2014年2月18日

『ビジネスモデル・イノベーション』ラリー・キーリー、ライアン・ピッケル、ブライアン・クイン、ヘレン・ウォルターズ・著 vol.3500

【イノベーションのヒントが湧いてくる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/402331269X

本日の一冊は、トヨタ、セブン-イレブン、任天堂、Google、アップル、マイクロソフト、アマゾン、Dell、マクドナルド、イケア、ネスレ、ジレット、ハーレーダビッドソンなど、過去30年の2000に及ぶ成功企業のイノベーション事例を紹介した一冊。

シカゴに本社を置く、世界屈指のデザイン思考のイノベーション会社、ドブリンのメンバーが執筆を担当しており、ブレークスルーを起こすフレームワークとして、「10タイプ」をまとめています。

「10タイプ」というのは、利益モデル、ネットワーク、組織構造、プロセス、製品性能、製品システム、サービス、チャネル、ブランド、顧客エンゲージメントの計10個で、それぞれの項目にイノベーションを起こすことで、他社と差別化できるという、ありがたいフレームワーク。

『ビジネスモデル・ジェネレーション』を読んだ時ほどの衝撃はありませんでしたが、本書では、成功企業の事例をこの10個に沿って整理しており、イノベーションのヒントが湧いてくる内容となっています。

※参考:『ビジネスモデル・ジェネレーション』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798122971/businessbookm-22

ネットワーク・イノベーションにより、世界各地の25の大学と研究開発をしているブラジルの巨大化粧品会社ナトゥーラ、プロセス・イノベーションによりインド市場を攻略したヒンドゥスタン・ユニリーバ(商品を小分けした)、サービス・イノベーションとして、まさかの失業保証をつけたヒュンダイなど、さまざまな企業事例が登場して、インスピレーションを与えてくれます。

ジンジャー・ホテルズ、メソッド、アメリカン・ガールなど、日本の書籍ではなかなか紹介されない事例が盛り込まれているので、事例を見るだけでも価値があると思われます。

正直、これまでに出されたビジネスモデル本と内容はかぶってしまいますが、それでも興味深く読める一冊です。

イノベーションやビジネスモデルに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆イノベーションの「10タイプ」
1.利益モデル 2.ネットワーク 3.組織構造 4.プロセス 5.製品性能 6.製品システム 7.サービス 8.チャネル 9.ブランド 10.顧客エンゲージメント

利益モデル・イノベーションのよくある例は、企業が自社のオファリングに競合他社より高い料金を設定するプレミアム価格や、市場が財の価格を決めるオークションだ。理想的な利益モデルは社会的な文脈や産業によってずいぶん違う。新規参入企業は、顧客が自社の製品を試したり導入したりしやすくなるように利益モデルを設計するかもしれない(たとえば従量制)。それに対し既存企業は、既存顧客の乗り換えを難しくするモデルで対向するかもしれない(たとえば定額制)

ノルウェーのオンライン広告会社FINN.noは、ユーザーが投稿するどんな広告でも無料で掲載し、その一方で、希望に応じた掲載については料金をとっている

ヒンドゥスタン・ユニリーバは、従来は大きなボトルで何回分もまとめて販売していた商品を、小分けして使い切りの小袋として販売するようになった。これは商品を一度に大量に買う資力も習慣もないインドの多くの人々のニーズを満たすやり方だった

イケアはフラットパック家具を開発して、国や地域による修正をまったく加えずに販売している。同社の製品は、どこで買ったかに関係なく、まったく同じハードウエアと取扱説明書を含んでおり、したがって同社の社内生産プロセスの合理化に一役買っている

アップルが自社の新しいハードウエアやソフトウエアを最初に披露するのは、同社の世界開発者会議(WWDC)に参加した開発者や関連会社に対してだ。この会議のおかげで、アップルのパートナーたちは同社の新しい技術で遊ぶことが──そして、フィードバックを提供することが──できる。2012年のWWDCの参加チケット(1枚1599ドル)は、2時間足らずで売り切れた

◆イノベーションの作戦 ※一部紹介
・オープン・インビテーション(グラクソスミスクライン)
・共同消費(ジップカー)
・ステータス・ベース(フォースクエア)
・つながっているコミュニティー(ハーレーダビッドソン)

スレッドレスはファッションデザイナーのいないファッション会社である。デザイナーを使わず、バイヤーと関心のあるコントリビューターで構成される同社のオンライン・コミュニティーからデザインを調達しているのである

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『ビジネスモデル・イノベーション』ラリー・キーリー、ライアン・ピッケル、ブライアン・クイン、ヘレン・ウォルターズ・著 朝日新聞出版
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◆目次◆

第1部 INNOVATION イノベーション
第1章 イノベーションについて考え直す
第2部 TEN TYPES OF INNOVATION イノベーションの10タイプ
第2章 10タイプ
第3章 利益モデル・イノベーション
第4章 ネットワーク・イノベーション
第5章 組織構造イノベーション
第6章 プロセス・イノベーション
第7章 製品性能イノベーション
第8章 製品システム・イノベーション
第9章 サービス・イノベーション
第10章 チャネル・イノベーション
第11章 ブランド・イノベーション
第12章 顧客エンゲージメント・イノベーション
第3部 MORE IS MIGHTIER たくさん使えば使うほど強力に
第13章 製品イノベーションを超えたイノベーションを
第14章 数の強み
第4部 SPOT THE SHIFTS 変化に気づく
第15章 隙間に注意
第16章 慣習に異を唱えよう
第17章 パターンを認識する
第5部 LEADING INNOVATION イノベーションを主導する
第18章 目的を明確にする
第19章 イノベーション戦術
第20章 イノベーション・プレイブックを使う
第6部 FOSTERING INNOVATION イノベーションを育成する
第21章 今すぐとりかかろう
第22章 主唱者と創出者
第23章 イノベーションを組織に組み込む
第24章 効果的に実行する
第7部 APPENDIX 補足

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