【佐藤優の処世術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413044096
本日の一冊は、元外務省主任分析官であり対ロシア外交の最前線で活躍していた佐藤優さんが、『人に強くなる極意』を述べた一冊。
以前ご紹介した『交渉術』も読み応えがありましたが、今回の『人に強くなる極意』は、雑誌「BIG tomorrow」の連載が元ということもあって、よりライトタッチで、読みやすいテイスト。
内容は、著者が考える対人の極意と処世術、そして目次からもわかる通り、いかに自分を律していくか、という実際の話が書かれています。
「怒り」をどうツールとして使っていくか、反対に相手が怒っている時、その意図をどう読むか。
また、びびらせるためにどうするか、反対にびびらないようにするためにどうするか。
例として本書から、外交の現場、特捜の現場で行われているテクニックを紹介しましょう。
【外交の現場】
<びびらないためには相手や対象を知り、相手の本質や意図を見極めることが重要です。外交の世界では「相手の内在的論理を知る」という表現をします。相手の価値観はどのようなもので、どんな意図と論理で行動しているのか。それがわかれば、相手が何をいおうがどんな威圧をしてこようが、冷静に対応できる>
【特捜の現場】
<特捜の常識として「官僚、商社マン、銀行員、大企業社員といったエリートは徹底的に怒鳴りつけ、プライドを傷つけると供述をとりやすい」というのがあるそうです。エリートほど落とすのは簡単だと。「お前は社会のクズだ!」「犯罪者だ!」となじられると、彼らはこれまでそんな体験はないですから、一気にそれまでの自信を失って検事のいいなりになるそうです。特捜ではこれを「相手を自動販売機にする」と表現します>
こういった技術論が書かれている一方で、対人関係を豊かにするための心構えも書かれており、じつにバランスの取れた内容だと思います。
外交の舞台裏や検察とのやり取りが題材になっており、読み物としても興味深い一冊。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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外交の基本は相手をびびらせること
びびらないためには相手や対象を知り、相手の本質や意図を見極めることが重要です。外交の世界では「相手の内在的論理を知る」という表現をします。相手の価値観はどのようなもので、どんな意図と論理で行動しているのか。それがわかれば、相手が何をいおうがどんな威圧をしてこようが、冷静に対応できる
特捜の常識として「官僚、商社マン、銀行員、大企業社員といったエリートは徹底的に怒鳴りつけ、プライドを傷つけると供述をとりやすい」というのがあるそうです
代理経験も含めてさまざまな経験をしておけば、何かびびるような場面に出くわした時でも、「この人は前に会ったあの人に言動が似ているな」とか、「いまの状況はあの本に書かれていたあの状況にそっくりだ」と対象を冷静に分析できます
九鬼周三の『「いき」の構造』(岩波書店)によれば、「いき」とは全部いわずに一つ手前で止めること
競争のないスタティック(静的)な社会では、自分を必要以上に大きく見せたり飾ったりすることはないんです。ところが近代になって身分制度が廃止されて社会がフラットになった時から、社会はダイナミック(動的)なものに変質します。身分制度がないということは、自分の存在感を示すために自分を大きく見せる、飾ることが重要になってきます
相手が大物であればあるほど、こちらの嘘や飾りなどは見抜かれてしまいます
意外にも、僕らは得意な分野でこそ躓くことが多いんじゃないでしょうか。なぜか? 得意であるということで、そこに「油断」や「侮り」が生じる
仕事の現場で「侮らない」ということは、メンテナンスとかフォローをしっかりする、という意味合いも強い
人間関係も「断らない力」で広げることができる
お金を受けとることで主従関係ができあがる
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『人に強くなる極意』佐藤優・著 青春出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4413044096
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◆目次◆
第1章 怒らない
第2章 びびらない
第3章 飾らない
第4章 侮らない
第5章 断らない
第6章 お金に振り回されない
第7章 あきらめない
第8章 先送りしない
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