http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033415
本日の一冊は、科学作家として複数の著書を持つ、竹内薫さんが、「思いこみで判断しないための考え方」、つまり科学を鵜呑みにしないで上手に付き合う方法を説いた一冊です。
本書を通じて貫かれている主張は、世のなかのあらゆる常識は「仮説」にすぎない、ということ。
ところが、実際には、この「仮説」がそのまま受け入れられ、また強化されることによって、事実が曲げられたり、消去されたりする。本書で紹介しているさまざまな事例も、まさにそんな悲劇を描いたものです。
都合の悪い実験データを無視したミリカン、ガリレオの親説を無視してしまった周囲の科学者、前頭葉を切除する、悪名高いロボトミー手術によってノーベル賞をもらったモニス…。
なかには決して笑えない事例もあり、われわれが陥りやすい思考の「罠」を指摘するには十分だと思います。
思考停止に陥らない「知的態度」を身に付けるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
———————-
■ 本日の赤ペンチェック
———————-
実は、科学はぜんぜん万能ではない
「飛行機が飛ぶ」という一見あたりまえの事実でさえ、その本当の原因はさまざまな経験則による推測にすぎず、いってみれば、ただの「仮説」にすぎない
もともと工学というのは、試行錯誤と経験がものをいう世界なのです。ところが、原理を徹底的に追究すると、意外とだれも完璧には説明ができないものなんです
科学は絶対的なものごとの基準ではありません。あくまでも、ひとつの見方にすぎないのです
われわれの世界観、われわれが親から教わること、われわれが学校で教わること、そういったものは、すべて仮説にすぎません
常に常識を疑う癖をつけて、頭のなかにある仮説の群れを意識するようになれば、それは「頭が柔らかい」ということ
まず実験を行なってデータを集めることが、理論を発見し、科学を発展させるための最短距離
仮説を倒すことができるのは仮説だけである
本人には意図的に事実をねじ曲げたという意識はない。自覚がないから、自分が特定の仮説にしばられていることにも気づかない
日本が科学というきわめて重要な人間の文化的な営みを本当に自分たちのものにするためには、もっと科学史や科学哲学の教育をしないとダメ
わかっていないことについては、わかっていないとちゃんと教えるべき
もしそのネットワーク全体、つまり理論の枠組みが変わってしまったならば、当然その構成要素の意味も変わってしまう
————————————————
『99.9%は仮説』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033415
————————————————
■目次■
プロローグ 飛行機はなぜ飛ぶのか?実はよくわかっていない
第1章 世界は仮説でできている
第2章 自分の頭のなかの仮説に気づく
第3章 仮説は一八〇度くつがえる
第4章 仮説と真理は切ない関係
第5章 「大仮説」はありえる世界
第6章 仮説をはずして考える
第7章 相対的にものごとをみる
エピローグ すべては仮説にはじまり、仮説におわる
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
→ eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
→http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━
この書評に関連度が高い書評
お知らせはまだありません。