2010年11月26日

『ザ・ベロシティ』ディー・ジェイコブ、スーザン・バーグランド、 ジェフ・コックス vol.2319

【名著『ザ・ゴール』シリーズ待望の新刊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012199

米MBAで、テキスト採用までされ、世界的ベストセラーとなった名著『ザ・ゴール』。

※参考:『ザ・ゴール』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478420408

本書は、著者ゴールドラット氏のライターとして活躍したジェフ・コックス氏が、サプライチェーン改革の専門家集団、AGIゴールドラット・インスティテュートのメンバーとともに、TOC、リーン、シックスシグマの融合をテーマにまとめたビジネス小説です。

ハイT社の営業・マーケティング部長として活躍していた主人公のエイミー・キーオララが、買収をきっかけに、暫定社長に就任。

起死回生の秘策として、リーン、シックスシグマを導入するも、思ったように成果が出ず、悪戦苦闘するというストーリーです。

『ザ・ゴール』で登場したハイキングでの「ハービー」(歩くのが遅くてボトルネックとなる)同様、今回は主人公の息子と娘が、洗濯中に生産性の真実に気づく、という設定。

果たしてTOCとリーン、シックスシグマは本当に融合できるのか?

生産性は本当に改善されるのか?

多くの生産現場で問題となっている、生産性の問題に、真正面から切り込んだ、注目作です。

『ザ・ゴール』を読んでいない人、リーンやシックスシグマを本格的に学びたい人にはやや不親切な印象も受けますが、全体としては良くできていると思います。

分厚い本ではありますが、一気に読めてしまうのは、さすがライターの力量。

まだ『ザ・ゴール』を読んでいない人は、まずそこから始めましょう。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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『すべてを改善する』ということは、実は『すべてが改善する』ということとは同じ意味ではない

局所的な改善は、実は利益向上に結びつかないことが多い

リーンの考え方では、顧客の目から見て、バリューを生み出さないものはすべて無駄と見なされます

「シックスシグマは、品質管理、品質改善手法の中でも、最も優れた手法の一つです」ウェインが説明をはさんだ。「一言で言えば、バラツキを減らす手法です。バラツキを減らすことで、エラーや欠陥をなくすんです」

「こういうプログラムは、ちょこっとやってみちゃすぐにやめて、また違うのをちょこっとやってみちゃ、またやめる、その繰り返しだ」

「『ポカヨケ』。日本語だよ。作業ミスを防止するという意味だ。安全装置のことさ。作業員が間違って違う染料を入れたということは、その作業エリアは作業員が間違いを犯すことができるような環境にあるということだ。考えないといけないのは、そこだよ」

モノを作ったからといって、それがお金になるとは限りません

「スループットのほかにも、大事な指標があと二つあります。一つは、業務費用です。業務費用というのは、社員の給料を支払うのに使ったお金やメンテナンス費用などです。もう一つは、在庫と投資です。でも、短期的に特に重要なのは在庫です。在庫には、原材料や仕掛りがすべて……つまり、これからスループットに変換されるすべてのお金が含まれています

「乾燥機って、洗濯機より時間が長くかかるじゃない。そんなこと、誰でも知っているわ。いっぱい服を入れたら、洗濯機の二倍時間がかかっちゃう」

「ウェインは、すべてのリソースのキャパシティを絞りあげました。無駄をなくすという名目で。でもそうすると、いったいどういうことになるか、わかりますか?」「いえ、わからないわ。どうなるの?」「どれか一つ、リソースが遅れ出すと、それがボトルネックになり得るんです」

「ボトルネック以外のオペレーションすべてをボトルネックの需要を満たすことに従属させて、そして、みんなの作業をゴジラの作業ペースに合わせてほしい」

どこに集中して、何を変えて、そして何に変えればいいのかが重要なんじゃないかしら。何を改善したら、この会社のベロシティを加速させることができるのか、それをどうやって見つけるのかということよ」

百聞は一見に如かず。ウェインが目撃した事実とは、リーン、そしてシックスシグマは単独で用いるより、TOCの枠の中で用いた方がより効果的だということだった

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『ザ・ベロシティ』ディー・ジェイコブ、スーザン・バーグランド、ジェフ・コックス ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012199

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◆目次◆

まえがき
I 青天の霹靂
II 『ムダ』はすべての敵だ
III それぞれの失意
IV 緊急ミーティング
V 戻ってきたマーフィー
VI 成長戦略

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