2005年2月21日

『謎のトレーダー「しん」の株バリュー投資法』

http://tinyurl.com/56kmo

本日の一冊は、以前、編集後記でちょっとだけ紹介した投資本です。

400万円を8800万円にしたという、ネットで話題の「マネーマスター・しん」の投資戦略を本にしたという一冊です。

個人投資家の本は、ほとんどがテクニカル投資やデイ・トレードに関するものですが、この本は、珍しくバリュー投資について論じています。

3年間で20倍ということで、割と健全な投資法だということがうかがえますが、実際のところ、どうなのでしょうか。

さっそく見てみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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1株あたりの正味流動資産と株価が少なくとも3分の2以上離れているような銘柄に分散投資をすれば、平均年利回り20%くらいの利益は得られる

安全域(1株あたり正味流動資産から株価を引いた差)が大きい銘柄をみつけることができれば、利益を得られる可能性もまた大きい

「PER=1株あたり純利益÷株価」が小さいほうが割安
※基本はPERで10倍以下のものを買っていく

急激に人気化した銘柄は、たとえば次期の利益が少し減りそうだとか、業界全体の受注量が減りそうだというようなネガティブな要因がでれば、株価はすぐに下降に転じます

株主資本比率が高い銘柄でも、流動資産の中身を子細にみていたら、現金及び預金の保有が少なく、100%回収できるとはかぎらない売掛金やいざとなると簿価を大きく下回る評価しかされない棚卸資産が多ければ、必ずしも割安と判断できない

私は投資基準の1つとして、原則60%以上の株主資本比率がある会社の株を目安にしています

その会社が儲かっているかどうかは、まず売上総利益、次に営業利益、そして経常利益をみたうえで、当期純利益が特別損益に左右されなくてもきちんと利益をだしているかどうか

営業キャッシュフローは黒字であるのが一般的

会社が事業を伸ばすうえで、有利子負債に頼ることが悪いわけではありません。しかし、有利子負債が増えると、元金の支払いに加えて利払いがかさむので、投資によって売上げが増えて利益も増えるという好循環がなければ、財務面が悪化することがあります

会社を解散すると、その会社の株主は保有している株式数に応じて、会社の正味の財産をわけることになります。ですから、解散して得られる現金が、株式を取得したときの価格よりも多かったとしたら、儲けることができます。そのためにも、会社の解散価値を知っておくことが大切なのです

望ましいのは高ROEで低PER

◆著者の銘柄選びのポイント
1.株主資本比率の高い会社(60%以上)
2.PER10倍以下で配当金が長期国債の3分の2以上ある会社
3.自社株消却を過去に行っている会社
4.時価総額が解散価値の3分の2以下の会社
5.配当による年間利回りが高い会社
6.株主資本コストを考える経営者がいる会社
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個人的には、あまりに読んでいる本や投資法が似ているので、思わず笑ってしまいました。この本に問題があるとしたら、著者が投資していた時よりも、現在バリュー株は見つかりにくくなっている、ということぐらいでしょうか。

というわけで、本日の一冊は、

『謎のトレーダー「しん」の株バリュー投資法』
http://tinyurl.com/56kmo

です。個人的には、共感できる投資法が書かれていましたが、もうちょっと、著者の投資哲学をきちんと知りたかった気がします。

■目次■
はじめに 「果報は寝て待て」通りの投資法
第1章 いきなり手がけたバリュー投資で大儲け
第2章 バリュー投資は個人投資家になぜ有利なのか
第3章 バリュー投資に必須! しん流財務諸表の読み方
第4章 確実に儲かる「バリュー銘柄」をどう選ぶか
第5章 しっかりした投資哲学が勝敗を左右する
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