【名著再考。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250148
本日ご紹介するのは、20年以上の間読み継がれてきたジョエル・バーカーによる名著『パラダイムの魔力』の新装版。
序文をボストンコンサルティンググループの元日本代表、内田和成さんが書くというので、ひさしぶりに読み返してみました。
本書の邦訳が出された1995年は、バブルが崩壊した直後ということもあり、まさにこの本で謳われている「パラダイム・シフト」が必要不可欠だったわけですが、その後20年の間に、日本がうまくパラダイム・シフトできたかというと、それには疑問符が付くかもしれません。
政府は相変わらず旧パラダイムにおける景気刺激策を取っているし、著作権法や労働法、税制など、新たなパラダイム、産業振興に適応した体制の実現には、まだまだ時間がかかりそうです。
国家でも企業でも、成功する組織というのは、本書で言う「パラダイム・シフト」を先読みし、きっちりそこに適応してくるものですが、それには、いわゆる過去の成功法則を忘れる必要があります。
本書では、われわれがどうやって「パラダイム・シフト」を予見すればいいか、あるいは自ら革命家となって「パラダイム・シフト」を起こすにはどうすればいいのか、古いパラダイムに囚われている時、どうすればそこから抜け出せるか、ヒントがたくさん用意されています。
皮肉なのは、本書が日本を「パラダイム・シフト」によって成功した事例として取り上げている点。
今の日本企業は、かつて自分たちがライバルにしたことができず、ライバルたちが失敗したのと同じ理由で失敗しているのです。
BCGの日本代表が戦略を考える時にしばしば「読み直す」という一冊。全員が読んで、それぞれの持ち場でブレイクスルーを起こせば、まだまだ日本はやれるのだと思います。
既に読んだ人も、まだの人も、ぜひ読んでみてください。古めかしい本が、驚くほど新しい視点をもたらしてくれるはずです。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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善玉パラダイムがある時、新しい時代への適応を邪魔する「悪玉」へと変わってしまうことがある。それは、パラダイム・シフトが起こった時だ(内田和成氏)
中間管理職は、自分自身がイノベーティブにならなくてもよいが、イノベーティブな人をつぶしてはいけないのである(内田和成氏)
トレンドを見ていても、ルールの変化はわからない
ルールの変化は新しいトレンドを生み出し、あるいは、すでに起こっていたトレンドを決定的に変えてしまう。だからこそ、目が離せない
将来を予見する能力を高めたいと思うなら、トレンドが目に見えて変わってくるまで待っていてはいけない。ルールをいじりはじめた人に注意しなければならない。それが、大きな変化の最初の兆候だからである
曲線は、ゼロからではなく、Y軸上の少しゼロから離れた★印からスタートする。これは、だれかが、奇妙なやり方、つまり、古いルールを使わないで、問題をいくつか解決したことを意味する
あらゆるパラダイムが、新しい問題を発見していく過程で、解決できない問題を浮き彫りにしていく。そして、解決できない問題が引き金になって、パラダイム・シフトが起こる
◆パラダイム・シフターの4つのカテゴリー
1.研修を終えたばかりの新人
2.違う分野から来た経験豊富な人
3.一匹狼
4.よろずいじくりまわし屋
すばらしいアイデアがひらめくとき、それは仕事の初日である。その次に、すばらしいアイデアがひらめくとき、それは会社を辞める日である
将来を予見したいと思うなら、自分のパラダイムが世界の見方にどれだけ大きな影響をあたえているかを知ることが、もっとも重要
パラダイムが変わるとき、だれもが振り出しに戻る
人びとがみずから進んでは行こうとしない場所に、人びとを導くのがリーダーである
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『新装版パラダイムの魔力』ジョエル・バーカー・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250148
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◆目次◆
序文
はじめに 将来の三つのキーワード
第1章 将来を見つめる
第2章 先見性が勝負を決める
第3章 パラダイムとは何か
第4章 新しいパラダイムはいつ現れるのか
第5章 だれがパラダイムを変えるのか
第6章 だれがパラダイムを開拓するのか
第7章 パラダイム効果とは何か
第8章 パラダイム効果の実例
第9章 二十世紀のもっとも重要なパラダイム・シフト
第10章 振り出しに戻る
第11章 パラダイムの重要な特徴
第12章 管理者とリーダーとパラダイム
第13章 一九九〇年代のパラダイム・シフト
第14章 そして、時は行く
あとがき
謝辞
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