2005年5月25日

『伊藤元重の経済がわかる研究室』

http://tinyurl.com/bbnrg

本日の一冊は、東京大学大学院教授の伊藤元重さんが、研究室と共著で出した、日本経済入門です。
M&Aや企業再生、中国経済などの注目テーマを網羅した、「伊藤教授が選んだ10の最優先課題」をはじめ、全部で45のテーマが扱われています。

それぞれのトピックに関し、理論の基礎と、最新トピックの両方が学べる点が、類書にない魅力。実務家にとって気になる、「今度どうなる」という点に関しても、きちんとヒントを与えてくれます。
日本の景気が今後どうなるのか、株式市場がどうなるのか、ビジネスチャンスはどこにあるのか…。
明確な答えは示されていないものの、何に着目すればよいのか、という点はきっちり網羅されています。

経済記事を読むときの着眼点と考え方を示してくれる、という点で、読んでおくといい本だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆M&A
国内の産業の活性化を図る目的から、商法改正によって外国企業との株式交換を可能にし、対日直接投資を奨励しようという動きがある
敵対的買収の際に、企業が防衛を図る手段としてアメリカではポイズンピル(毒薬条項)と呼ばれる方法がある。これは、平時に「特定の比率を超えて自社株の買収が行われた場合に発効する」という条件のついた新株引受権を大量に発行しておくものだ。実際に敵対的買収が行われた場合には新株引受権が発効することで買収金額が引き上げられるため、買い手が無防備に買収を行うことはなくなり、取締役会に買い手との交渉の機会を与えることとなる

◆金融政策
日本は景気回復局面にあるといっても、市場の景気回復への期待が強すぎると「デフレ脱却、量的緩和解除」の思惑から過度に長期金利が上昇し、経済に打撃を与えるおそれがある。実際、二〇〇四年二月から八月にかけて、長期金利(一〇年物国債利回り)は大きく上昇した

◆株式市場
外国人による最近の日本株買いの理由は、日本の構造改革・景気回復への期待や、欧米流の株主重視の経営の日本企業への浸透などが挙げられる(中略)欧米の外国人投資家の資金量は国内のそれの十数倍あり、世界の資金が日本へ流れる割合がわずかに変化するだけで、日本の金融市場は大きな影響を受けると言われる

◆不動産の証券化
<投資家にとってのメリット>
・ミドルリスク・ミドルリターンの金融商品
・「小口化」によって資金力の乏しい投資家でも不動産への投資ができる
<原資産保有者(オリジネーター)にとってのメリット>
・格付けの低い企業でも資金調達が容易にできる
・不動産をオフバランス化することにより、ROAや自己資本比率
 などが改善される
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『伊藤元重の経済がわかる研究室』
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■目次■
序章 伊藤研究室へようこそ!――変化の内にある日本経済
1 伊藤教授が選んだ10の最優先課題
2 マネーの流れで経済をとらえる
3 日本企業・産業の明日を読む
4 社会・くらしを経済の視点で理解する
5 日本と世界はどのようにつながっているのか
あとがき
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