【停滞した経営者のやる気にスイッチを入れる本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4885921619
本日の一冊は、日本最大規模を誇る税理士法人の理事長であり(スタッフ総勢720名)、名立たる財界人とコネクションを持つ経営者、本郷孔洋氏による起業物語。
記憶する限り、ここまで赤裸々にご本人のことを書いた本は初めてで、起業家には参考になる本です。
出版社の流通網が限られているため、店頭で発見するのは難しい本かもしれませんが、個人的には、最近読んだ本のなかで、一番読み返した本です。
なぜそこまで気になったかというと、本書が、経営者が必ずたどる繁栄と衰退のサイクル、そしてそこからの脱却方法をテーマとしているから。
これは税務の専門家ならではだと思いますが、戦後の日本経済の変化を、「税目」にたとえ、<所得税→法人税→資産税→外資がからむ税務→相続税>の順に発展してきた、と喝破したのは、他にはなかった切り口だと思います。
経営の心構えとしてみても秀逸で、「経営者は四度死ぬ」「悪くなったら、トップは陣頭指揮しかない」「サービス業は、製造業の分業システムを取り入れることが、効率性をあげるキモ」など、ヒントがたくさん見つかる内容です。
薄い本ではありますが、経営者にはきっと気づきがある内容だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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トップは、三年でマイナーなモデルチェンジ、一〇年でフルモデルチェンジをしないと生き残れない
さて、今後の一〇年です。私見ですが、日本は完全にストック型社会が浸透します。いわば資産の大衆化の時代、税目では、相続税です
なぜ、シリコンバレーが発展したか。これは、IBMが大量のリストラをしたから、人材が外に出て、シリコンバレーに集まったからだと言います。有名な話です。私も何人かIBM出身の起業家を知っていますが、異口同音に、「リストラが、起業のきっかけ」と言っています
起業の目的に、ゆめゆめ社会貢献なんて旗印は、最初から上げない方がいい。社会貢献は、事業が成功してからで、十分間に合います
なぜ成績優秀者が人生で成功しないか、という特集記事を昔、読んだ記憶があります。覚えているのは、「成績優秀者は、ピークの会社に入るからだ」という答え
「魚がいる釣堀を探すこと」が、肝要。いままでは、漁場を探すより、釣り竿を磨いていましたからね
ノーハウよりノーフ─
商売は、まず、店主から飽きる
「得意の時、失敗の原因をつくる」「その原因は自分」
本多静六さんは、偉くなった人は、勉強の先回りをすると言っています。ヒラの時は、勉強をし、課長になったら、役員になったらどうするか?(『私の財産告白』(本多静六著・実業之日本社))
合併は、実際以上に大きくなる、逆に分裂は、実際以下に小さくなる
サービス業は、製造業から分業を学び、小売業からサービスを学ぶ、そして、サービス業を事業化したところが、大きくなります
人間は、忙しい中で好きなことをするのが、楽しい
◆成功しない三原則
一、辞めた職場を否定して、その人たちと関係なく仕事する
二、やたら、マクロ経済の話をする
三、儲かってもいない前から、節税を言う
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『私の起業ものがたり』本郷孔洋・著 東峰書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4885921619
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◆目次◆
第一ステージ 創業の一〇年
一、起業を振り返る前に
二、開業のきっかけと動機
第二ステージ 飛躍と混迷の一〇年
一、人との出会い
二、失敗から学ぶ
三、悪循環からの脱却
四、軌道に乗せる
第三ステージ 税理士法人の一〇年
一、拡大と変化
第四ステージ これからの一〇年
一、最大のライバルは世代交代
第五ステージ 起業家へのメッセージ
一、経営者の思考・意識
二、経営者の行動
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