2009年2月5日

『スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則』 ハワード・ビーハー・著

【スタバを世界に広めた男】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314348

本日の一冊は、スターバックス・インターナショナルの元社長、つまりハワード・シュルツのもとでスターバックスの世界戦略を実行に移した人物が、その理念と「成功の10原則」を明らかにした一冊。

序文をハワード・シュルツが書き、賞賛していることから、著者がいかに社内で認められていたか、うかがい知れると思います。

それもそのはず。インターナショナルのトップということは、現在日本にスターバックスがあるのも、『スタバではグランデを買え!』がベストセラーになったのも、元をただせばこの著者、ハワード・ビーハーのおかげ。

個人的には、ミコノス島にまでスターバックスを作ったのはやり過ぎではないかと思っていますが、それでも氏のおかげで世界中でスターバックスのコーヒーが飲めるようになったのは事実です。

では、そんな氏が、何をどのようにして、成功に至ったのか。それを書いたのが、本書で紹介されている「10の原則」です。

この「10の原則」は、端的に言えば、組織のコミュニケーションとリーダーシップの問題。

人の自主性を引き出すために、リーダーは何をしなければならないのか。また働く私たちが、情熱的であるために、どんなことを自らに課さなければならないのか。

安易なリストラが横行する現在、忘れ去られたリーダーシップの大切な原則が、熱い言葉でつづられています。

なかでも感動を誘うのは、ワシントンDCの店舗で従業員が強盗に射殺された時に、ハワード・シュルツが取った対応。

「彼は、自分の対応に対する他人の評価など眼中になく、自分や会社を訴訟から守ることなど考えもせず、スポークスマンの陰に隠れることもなく、緊急事態マニュアルに頼ることもなかった。スターバックスの会長兼CEOとして、まず人間らしく行動し、その心はすべての人に伝わった」

小難しい理論やテクニックについては一切書かれていませんが、リーダーに求められている人間的資質についての一切が書かれている、そんな本だと思います。

いい組織を作りたいマネジャー、そしていつもエネルギッシュでありたいやる気のある社員に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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スターバックスには「成功の秘訣」などないし、リーダーシップのテクニックや心得を書いた公式ガイドも存在しない。それぞれが自分なりのやり方を見つけ出し、組織と顧客に貢献するしかないのだ

他人を導くのは名誉なことだが、それには責任が伴う。その責任とは、まず自分が成長しつづけること、そしてリーダーを育てることだ

かぶる帽子をひとつにすれば、自分以外のものにならずにすむ。自分自身と仕事を大事にするようになる

大きく考えよう。長い目で見よう。夢のような目標を掲げよう。感情移入して、思わず実行したくなる目標を。多くの人の心を動かす目標を

人生はバランスをとるものではない。人生はあなたの生き方だ。自分を知り、ひとつの帽子をかぶり、言行を一致させれば、職場でも家庭でも、あなたは学び、成長し、変化することができる。それがあなたと他人を導く価値観、つまり信念だ

成り上がるための経歴づくりだけを考えている人間を雇い入れれば、あなたの成功も脅かされかねない。「私たち」ではなく自己中心的な企業文化が形成されるからだ

もしこの世界に賞賛も批判もないとしたら、あなたはどういう人になりたいですか? この質問に答えられれば、あなたはすべてがわかっている

「ビジョナリー・カンパニーは、その基本理念と高い要求にぴったりと合う者にとってだけ、すばらしい職場である」

理想を言えば、経営者は社員に対して、どのようにふるまうべきか、なにを感じるべきかを決して説くべきではない。行動の隅々まで支配されると、人は尊厳を失い、企業はその魂を失う

信頼は思いやりなしには生まれない。思いやりとは、自分よりも他人を優先することだ

よいサービスは手足を動かせばできる。一流のサービスは心でするものである

「一年かけるなら、小麦を育てなさい。一〇年かけるなら、木を育てなさい。一〇〇年かけるなら、人を育てなさい」(中国の格言)

マクドナルドの創業者であるレイ・クロックはかつてこう言った。「恐怖を信頼に変えよう」

社員が率直かつ正直で責任をいとわない企業は、不幸にあっても生き残ることができる

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『スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則』日本経済新聞出版社 ハワード・ビーハー・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314348
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◆目次◆

読者のみなさんへ
序文 (ハワード・シュルツ)
はじめに――人がすべて
1.自分に正直になる――かぶる帽子をひとつにする
2.なぜこの会社で働くのか――出世のためにではなく、正しい理由で行動する
3.自主的に考える――掃除をする人がほうきを選ぶべきだ
4.信頼を築く――心から思いやる
5.真実に耳を澄ます――壁は語る
6.責任をもつ――真実以外は嘘だとわかる
7.行動する――行動的に考え、思慮深く行動せよ
8.困難に立ち向かう――なにより私たちは人間だ
9.リーダーシップを発揮する――大きな雑音と静かな声
10 大きな夢をもつ――「イエス」は世界で一番パワフルな言葉だ
謝辞
訳者あとがき

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