2014年8月18日

『サイエンスの発想法』上杉志成・著 vol.3681

【必読。京都大学の人気講義】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396614918

本日の一冊は、京都大学理科系1・2回生向けの人気講義を、抜粋してまとめた注目の講義本。

表向きは化学や生物学の手法を使って不思議な生き物の営みを研究するという、「ケミカルジェネティクス(化学遺伝学)」の授業ですが、著者の解説がわかりやすく、ビジネスにも応用できるアイデア、概念が数多く紹介されています。

著者は本書で、どうやって化学・生物学が進化してきたか、簡単な歴史を紹介していますが、その営みこそが、アイデア発想、問題解決のヒントとなっています。

複数の問題を意識することで、画期的なアイデアが生まれることや、「勝手にできたもの」を利用することの大切さ、鶏肉と片栗粉のように、BとCのサイズを変えることで精製が簡単になるという視点、<Put to other uses「他に利用する」>という発想…。

学生向けの内容とはいえ、ビジネスがサイエンスから学ぶことは本当に多いと実感しました。

アイデア発想の定石、SCAMPER法をはじめ、アイデア発想のノウハウも書かれているので、商品開発の担当者にもおすすめです。

◆アイデア発想の定石、SCAMPER法
S=Substitute「取り替える」
C=Combine「組み合わせる」
A=Adapt「適用する」
M=Modify, Magnify, Minify「変化させる・拡大する・縮小する」
P=Put to other uses「他に利用する」
E=Eliminate「除く」
R=Reverse, Rearrange「逆にする、順番を変える」

ここまでわかりやすく書かれ、かつビジネスに応用できる化学本は初めて読みました。

ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆選抜試験のための3つのヒント
・京都大学に来ると、まわりには頭のいい学生ばかりだね。さて、その中で選ばれるためにはどうしたらいいでしょう
・ユニークなことを書くときに、作り話はいけないよ。真実を書くように。作り話ではなくて、真実だと僕に信じさせるにはどうしたらいいかなあ
・ユニークなことというのは、独りよがりなことが多いね。客観的な意見も書いてみるといいよ。雲の上から自分を見ているような感じで、客観的な意見を最後に加えてみたらどうかなあ

◆科学者が育つ家庭のパターン
(一冊本を買って、同じような本を懇願されたら)「さらに分厚い本を買ってあげましょう」

この講義を受講していたひとりの学生が言った言葉が印象的です。「僕は世の中を変えるのは、科学者か、政治家か、起業家しかないと思います。僕は科学者として世の中を変えたい」
日本の若者は捨てたものではありません

みなさんも、複数の問題を一気に解決するようなアイデアを将来出せるといいですね。そのためには、複数の問題を常に意識する必要があります。問題を意識していないのに、良いアイデアを思いつくことはまずありません

生き物はこれらDNAのパーツをある程度自分で作ることができます。しかし効率が悪い。この問題を私たち生き物はひとつの方法で解決しています。それは「生き物を食べる」ということです

遺伝子のパーツは、「勝手にできたもの」を出発点にしているようです(中略)生き物はとてもよくできていると思いませんか? 勝手にできたものを最大限に活用した仕組みになっています(中略)現代化学医薬品産業は、石炭の燃えカスからアスピリンを作ることから始まりました(中略)ドイツのライン川沿いの化学工場でバイエルが始めたこのスタイルが化学医薬品産業の始まりです

鶏肉と片栗粉のように、BとCのサイズが大きく異なれば、精製は簡単

ミュージカルではテーマを持った曲のメロディーを、ときには調を変えながら、作品中で何度も繰り返すことがよくあります。そのたびにメロディーのメッセージと記憶は増幅されます

禅で言うところの「両忘」です。貧富を忘れる、生死を忘れる。両極端の考え方から自らを解放してみましょう

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『サイエンスの発想法』上杉志成・著 祥伝社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396614918

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◆目次◆

第1講 「嫌いなもの」でアイデアをつかもう!
第2講 サイエンス力をつけよう!
第3講 遺伝子の構造を書く
第4講 遺伝子を作る
第5講 タンパク質を作る
第6講 いろいろな物質を作るアイデア
第7講 甘いものと脂肪とアイデア
第8講 癌とウイルスを抑えるアイデア

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