して読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私たちの頭にあるお金は、きっちり決まった絶対的で抽象的なもの
ではないのだ。私たちはお金には相対的な価値を付与し、経験や感
情によって色づけをする

選択肢がふえると真ん中を選びたくなるのは、それがいちばんだと
思わせるちょうどいい理由を見つけた気がするからなのだ

迷いと葛藤は、「選択を遅らせる」か、「選択しない」という結果
をもたらす

あるものを得ることに伴う効用より、いま持っているものを失うこ
とによる痛みのほうが大きいと感じられる

◆コンコルドの誤謬もしくはサンクコストの過大視
先行投資額が巨大だと、損失回避の傾向から、人は未来の予測をし
ばしば誤る

◆アンカリング効果
最初に印象に残った数字や物が、その後の判断に影響を及ぼすこと

確かな手がかりのない不確実性状況下で、人はヒューリスティクス
をとりがち

私たちには、目立つ出来事や身近な出来事の確率をとくべつ高く見
積もる癖がある

確実に得をする確率が高いときには慎重になり、確実に損をする場
合は余計にリスクを負う

経済的観点からすれば、運転手は売上げが多い日によく働き、少な
い日にはさっさと引きあげて自由時間を楽しむべきなのだ。ところ
が実際には、労働時間とその日の儲けとのあいだには、マイナスの
相関関係があることがわかった。運転手たちは、短時間に余計に儲
かる日に、働く時間を短くしているのだ

人は短期的には失敗した行為のほうに強い後悔の念を覚えるが、長
期的にはやらなかったことを悔やんで心を痛める

人の感覚器官は、絶対値に対してより、変化や差異に敏感に反応する

人びとは自分のお金をいちばんなじみの会社に投資する

ある経験を評価するときには、その経験の全体的な継続時間などは
なおざりにされ、苦痛がもっとも強烈だったとき(出来事の絶頂期)
と最後の時間(出来事の終末期)によって判断されるということが
しばしば起こる。いわゆる「ピーク・エンドの法則」が働くのである

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『経済は感情で動く』マッテオ・モッテルリーニ・著

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314010479
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◆目次◆

パート1 日常のなかの非合理
1.頭はこう計算する
2.矛盾した結論を出す
3.錯覚、罠、呪い
4.「先入観」という魔物
5.見方によっては得
6.どうして損ばかりしているの
7.お金についての錯覚
パート2 自分自身を知れ
8.リスクの感じ方はこんなに違う
9.リスクとの駆け引き
10.知ってるつもり
11.経験がじゃまをする
12.投資の心理学
13.将来を読む
パート3 判断するのは感情か理性か
14.人が相手の損得ゲーム
15.怒れるニューロン
16.心を読むミラーゲーム
17.理性より感情がものを言う
18.人間的な、あまりにも人間的なわれわれの脳
おしまいに――怠け者の経済学
訳者あとがき

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