2005年5月21日

『トヨタ式』

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本日の一冊は、日本産業新聞の連載企画「トヨタ式」に大幅加筆・修正を施してまとめた、トヨタに関するレポートです。

約2年におよび取材した成果が収められており、トヨタ本体の事業はもちろん、関連会社や海外事業の展開まで、「トヨタの今」を、豊富な事例と関係者の言葉を交えながら紹介しています。

アメリカで販売好調な「プリウス」や、高級車の「レクサス」など、商品の話から、財務、マネジメント、製造現場のオペレーションの話まで、じつに幅広いトピックが扱われています。

絶好調のトヨタだけに致し方ないのかもしれませんが、やや褒めすぎの感があるのが気になるところ。

もちろん、新聞社のレポートだけに、問題点や改善点も示されてはいるのですが、テイスト的には「トヨタ絶賛」といった感じです。

ただ内容は、事実関係や関係者の言葉を中心に構成されており、トヨタの現状と今後の動向を知るにはもってこいの内容です。

政治の話や関連会社のマネジメントの話などを読んでいると、大企業の経営がいかに大変なものなのかを感じることができます。

トヨタ式経営のエッセンスを知りたい方、大企業の経営の要諦を知りたい方には、おすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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手元資金の三割近くは現預金で持ち、残りも国債、地方債や信用力のない社債が中心。鈴木が「トヨタ財務部に”運用”という言葉はない」と語る姿勢は、バブル期にも揺らぐことがなかった

日々のカイゼンの積み重ねで着実に利益を増やす(張氏の言葉)

トヨタに足りないものは、人、技術、資本の国際化(奥田氏の言葉)

「顧客に迷惑をかけない」「他社が相乗りできる高い技術水準を実現する」「早期のオープン化で部品会社の開発コストを下げる」――。
電機業界を反面教師にトヨタが導いた三つの基本戦略だ

自民党の政治資金団体には日本経団連会長会社として、トヨタは民間企業で最高額の六千四百四十万円を献金(中略)民主党の政治資金団体に百万円以上献金した企業リストにはトヨタ系がズラリと並ぶ

トヨタが情報収集に投じる費用は米国だけで年間数十億円に達するともいわれる。トヨタが採用、契約する米国のインサイダーたちは、三カ月から半年に一度のペースで東京に集まり、会長の奥田碩や社長の張富士夫ら首脳陣に最新の情報とその分析をレクチャーする

「なぜ」を五回唱えるのがカイゼン哲学。疑問を何度も積み重ね深く考察していくことで、問題が発生した本当の原因が浮彫りになる

「デザインが一番大切だ」。本社技術本館(愛知県豊田市)の通用口には、豊田章一郎の言葉が掲げてある。大衆乗用車が原点のトヨタだが、安くて高品質の車を作れば済んだ時代は過ぎた。〇四年六月にはデザイン畑で初の本社常務役員も誕生した。没個性のレッテルを返上できるかどうかは”一番大切なもの”をどう扱うかで決まる

トヨタがレクサス導入に注力する最大の理由は国内での収益体質の立て直しだ。レクサス車に移行する「セルシオ」は最も安いモデルでも約六百万円。コストを絞り込んだコンパクトカー「ヴィッツ」など量販車の値引き競争が激化する中、一台当たりの利益率も高い高級車比率の拡大は収益増に直結する

要求水準を満たせなければ、グループ長男格のデンソーでさえ容赦なく取引を縮小する。トヨタの伝統である「育てる調達」から「選ぶ調達」への変身は従来のケイレツを激しく揺さぶる
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『トヨタ式』
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■目次■
序章 独走トヨタさらに加速―張体制、実りの六年
第1章 七つの「黙示」
第2章 増殖する「トヨタ式」
第3章 競争力の源泉に迫る
第4章 進化する「モノづくり集団」
第5章 レクサスに賭ける
第6章 新ステージ迎えた世界戦略
第7章 頂点へのハードル
終章 渡辺トヨタ「最強」へ船出
付録 欧米自動車大手トップの評価
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