2006年10月27日

『事例に学ぶ 経営と現場力』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777105091

本日の一冊は、大前研一さん率いる強力講師陣が教鞭をとる、ビジ
ネス専門チャンネル「ビジネス・ブレークスルー」のLIVE講義をま
とめた注目の新書シリーズ。

ローランド・ベルガーの会長であり、『現場力を鍛える』『見える
化』などのベストセラーを持つ遠藤功さんが、現場力を鍛えるため
のポイントをわかりやすく説明しています。

※参考:『現場力を鍛える』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492531718

※参考:『見える化』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532013

著者によると、強い企業というのは、ビジョン、競争戦略、オペレ
ーションのバランスに長けているもの。しかしながら、ほとんどの
企業では「ビジョンや競争戦略にスポットライトが当たりがち」で、
肝心のオペレーション(現場)に目を向けていないというのです。

本書では、企業の競争力を支えるこの「強い現場」を作るためのエ
ッセンスが、勝ち組企業の事例とともに紹介されています。

実務家をゲストに招き、対話形式で行われる講義も本番さながらで
臨場感があり、飽きさせることがありません。

図をふんだんに使ってわかりやすくまとめられており、著者の主張
のエッセンスを拾うには手頃な一冊ではないでしょうか。

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■ 本日の赤ペンチェック
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◆強い企業が保っている3つの経営要素のバランス
1.ビジョン(リーダーシップ):「なぜ」この会社は存在するのか
2.競争戦略:「何を」具体的な価値として生み出していくのか
3.オペレーション(現場力):「どのように」価値を生み出していくのか

(トヨタの)2004年3月期の純利益は、1兆2000億円である。そのう
ちの「ゲンテイ額」(原価低減額)は、1年間で2300億円。なんと、
純利益の4分の1弱が現場のコストダウンによって生み出されている

◆「現場力」3つのポイント
1.「自分たちで問題を発見し、自分たちで解決しよう」という高
  い意欲と能力を持つ現場だということ
2.「組織能力としての現場力」というレベルまで高められていること
3.現場力を高めるのであれば、競争上の優位性となる高いレベル
  をめざそう

抽象的、表面的な言葉の羅列でなく、現場の人たちがどのような考
え方に基づいて仕事をしなければいけないのかという行動原則にま
で落とし込まれていることがポイント

PDCAAサイクルを回す上で重要なのが、「見える仕組み」であ
る。問題が見えていれば解決しようとするが、見えていないとその
まま放置されてしまう

現場力の強い企業は褒め上手である。現場の組織能力が向上したこ
とを経営として認知し、その成果を発表したり活用するさまざまな
”場”を作っている

製造と販売、製販が一体となって頑張っているという現場力があっ
てこそ、圧倒的なポジションが作れる

他力を非常にうまく使っているんですよね。デルのビジネスモデル
に組み込まれると、もっといいことがある。だから、「いろんな協
力をしたい」「デルと仕事をしたい」という会社が増えてくる

現場力というのは最終的には人です。人がいろんな知恵を出して、
工夫をして、いろんなプロセスの改善をしていく。目先のお金だけ
ではなくて、きちんと人が育っているかどうか、そういう観点で見
ていかないと、本当の意味での現場力は高まらない

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『事例に学ぶ 経営と現場力』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777105091
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■目次■

はじめに
第1章 現場こそが価値を生み出すエンジン
第2章 「販売のトヨタウェイ」の海外展開
第3章 三菱FA事業の製販一体の現場力
第4章 デルのビジネスモデルと現場力
第5章 成熟企業における改革型SCMの展開
おわりに

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