【消費者ニーズを読む「行動観察」の技術】
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本日の一冊は、次々と変わる消費者ニーズをとらえるためのマーケティングの切り札、「行動観察」の基本を解説した一冊。
著者は、大阪ガス行動観察研究所の所長で、LIXIL(リクシル)はじめ、さまざまな事業の行動観察調査を行っている、松波晴人さんです。
なぜ今、行動観察がマーケティングに役立つのか?
これに関して、著者が述べている、以下の文を読んでみましょう。
<変化を前提とすれば、科学的な「再現性」を担保することはできない。そのときどきの環境に合わせて、どうすれば適合できるのかを考えなければならないのである>
そう、今は昔の経験則が通用しない時代。
そんな時代に、マーケティングの参考になるのが、「行動観察」なのです。
行動観察といえば、アメリカのデザイン企業IDEOのショッピングカート開発事例が有名ですが、成功する事業は、アキレスの「瞬足」であれ、カルビーの「Jagabee」であれ、徹底した行動観察に基づいています。
この行動観察を用いれば、先日ご紹介した『グロースハッカー』の著者が言うような、「マーケットが要求する基準に至るまで製品を改善し続ける」ことも、可能になります。
※参考:『グロースハッカー』
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実際の調査手法について、もっと言及して欲しかった部分はありますが、著者の洞察と実際の調査事例が読ませてくれる一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間は、見たこと、聞いたことより、経験したことをより記憶する特性がある
人間は、自分の行動を自分ではあまり把握できていない
アンケート調査の場合、「社会正義」というバイアスがあることにも注意をする必要がある。アンケート調査で「トイレに行ったときに、いつも手を洗いますか?」と聞くと、ほとんどの人が「はい」と答える
人間は、自ら意思決定を行い、自らの意思で行動を決定していると思い込んでいる。しかしながら、環境に大きな影響を受けているのが事実なのである
私たち行動観察研究所は、総合住生活企業LIXIL(リクシル)社からの依頼により、新しい製品開発のため、日常生活における主婦の調理行動観察を実施することになった(中略)最も顕著な事実は、「コンロの上は調理中以外も常に混雑している」ということであった(中略)3つのバーナーが同時に使えていないということがわかった
ビッグデータは「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」というデータを大量に、かつ継続的に集めることができる。しかし、「なぜ(Why)」「どのように(How)」という情報は得ることができない
高齢者は日常生活の出費にはシビアだが、家族や友人、大切なものに貢献できる、感謝されることには出費を惜しまない
彼ら(中国人旅行者)が入る店にはある特徴があった。それは、店の外からメニューの内容と値段がわかることである
日本ではあまり知られていないかもしれないが、TR100というデジタルカメラはアジアで空前の大ヒット商品となっている。なぜそのカメラが売れているのか。それは、そのカメラの特徴にあった。レンズ部分を動かすことで、カメラを持っている自分の写真を撮ることができるのである
◆中国人観光客の観察から得た4つのインサイト
1.行動様式は直感ひらめき型(=臨機応変)
2.旅行の目的は「自分はすごい感」にある
3.膨大で詳細な土産リストがミッションに
4.日本流の細やかなサービスに感動する
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『「行動観察」の基本』松波晴人・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
はじめに
第1章 これまでの方法論に見え始めた限界とその背景
第2章 ビジネスで成功するために人間を知る
第3章 「行動観察」とは何か
第4章 高齢者が本当に求めているもの
第5章 中国人観光客のまだ見ぬニーズを探る
第6章 飲食業のサービスのスタンダードを作る
第7章 工事職人さんのCS(顧客満足度)を上げよう
第8章 行動観察を実践するために知っておくべきこと
第9章 イノベーションを起こす組織とは
おわりに
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