【レッドブル52億本の秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249840
先日、鈴鹿サーキットでF1を観戦して、いつの間にかレッドブルがスポンサーになってF1を制覇しているのに驚きました。
ちょうど関心が高まっていたところに、彗星のように現れたのがこの『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』です。
本書は、今や全世界で52億本を売り上げるという驚異のドリンク、レッドブルを開発した創業者、ディートリッヒ・マテシッツの素顔に迫った一冊。
ユニリーバの子会社でマーケティング・マネージャーとして活躍していたディートリッヒ・マテシッツが、どういう経緯でエナジードリンクの市場に目をつけたのか、どうやってマーケティングを成功に導いたのか、本書にはその詳細が書かれています。
読んでいて驚いたのは、レッドブルのきっかけが「リポビタンD」だったということ。
日本の高額納税者リストを見て、「大正製薬」とその商品に目をつけたところから、氏のビジネスが始まったそうです。
本書で残念なのは、あまりにF1やスポーツの話が多くて、マーケティングの深部にまで話が及んでいないこと。
著者が政治学、ジャーナリズム、ロシア語専攻ということで、ビジネスにはあまり造詣が深くなかったのかもしれません。
ただ、そこを差し引いても、本書には読む価値があります。
爆発的ブームを生むために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界人口の三分の二が一年間に一度はレッドブルを飲んでいる計算になる
きっかけは日本の「リポビタンD」
その記事には日本の高額納税者リストが掲載されていた(中略)彼は、一位がソニーやトヨタのようなグローバル企業の経営者ではなく、彼が聞いたこともない企業、大正製薬の経営者であることに気がついたのである
第二次世界大戦中、日本の医師は、パイロットにタウリンを処方すれば、視力を上げることができると考えたそうだ。その点ではタウリンの効き目は期待外れだったが、いずれにせよ戦闘機の勇猛果敢な姿は、大衆のあこがれとしては十分だった。終戦の数年後には、東アジアの国々ではエナジードリンクが流行していた
「レッドブルを飲むと、誰もがとても強くなる。みんなそう考えていました。ただ、それを表現するためのふさわしい言葉が見つからなかったんです」。しかし、ある夜、突然、ひらめいた。「レッドブル、翼を授ける」
ディートリッヒ・マテシッツのエナジードリンクにとっては、その良しあしに関係なく、イメージが何より重要である。ドイツへの非合法な輸入により、「禁止されているもの」という新たな魅力が加わり、その人気ぶりに拍車がかかった。さらに、このドリンクには雄牛の睾丸や精液のエキスが含まれている、あるいは違法にアンフェタミンが添加されているなどのあらぬうわさも広まり、需要は伸びる一方だった
「私自身、新聞の見出しにならないように心がけています。時間の無駄だからです。大株主も同じ考えでしょう」(マテシッツ)
儲けた金だけを投資する
一九八〇年代、ヤッピーと呼ばれたスマートな都会人が富、贅沢、ステータスシンボルを追い求めていた時代は終わり、九〇年代になるとスリルを求める新しい世代が生まれた。この世代がレッドブルを飲む
飲み物には意味がなくてはならない、とマテシッツは一度もらしたことがある。「のどの渇きを癒すだけでは、もうだめなのです」
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『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4822249840
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◆目次◆
序章 レッドブルとは何者か?
PARTI 52億本への道
第1章 市場を創造する
第2章 世界市場を制圧せよ
第3章 「販売禁止」を逆手に取る
第4章 男と男の握手に価値がある
第5章 銀行にだけは借金するな
第6章 すべてがマーケティングだ
第7章 スポーツの一部になる
PARTII スポーツ・マーケティング
第8章 ファンに抵抗されてもサッカークラブを買収
第9章 F1王者になる
第10章 氷の上のブル
第11章 メディア嫌いによるメディアへの進出
第12章 グルメ・ブランドの創設
PARTIII レッドブル帝国の正体
第13章 叩き上げの億万長者
第14章 オーストリアに喜んで税金を払う
第15章 レッドブルのもう一つの顔
PARTIV 創業者の横顔
第16章 創業者マテシッツの華麗なる人脈
第17章 ブルと呼ばれる男
終章 ブルのこれから
解説 楠木建
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